[5月27日12:15.天候:晴 DC埼玉研究所・本館1F社員食堂 井辺翔太&アリス・シキシマ]
シンディの整備は一先ず休憩。
井辺が半強制的に協力する人体実験については、午後から行われることになった。
「何だか心配ですね」
定食を平らげた井辺は、不安を口にした。
「大丈夫だって。実は元々シンディやエミリーができることを、改めてやらせるだけだから」
「そうなんですか?」
「そう。実はエミリーで前に試してみたことがあったの。……うちのダンナで」
「社長で?……それでその……社長はどうなりました?」
「どうもしないわよ。あの通り、ピンピンしてるじゃない」
「まあ、そうですが……」
「ひょっとしたら、気持ち良過ぎて眠っちゃうかもね」
「ええっ?」
井辺よりも大食なアリス。
「じゃあ、私はちょっと出てるから」
「あ、はい」
アリスは下膳台に向かうと、あとは食堂を出て行った。
郊外に位置する研究所は、近隣に飲食店が無いため社食が設けられていて、多くの所員はそこで昼食を取る。
ビジターカードを持った外部の来訪者でも利用可能。
それでも極少数であるものの、外へ食べに行く者もいるようだ。
あとは弁当持参とか……。
井辺は新人ボーカロイド達のスケジュールを確認したが、今のところはまだ週末のイベントのような小さい仕事しかない。
(せめて彼女達が本来の用途であるボーカロイドとして、CDデビューまでは最低でも行きたい所ですが……)
開いた手帳を閉じて、小さく溜め息。
コップの水を飲み干して、井辺もまた平らげた食器を下膳台に持って行った。
壁のポスターには、この食堂にも試験的にウェイトレス・ロボット(メイドロボットの亜種?)を配置するとあるのを見た。
最先端のロボット技術を開発する研究所にしては今さら感があるが、アメリカ資本なだけに、実用性100パーセントの機能美が優先で、造形美は後回しなのかもしれない。
それでも日本では造形美が喜ばれるということで、日本法人だからこそ実行できる内容なのだろうと井辺は思った。
それを言うならエミリーとシンディはどうなんだとなるが、マルチタイプは旧ソ連で発案・開発されたもので、当時の敵国アメリカへのスパイやテロ工作員としての用途もあった。
旧ソ連製なのに、名前がアメリカ人っぽいのはその為。
機能美優先の欧米で、数少ない造形美も追求された数少ない機種である。
と、それは突然やってきた。
廊下に出た井辺は、確かにこの耳で聞いた。
それは銃声。
最初はシンディが実験の一環で発砲したのかと思ったが、まだ昼休みだし、整備中で中の機械が剥き出しの状態だ。
「研究員が撃たれたぞ!」
「早く中に入れ!!」
窓の外で血しぶきを上げ、倒れる所員が何人かいた。
[同日12:30.同場所 井辺翔太]
外から研究所に向かって、何者かがライフルを発砲している。
ところが研究所もある程度想定していたのか、仙台の時と違って、ガラスが割れない。
防弾仕様になっているのだ。
だからなのか、
〔非常事態発生!非常事態発生!現在、テロ発生中です。敷地内にいる関係者は安全の為、直ちに館内へ避難してください〕
との放送が流れている。
当然、警備ロボット達が動き出す。
外にいて被弾した関係者達の救出に向かう。
こういう時、人間以外の方が安心だと思いきや……。
外からのスナイパーの方が上手で、頭部を撃ち抜かれ、次々と破壊されてしまうのだった。
あれに対抗できるのはシンディしかいない。
だがシンディは今動けない。
明らかにそれを狙っての犯行だった。
万事休す!
この言葉が、井辺の頭をよぎった。
しばらくして銃声も止んだ為、井辺はそっと頭を上げ、窓の外を見た。
「危ない!」
近くにいた研究員が叫んだ。
スナイパーは窓に映った井辺を狙って撃って来た。
幸いにも防弾ガラスのおかげで、被弾せずに済んだ。
だが、物凄い威力だ。
割れはしなかったものの、もう既にヒビが入っていて、あと2、3発も食らえば割れてしまうのではないか。
そんな感じだった。
「敵は銃を違法改造しているみたいだ。頭を低くして、できるだけ窓の外に……って、おい!」
井辺に声を掛けた研究員は、彼に話し掛けていた。
その途中で立ち上がったものだから……。
「いえ、もう恐らく大丈夫です」
「えっ!?」
外から聞き覚えのあるジェット・エンジンの音がしたのだ。
ジェット・エンジンの音の主は、少し遠くにいたものの、視力の良い井辺には見えた。
「マルチタイプ……」
茶髪を後ろに束ねただけのシンプルな髪形。
だが、明らかにエミリーやシンディのように右腕が銃に変化していて、両足からジェットエンジンが噴いている。
井辺は立ちくらみがして、その場に倒れ込んだ。
初めて見た気がしないのだった。
[同日同時刻 研究所上空 ???]
右手をライフルに変化させ、両足からジェット・エンジンを吹かして飛行する女性スナイパー。
研究所内にいる、スーツの男を発見した。
それは彼女のメモリーには、しっかりと保存されている人物だった。
(あんな所にいたなんて……。でも、元気にやってるみたいね。良かったわ。でも、あとどれくらい生きられるかしらね。ま、せいぜい頑張ってよ?コードネーム“ショーン”)
その時、下をサイレンを鳴らしながらパトカーが数台やってきた。
(ダメ押し)
スナイパーは先頭を走るパトカーに向けて、1発発射した。
それは左前輪に当たり、ハンドルを取られて、電柱に激突した。
(じゃあね)
スナイパーはジェット・エンジンを吹かして、研究所から離脱していった。
[同日16:00.研究所東館1F・医務室 井辺翔太&シンディ]
「う……!」
井辺は目が覚めた。
「プロデューサー、大丈夫!?」
井辺の顔を覗き込むシンディ。
「わっ!?レイ……」
「れい?」
「あ……いや、失礼しました。ここは……?」
「研究所の医務室よ。プロデューサー、あの騒ぎで気絶しちゃったから、ここの関係者の人達が運んでくれたの」
「そ、そうでしたか……」
周りを見渡すと、学校の保健室よりは見た目に充実した設備が整っているようだった。
病院の処置室みたいな感じだ。
その中に数台置かれているベッドに寝かされていたのだった。
「近くにいた人の話だと頭を打った感じはしないし、ケガもしていない。気持ちが高ぶって、意識喪失したんじゃないかって言ってたよ」
「そうかも……しれませんね」
あの騒ぎで実験は中止。
シンディの整備だけで終わってしまったそうだ。
「こうしてはいられません。早く、社長に連絡を……」
「ああ、それなら大丈夫」
「えっ?」
「社長もこの研究所に来てるから」
「そうでしたか!」
シンディが先に立って、敷島のいる場所へ連れて行ってくれるそうだ。
廊下に出ると、警察や関係者などが物々しく動き回っているのが分かった。
シンディの整備は一先ず休憩。
井辺が
「何だか心配ですね」
定食を平らげた井辺は、不安を口にした。
「大丈夫だって。実は元々シンディやエミリーができることを、改めてやらせるだけだから」
「そうなんですか?」
「そう。実はエミリーで前に試してみたことがあったの。……うちのダンナで」
「社長で?……それでその……社長はどうなりました?」
「どうもしないわよ。あの通り、ピンピンしてるじゃない」
「まあ、そうですが……」
「ひょっとしたら、気持ち良過ぎて眠っちゃうかもね」
「ええっ?」
井辺よりも大食なアリス。
「じゃあ、私はちょっと出てるから」
「あ、はい」
アリスは下膳台に向かうと、あとは食堂を出て行った。
郊外に位置する研究所は、近隣に飲食店が無いため社食が設けられていて、多くの所員はそこで昼食を取る。
ビジターカードを持った外部の来訪者でも利用可能。
それでも極少数であるものの、外へ食べに行く者もいるようだ。
あとは弁当持参とか……。
井辺は新人ボーカロイド達のスケジュールを確認したが、今のところはまだ週末のイベントのような小さい仕事しかない。
(せめて彼女達が本来の用途であるボーカロイドとして、CDデビューまでは最低でも行きたい所ですが……)
開いた手帳を閉じて、小さく溜め息。
コップの水を飲み干して、井辺もまた平らげた食器を下膳台に持って行った。
壁のポスターには、この食堂にも試験的にウェイトレス・ロボット(メイドロボットの亜種?)を配置するとあるのを見た。
最先端のロボット技術を開発する研究所にしては今さら感があるが、アメリカ資本なだけに、実用性100パーセントの機能美が優先で、造形美は後回しなのかもしれない。
それでも日本では造形美が喜ばれるということで、日本法人だからこそ実行できる内容なのだろうと井辺は思った。
それを言うならエミリーとシンディはどうなんだとなるが、マルチタイプは旧ソ連で発案・開発されたもので、当時の敵国アメリカへのスパイやテロ工作員としての用途もあった。
旧ソ連製なのに、名前がアメリカ人っぽいのはその為。
機能美優先の欧米で、数少ない造形美も追求された数少ない機種である。
と、それは突然やってきた。
廊下に出た井辺は、確かにこの耳で聞いた。
それは銃声。
最初はシンディが実験の一環で発砲したのかと思ったが、まだ昼休みだし、整備中で中の機械が剥き出しの状態だ。
「研究員が撃たれたぞ!」
「早く中に入れ!!」
窓の外で血しぶきを上げ、倒れる所員が何人かいた。
[同日12:30.同場所 井辺翔太]
外から研究所に向かって、何者かがライフルを発砲している。
ところが研究所もある程度想定していたのか、仙台の時と違って、ガラスが割れない。
防弾仕様になっているのだ。
だからなのか、
〔非常事態発生!非常事態発生!現在、テロ発生中です。敷地内にいる関係者は安全の為、直ちに館内へ避難してください〕
との放送が流れている。
当然、警備ロボット達が動き出す。
外にいて被弾した関係者達の救出に向かう。
こういう時、人間以外の方が安心だと思いきや……。
外からのスナイパーの方が上手で、頭部を撃ち抜かれ、次々と破壊されてしまうのだった。
あれに対抗できるのはシンディしかいない。
だがシンディは今動けない。
明らかにそれを狙っての犯行だった。
万事休す!
この言葉が、井辺の頭をよぎった。
しばらくして銃声も止んだ為、井辺はそっと頭を上げ、窓の外を見た。
「危ない!」
近くにいた研究員が叫んだ。
スナイパーは窓に映った井辺を狙って撃って来た。
幸いにも防弾ガラスのおかげで、被弾せずに済んだ。
だが、物凄い威力だ。
割れはしなかったものの、もう既にヒビが入っていて、あと2、3発も食らえば割れてしまうのではないか。
そんな感じだった。
「敵は銃を違法改造しているみたいだ。頭を低くして、できるだけ窓の外に……って、おい!」
井辺に声を掛けた研究員は、彼に話し掛けていた。
その途中で立ち上がったものだから……。
「いえ、もう恐らく大丈夫です」
「えっ!?」
外から聞き覚えのあるジェット・エンジンの音がしたのだ。
ジェット・エンジンの音の主は、少し遠くにいたものの、視力の良い井辺には見えた。
「マルチタイプ……」
茶髪を後ろに束ねただけのシンプルな髪形。
だが、明らかにエミリーやシンディのように右腕が銃に変化していて、両足からジェットエンジンが噴いている。
井辺は立ちくらみがして、その場に倒れ込んだ。
初めて見た気がしないのだった。
[同日同時刻 研究所上空 ???]
右手をライフルに変化させ、両足からジェット・エンジンを吹かして飛行する女性スナイパー。
研究所内にいる、スーツの男を発見した。
それは彼女のメモリーには、しっかりと保存されている人物だった。
(あんな所にいたなんて……。でも、元気にやってるみたいね。良かったわ。でも、あとどれくらい生きられるかしらね。ま、せいぜい頑張ってよ?コードネーム“ショーン”)
その時、下をサイレンを鳴らしながらパトカーが数台やってきた。
(ダメ押し)
スナイパーは先頭を走るパトカーに向けて、1発発射した。
それは左前輪に当たり、ハンドルを取られて、電柱に激突した。
(じゃあね)
スナイパーはジェット・エンジンを吹かして、研究所から離脱していった。
[同日16:00.研究所東館1F・医務室 井辺翔太&シンディ]
「う……!」
井辺は目が覚めた。
「プロデューサー、大丈夫!?」
井辺の顔を覗き込むシンディ。
「わっ!?レイ……」
「れい?」
「あ……いや、失礼しました。ここは……?」
「研究所の医務室よ。プロデューサー、あの騒ぎで気絶しちゃったから、ここの関係者の人達が運んでくれたの」
「そ、そうでしたか……」
周りを見渡すと、学校の保健室よりは見た目に充実した設備が整っているようだった。
病院の処置室みたいな感じだ。
その中に数台置かれているベッドに寝かされていたのだった。
「近くにいた人の話だと頭を打った感じはしないし、ケガもしていない。気持ちが高ぶって、意識喪失したんじゃないかって言ってたよ」
「そうかも……しれませんね」
あの騒ぎで実験は中止。
シンディの整備だけで終わってしまったそうだ。
「こうしてはいられません。早く、社長に連絡を……」
「ああ、それなら大丈夫」
「えっ?」
「社長もこの研究所に来てるから」
「そうでしたか!」
シンディが先に立って、敷島のいる場所へ連れて行ってくれるそうだ。
廊下に出ると、警察や関係者などが物々しく動き回っているのが分かった。
>右手をライフルに変化させ、両足からジェット・エンジンを吹かして飛行する女性スナイパー。
なんだかコブラと鉄腕アトムみたいですね、というツッコミをしつつ・・・。
爆サイでも取り上げられてたG虎もテロが有ったようで(もう終了みたい)はやくも終息ですね。
あそこもO浦事件以来、なんだか波乱のヤマが激しいですね、もう禁足地帯ではないと思いますが・・・・全てはあの人のどっちつかずの・・^lidrn clza:eee @]]]・・・で・・^lidrn clza:eee @]]]ァ・・と・・・^lidrn clza:eee @]]]パクパク・・・。
うちのマルチタイプは、どちらかというと“ロックマン”や“ロックマンX”シリーズをイメージしているのですが、さすがにストーリーが進む毎に細かい設定が変わっていたりしますね。
厳虎さんの所……。
1人の敵が去ったら、また別の敵が来たりと、正に修羅ブログですな。
ああいう所にこそヒーローの存在が必要なのかもしれません。
爆サイも変な歴史なんか語っちゃって、新手の荒らしかよと思っています。
作者さんも、ようやく解禁で、さっそくG虎に電凸なんですね。
あの人は女性なんですかね?ちょっと文体は硬い方なので、
男性っぽく敢えてやっているんでしょうか?
しかも、あの優柔不断さは異常ですから、さもありなん、な感じもしないではないですが
年齢は召していると思いますね、周到に気配りしてますし、攻撃された時のこと
かなり考えて文章書いてますよね。
ひょっとしてその鬱憤をココログのブログで発散・・・。
正体は・・・だとしたら面白いな。
いいえ、お気になさらず。
んっ?さん達の書き込みに便乗しただけですよ。
厳虎さん、実は、顕正会女子部の大幹部だったりして。
いやー、『厳虎さんはP嬢』説も面白いですが、P嬢は群馬県にお住まいでしょう?
厳虎さんは横浜だというので、ちょっと違うかもしれませんね。
白状しますが実は私、『ポテンヒットさんが厳虎さん?』説を持っていたことがありましてね。
いやいや、失礼。
これも違うなぁって今は思っています。
教学を身に付ける為と言えばそれまでだし、まあ、1回でも多くの登山機会を得る為と言えば聞こえはいい(悪く捉える人もいる)が、どうもよく分からない。
塔中坊時代に1度だけ参加したことがあって、まあ、初めて参加したということもあってか、それなりに良かったと思う。
それとも今の夏期講習会は歓喜が無いのだろうか。
平成33年度の誓願に結び付けて行うのなら、確かに歓喜はその分薄れるかもしれないな。
所属寺院でもその誓願が達成できるよう、勤行の時に御祈念せよという指示があって、その文言を記した紙が入口に置いてある。
もちろん私はスルー。
その前に私の功徳があってからだ。
なお検索しては絶対にいけませんよ!いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!
ちなみにですがこの叫び声はクロックタワーのとある作品で使われているみたいですがご存じないですか?