報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「東京中央学園の入学式」

2024-05-20 20:27:10 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月7日10時00分 天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校・体育館]

 愛原「皆さん、入学おめでとうございます。PTA会長代行の愛原です。今日は皆さんにとっての、大事な人生の節目です。何事も最初の一歩が肝心です。多くの新入生の皆さんは、中等部から高等部へとステップアップした形とはなるでしょうが、校舎を新たに、心機一転の気持ちで頑張ってください」

 学校によっては、『地域住民からの励ましの言葉』があるが、東京中央学園上野高校ではそれは無く、代わりに『PTA会長の励ましの言葉』になっている。
 何故か新聞部の“学校の七不思議特集”の中に入っているのだが、まあ、恐らく2000年代になるとネタ切れになりつつあるのだろう。
 1990年代半ばから後半にかけてが、最も学園が恐怖に包まれた期間であり、新聞部員や語り部に死人が出るほどであった。
 2000年代に入るとそれも落ち着くのだが、2008年度は久しぶりに恐怖に包まれた。
 2015年には、それまで『地域住民からの励ましの言葉』として、とある商店会長が挨拶に立っていたのだが、実はそれが暴力団組長だったということが発覚し、慌てた学園側は次年度から『地域住民からの励ましの言葉』を廃止して、代わりに『PTA会長からの励ましの言葉』に変更した。

 愛原「……以上を持ちまして、私の励ましの言葉と致します。ありがとうございました」
 リサ(愛原先生、カッコいい……

 リサはブレザーの左腕の上から、『生徒会』の腕章を着けて、列席者の後ろに立っている。
 鬼型BOWの強い視力で、壇上に立つ愛原の姿はよく見えた。

〔「ありがとうございました。続きまして、『在校生代表からの歓迎の言葉』。生徒会長……、お願いします」〕

 リサ(それにしても……)

 リサは新入生達を見回した。

 リサ(特段、血の美味そうなコは……何人かいるけれど、中高一貫校のせいか、見たことあるコとかいるなぁ……)

 その為、完全中高一貫校では、高等部独自の入学式を設けている所は無い。
 東京中央学園はそうではなく、高等部からの新入生も受け入れている為、独自の入学式を行っている。

 リサ(とあるアニメみたいな、稀血的な美味そうな匂いのコは……今のところいないな……)

[同日11時00分 天候:晴 同学園・体育館]

 入学式はつつがなく終了した。
 で、撤収もリサが手伝う。

 リサ「まだ持てるから、この上に椅子を置いて」
 男子生徒「す、凄ェ……あのセンパイ……」
 女子生徒「魔王様なんだから、マネしちゃダメだよ」
 男子生徒「魔王を倒す勇者はいないんだろうか……」
 リサ「ああ、その勇者なら……私が黒焦げにした」
 男子生徒「ひぃぃ!勇者がやられた!」
 リサ(なーんてね。本当はわたしを倒したがっていた鬼斬りセンパイが鬼化しちゃって、それをわたしが黒焦げにしてやっただけの話)

 尚、愛原達は会議室に移動して、PTA会長選出をしているという。
 新入生の保護者からPTA役員は募るが、もちろんそれでいきなり会長にするわけにはいかないので、やはり役員経験者から選出するのが良いというのが通例になっている。
 で、基本的には誰も会長をやりたがらないので、愛原が代行から正式な会長になるだろうと言われている。

 リサ「終わったらさっさと帰ろう。今日はレイチェルもいないし、1人で帰ることになるのかな」

 尚、『魔王軍』で手伝う者はいない。
 基本的にはリサに対して、定期的に血液や血中老廃物を提供する要員なので。
 昭和のスケバングループ然としつつも、その辺はドライである。
 しかしながら、『ブルマ復活運動』には駆り出させたし、水泳の授業もラッシュガード着用には反対させた。

 リサ(ヨドバシやコジマの血は美味しいんだけど、毎日は飽きるからなぁ……。新入生達の中から、新しいメンバーを入れるのが理想なんだけど……)

[同日12時00分 天候:曇 同学園・体育館→駐車場]

 入学式の撤収作業も終わり、それだけの要員のリサはそのまま帰ることにした。
 生徒会の役員達は他にもやることがあるようだが、単なる補助要員のリサには出番が無い。
 因みに新入生達は、入学式後もオリエンテーションが行わているようだ。

 愛原「リサ、一緒に帰るか?」
 リサ「おー!帰る帰る!やった!先生と一緒!」
 愛原「ちょうどパールが迎えに来てくれてるんだ。それで帰ろう」
 リサ「メイドさんが?いつもお兄ちゃんなのに?」
 愛原「高橋は点数が残り1点だろ?だけど、パールは別に減点されていない。だったら、迎えくらいはパールでいいだろうと思ったんだ。で、高橋が代わりに留守番」
 リサ「なるほど。それはいいアイディア」
 愛原「だろう?」

 学校裏手の駐車場に行くと、来客用の所に見慣れた車が止まっている。
 運転席にいたパールがリサ達を見つけると、車から降りて来た。

 パール「先生、お疲れ様です」
 愛原「ああ、待たせたな。早く帰って、昼飯にしよう」

 リサはパールが開けてくれたスライドドアからリアシートに乗り込んだ。
 愛原に先に乗るよう促された為、必然的に運転席の後ろに乗ることになる。

 パール「そのまま事務所直帰で宜しいのですね?」
 愛原「ああ、頼むよ」
 パール「かしこまりました」

 パールはエンジンを掛けて車を出した。

 愛原「事務所の方は何も無かったか?」
 パール「はい。私が出る時までは」
 愛原「そうか」
 リサ「お兄ちゃん、お昼ご飯作ってくれてるの?」
 パール「はい。得意のホットドッグですよ」
 リサ「おー、ホットドッグ!」
 愛原「この前はあいつ、事務所で焼きそば作ってたなぁ……」
 パール「ヤンキーだった当時、テキ屋のバイトをしていたって言ってましたからね。そのまま、テキ屋さんにスカウトされそうになったとか」
 愛原「あいつも面白い人生歩んでるなぁ……」
 リサ「ずっと研究所にいたわたしから見れば、羨ましいよ」
 パール「でも人生の大半、少年院とか少年刑務所ですよ?」
 愛原&リサ「それはヤダ」

 尚、この時、高橋はくしゃみをしていたという。

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