[3月12日14:16.天候:雨 東京都千代田区丸の内 JR東北新幹線212B列車8号車内→JR東京駅21番線ホーム]
〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく終点、東京です。東海道新幹線、東海道本線、中央線、山手線、京浜東北線、横須賀線、総武快速線、京葉線と地下鉄丸ノ内線はお乗り換えです。お忘れ物の無いよう、お支度ください。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
ようやく東京に帰ることができた。
車窓から見える通勤電車が、まるで出迎えてくれるかのように並走している。
しかし、福島県内は辛うじて太陽が見えるほどの晴れ間があったのだが、都内は雨だった。
分厚い窓ガラスには、いくつもの水滴がついては風圧で右から左に流れている。
〔「長らくの御乗車お疲れさまでした。まもなく終点、東京、東京です。21番線に入ります。お出口は、右側です。お降りの際、車内にお忘れ物の無いよう、今一度よくお確かめの上、お降りください。……」〕
愛原:「リサと斉藤さんが迎えに来てくれているみたいなんです」
高橋:「ちっ、余計なことしないで、家にいりゃあいいものを……」
善場:「ですが、これは喜ばしいことです。『2番』のリサが如何に愛原所長を信頼して『制御できている』ことの表れですからね」
と、善場主任が味気ないことを言う。
しかし、その口元に微笑が浮かんでいたことから、あえてわざとそういう言い方をしたのだと分かった。
そして、列車がホームに滑り込む。
限られた有効長で長い編成を押し込む為、東京駅の新幹線ホームは曲がっている。
もっとも、名鉄名古屋駅のようにS字に曲がっているわけではない。
〔「ご乗車ありがとうございました。東京、東京です。車内にお忘れ物の無いよう、ご注意ください。21番線の電車は折り返し、14時28分発、“はやぶさ”29号、新函館北斗行きとなります。……」〕
私は東京駅のホームに降り立った。
福島県会津地方では見られた雪も、ここでは一切見られない。
愛原:「無事に帰って来られたなぁ……」
高橋:「そうですね。先生の勝利です」
愛原:「だから俺は何もしてないって」
そんなことを話していると……。
リサ:「先生!」
改札口で待っているものと思っていたリサが、斉藤さんと共にホームにいた。
愛原:「リサ!」
リサ:「迎えに来たよ!」
愛原:「わざわざホームまで来たのか」
私はリサに抱き付かれた。
斉藤:「ちょっ、リサさん!」
善場:「こらこら。公共の場ですよ」
愛原:「よく入場券買うって分かったな?」
斉藤:「私が教えてあげたんです。リサさんがどうしてもって言うので……」
斉藤さんは入場券を見せながら言った。
愛原:「あ、そう。悪かったね」
善場:「愛原所長、事務所までよろしいですか?書類手続きがありますので……」
愛原:「あ、すいません。このコ達はどうしましょう?」
善場:「事務所の中には入れませんので、先に帰ってもらうか……」
リサ:「えーっ?一緒に行きたい」
善場:「事務所の中には入れないのよ?」
リサ:「先生達が終わるまで待ってる」
善場:「……仕方ないですね」
斉藤:「はい!私も行きます!」
善場:「あなたはもっと帰っていいのよ」
斉藤:Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン
さすがはキャリア組政府特務機関エージェント、善場優菜の氷の言葉が炸裂した!
リサ:「私、サイトーと一緒に待ってる」
善場:「分かりました。とにかく、移動しましょう」
私達は新幹線ホームから移動した。
新幹線改札口を出て在来線コンコースに行き、そこから山手線ホームに向かった。
[同日14:30.天候:雨 JR東京駅5番線ホーム→JR山手線1313G電車11号車内]
〔まもなく5番線に、品川、渋谷方面行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックの内側までお下がりください。次は、有楽町に止まります〕
山手線ホームに移動して電車を待つ。
山手線では最新型のE235系電車が滑り込むようにしてやってきた。
ギッという車輪の軋む音がするのは、如何に最新型車両であっても、雨の日でレールが濡れている時には車輪が空転するからだ。
それでも従来の電車よりは揺れは少なくなり、オーバーランもしなくなった。
〔とうきょう~、東京~。ご乗車、ありがとうございます。次は、有楽町に止まります〕
最後尾の車両に乗り込む。
リサというBOWが一緒にいる時は、指定席などの止むを得ない事情がある場合を除いて、基本的に先頭車か最後尾に乗ることとなっている。
これは万が一リサが暴走した時に、BSAAが外から攻撃する場合、攻撃目標にしやすい為である。
平日とはいえ昼下がりの時間帯は山手線と言えども、車内は空いている。
〔「各駅に停車致します山手線外回り、品川、渋谷方面電車です。有楽町、新橋でお降りのお客様は、この電車をご利用ください。お隣の京浜東北線は只今、全ての電車で快速運転を行っております。有楽町、新橋には止まりませんのでご注意ください。まもなく発車致します」〕
ホームに陽気なテクノポップ(?)な発車メロディが大音量で流れる。
〔5番線の山手線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車をご利用ください〕
チャイムが鳴りながらドアが閉まる。
チャイムの音色は都営地下鉄新宿線の東京都交通局の車両のそれと同じだ。
尚、乗り入れて来る京王電車のドアチャイムはJR東海のそれと同じなのだという。
ドアが閉まって走り出す時は、空転はしない。
昔の電車は走り出す時も空転していたというが、さすがに今現役で走っている通勤電車で、走り出す時も車輪が空転することは無いのではなかろうか。
〔この電車は山手線外回り、品川、渋谷方面行きです。次は有楽町、有楽町。お出口は、左側です。地下鉄有楽町線と地下鉄日比谷線はお乗り換えです〕
〔This is the Yamanote line bound for Shinagawa and Shibuya.The next station is Yurakucho.JY30.Please change here for the Yurakucho subway line and the Hibiya subway line.〕
リサ:「あ、そうだ。先生」
愛原:「何だ?」
リサ:「卒業旅行はどこに連れて行ってくれるの?」
愛原:「斉藤社長から依頼があるかどうかだな……」
私はチラッと斉藤さんを見た。
斉藤:「さっきお父さんに聞いたら、先生の事務所に依頼書を送ったって言ってましたよ?」
斉藤さんが自分のスマホを私に見せながら言った。
何気に斉藤さんのスマホ、新しくなっている。
卒業祝いで新しいiPhoneを買ってもらったのだろうか。
リサは特に欲しがっているわけではないようだが……。
愛原:「そうなのか。帰ったら確認してみよう」
斉藤:「多分、先生の好きな温泉地のどこかだと思います」
愛原:「はは……。何だか俺の趣味に付き合わせるみたいで悪いな」
高橋:「俺は先生の行かれる所なら、どこへでも行きますよ」
リサ:「私も」
斉藤:「私はリサさんの行く所なら、どこへでも行きます」
事実上、私の希望次第となるようだ。
とはいえ、最終的な旅行先の決定権は斉藤社長にある。
そもそも最初の選択肢を出す権利からして、斉藤社長にあるのだ。
〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく終点、東京です。東海道新幹線、東海道本線、中央線、山手線、京浜東北線、横須賀線、総武快速線、京葉線と地下鉄丸ノ内線はお乗り換えです。お忘れ物の無いよう、お支度ください。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
ようやく東京に帰ることができた。
車窓から見える通勤電車が、まるで出迎えてくれるかのように並走している。
しかし、福島県内は辛うじて太陽が見えるほどの晴れ間があったのだが、都内は雨だった。
分厚い窓ガラスには、いくつもの水滴がついては風圧で右から左に流れている。
〔「長らくの御乗車お疲れさまでした。まもなく終点、東京、東京です。21番線に入ります。お出口は、右側です。お降りの際、車内にお忘れ物の無いよう、今一度よくお確かめの上、お降りください。……」〕
愛原:「リサと斉藤さんが迎えに来てくれているみたいなんです」
高橋:「ちっ、余計なことしないで、家にいりゃあいいものを……」
善場:「ですが、これは喜ばしいことです。『2番』のリサが如何に愛原所長を信頼して『制御できている』ことの表れですからね」
と、善場主任が味気ないことを言う。
しかし、その口元に微笑が浮かんでいたことから、あえてわざとそういう言い方をしたのだと分かった。
そして、列車がホームに滑り込む。
限られた有効長で長い編成を押し込む為、東京駅の新幹線ホームは曲がっている。
もっとも、名鉄名古屋駅のようにS字に曲がっているわけではない。
〔「ご乗車ありがとうございました。東京、東京です。車内にお忘れ物の無いよう、ご注意ください。21番線の電車は折り返し、14時28分発、“はやぶさ”29号、新函館北斗行きとなります。……」〕
私は東京駅のホームに降り立った。
福島県会津地方では見られた雪も、ここでは一切見られない。
愛原:「無事に帰って来られたなぁ……」
高橋:「そうですね。先生の勝利です」
愛原:「だから俺は何もしてないって」
そんなことを話していると……。
リサ:「先生!」
改札口で待っているものと思っていたリサが、斉藤さんと共にホームにいた。
愛原:「リサ!」
リサ:「迎えに来たよ!」
愛原:「わざわざホームまで来たのか」
私はリサに抱き付かれた。
斉藤:「ちょっ、リサさん!」
善場:「こらこら。公共の場ですよ」
愛原:「よく入場券買うって分かったな?」
斉藤:「私が教えてあげたんです。リサさんがどうしてもって言うので……」
斉藤さんは入場券を見せながら言った。
愛原:「あ、そう。悪かったね」
善場:「愛原所長、事務所までよろしいですか?書類手続きがありますので……」
愛原:「あ、すいません。このコ達はどうしましょう?」
善場:「事務所の中には入れませんので、先に帰ってもらうか……」
リサ:「えーっ?一緒に行きたい」
善場:「事務所の中には入れないのよ?」
リサ:「先生達が終わるまで待ってる」
善場:「……仕方ないですね」
斉藤:「はい!私も行きます!」
善場:「あなたはもっと帰っていいのよ」
斉藤:Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン
さすがはキャリア組政府特務機関エージェント、善場優菜の氷の言葉が炸裂した!
リサ:「私、サイトーと一緒に待ってる」
善場:「分かりました。とにかく、移動しましょう」
私達は新幹線ホームから移動した。
新幹線改札口を出て在来線コンコースに行き、そこから山手線ホームに向かった。
[同日14:30.天候:雨 JR東京駅5番線ホーム→JR山手線1313G電車11号車内]
〔まもなく5番線に、品川、渋谷方面行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックの内側までお下がりください。次は、有楽町に止まります〕
山手線ホームに移動して電車を待つ。
山手線では最新型のE235系電車が滑り込むようにしてやってきた。
ギッという車輪の軋む音がするのは、如何に最新型車両であっても、雨の日でレールが濡れている時には車輪が空転するからだ。
それでも従来の電車よりは揺れは少なくなり、オーバーランもしなくなった。
〔とうきょう~、東京~。ご乗車、ありがとうございます。次は、有楽町に止まります〕
最後尾の車両に乗り込む。
リサというBOWが一緒にいる時は、指定席などの止むを得ない事情がある場合を除いて、基本的に先頭車か最後尾に乗ることとなっている。
これは万が一リサが暴走した時に、BSAAが外から攻撃する場合、攻撃目標にしやすい為である。
平日とはいえ昼下がりの時間帯は山手線と言えども、車内は空いている。
〔「各駅に停車致します山手線外回り、品川、渋谷方面電車です。有楽町、新橋でお降りのお客様は、この電車をご利用ください。お隣の京浜東北線は只今、全ての電車で快速運転を行っております。有楽町、新橋には止まりませんのでご注意ください。まもなく発車致します」〕
ホームに陽気なテクノポップ(?)な発車メロディが大音量で流れる。
〔5番線の山手線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車をご利用ください〕
チャイムが鳴りながらドアが閉まる。
チャイムの音色は都営地下鉄新宿線の東京都交通局の車両のそれと同じだ。
尚、乗り入れて来る京王電車のドアチャイムはJR東海のそれと同じなのだという。
ドアが閉まって走り出す時は、空転はしない。
昔の電車は走り出す時も空転していたというが、さすがに今現役で走っている通勤電車で、走り出す時も車輪が空転することは無いのではなかろうか。
〔この電車は山手線外回り、品川、渋谷方面行きです。次は有楽町、有楽町。お出口は、左側です。地下鉄有楽町線と地下鉄日比谷線はお乗り換えです〕
〔This is the Yamanote line bound for Shinagawa and Shibuya.The next station is Yurakucho.JY30.Please change here for the Yurakucho subway line and the Hibiya subway line.〕
リサ:「あ、そうだ。先生」
愛原:「何だ?」
リサ:「卒業旅行はどこに連れて行ってくれるの?」
愛原:「斉藤社長から依頼があるかどうかだな……」
私はチラッと斉藤さんを見た。
斉藤:「さっきお父さんに聞いたら、先生の事務所に依頼書を送ったって言ってましたよ?」
斉藤さんが自分のスマホを私に見せながら言った。
何気に斉藤さんのスマホ、新しくなっている。
卒業祝いで新しいiPhoneを買ってもらったのだろうか。
リサは特に欲しがっているわけではないようだが……。
愛原:「そうなのか。帰ったら確認してみよう」
斉藤:「多分、先生の好きな温泉地のどこかだと思います」
愛原:「はは……。何だか俺の趣味に付き合わせるみたいで悪いな」
高橋:「俺は先生の行かれる所なら、どこへでも行きますよ」
リサ:「私も」
斉藤:「私はリサさんの行く所なら、どこへでも行きます」
事実上、私の希望次第となるようだ。
とはいえ、最終的な旅行先の決定権は斉藤社長にある。
そもそも最初の選択肢を出す権利からして、斉藤社長にあるのだ。
法道院じゃ考えられなかったな……うん。
東海道新幹線、地震による停電発生!
品川駅停車直前だで!
御登山の帰りでこれかい!
ツイてねーっ!
まあ、多分大丈夫だろう。
で、今やっと停電が復旧した。
もうすぐ運転再開するだろうが、しかし安全確認が終わるまで時間が掛かるらしい。
隣の在来線は運転しているようだ。
くそっ、報恩坊で御加護無かったの俺だけかいw