報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「仙台での聞き込み調査」 6

2023-04-16 20:33:24 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月6日13時28分 天候:晴 宮城県仙台市青葉区愛子中央 JR愛子駅→仙山線1854M列車先頭車内]

〔この電車は、仙山線、普通、仙台行きです〕

 マクドナルドで昼食を取った私とリサは、JR愛子駅に向かった。
 そこから当駅始発の上り電車に乗り込む。

 

 行きと違って4両編成の電車だったが、2両編成を2編成繋いだものではなく、4両で1編成のタイプであった。
 これだとワンマン運転には対応していない為、車内には整理券発行機も運賃表示器も運賃箱も無い。

 

 ドア横の2人席に座る。
 リサは変化後は平均的な女子高生の体型になったが、それでもバケットシートに座ると両脇が余るほど。
 いつもあれだけ食べているのに、そのカロリーは形態変化や電撃のエネルギーに消費されるという。

〔「お待たせ致しました。13時28分発、普通列車の仙台行き、まもなく発車致します」〕

 1番線や2番線から発車する場合には、構内踏切が作動するのだが、ホームの構造上、3番線から発車する電車に対しては踏切が作動しない。
 この電車がそうだった。
 特に駅の設備に発車メロディや発車ベルがあるわけでもないのだが、車両の車外スピーカーからそれが流れる。
 元々は乗降促進チャイムなのだが、JR東日本では駅の発車メロディと同じメロディが流れる。
 そして、ドアチャイムの後でドアが閉まるが、閉まり切る直前に一旦止まって、それからようやく閉まり切る。
 尚、仙山線にはまだホームドアが無い為、電車のドアが閉まると、すぐに発車する。

〔今日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は、仙山線、普通、仙台行きです。【中略】次は、陸前落合です〕

 リサは私に寄り掛かるように座った。

 リサ「お母さんにも『先生』と呼ぶ命の恩人がいて、わたしを生んだということは、その『先生』と結婚して……」
 愛原「おいおい。もしそうだとして、お前のお父さんは上野医師だ。俺は医者じゃなく、しがない探偵だ。しかも、本来は『先生』と呼ばれる職業じゃない。高橋が勝手にそう呼んで、オマエがそれに追随しているだけに過ぎない」

 そして、リサ率いる『魔王軍』のメンバーも。

 リサ「そうかな。わたしにとっては、先生はお医者さん以上に命の恩人だよ?」
 愛原「そうかもな」
 リサ「そっかぁ……。お母さんは、中学生でわたしを生んだのかぁ……」
 愛原「いや、まだ分からんよ?もっと後になってからかもしれんし」
 リサ「でも10代で生んだんでしょう?わたしも負けてられないね」
 愛原「なに変な所で対抗意識持つんだよ!?……まずは、人間に戻ってから。話はそれからだ」
 リサ「わたし……戻れないんじゃないかな?」
 愛原「そ、そんなことはないだろ!現に善場主任は戻ってるんだし……」
 リサ「今のわたしは変化した後で、本当の『鬼』になってる。元々善場さんと同じ方法じゃ戻れないのに、もっと戻る方法が分からなくなってる。もうずっとこのままなんだって、そう思うよ」
 愛原「いや、しかしだな……」
 リサ「だから、先生にはこの状態のわたしを受け入れてもらうしかないね!」
 愛原「おいおい……」

 さすがの上野医師も、普通の人間の女の子と結婚しただろうに……。
 私の相手は『鬼』だで?
 いくら善い行いしていないとはいえ、現世で鬼に責められるとは……。

[同日13時56分 天候:晴 宮城県仙台市青葉区中央 JR仙台駅]

〔まもなく終点、仙台、仙台。お出口は、左側です。新幹線、東北本線、常磐線、仙石線、仙石東北ライン、仙台空港アクセス線、仙台市地下鉄南北線と仙台市地下鉄東西線はお乗り換えです。今日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕

 電車は仙台駅に近づく度に乗客を増やして行き、座席は満席、ドア付近やロングシートの前の吊り革にも乗客が掴まるくらいになっていた。
 運行状況としては、だいたいダイヤ通り。
 仙台駅では1番東側にある、仙山線ホームに入線した。
 西口の外観が大宮駅と似てる仙台駅だが、ホーム番線の番号の振り方が東西逆になっていることに注意。
 これは新幹線ホームも同じ。

〔せんだい~、仙台~。本日も、JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました。お忘れ物の無いよう、ご注意ください〕

 電車を降りた私達は、地下鉄の乗換口ではなく、地上の改札口に向かった。

 リサ「先生、地下鉄に乗り換えないの?」
 愛原「ああ。それに、その前にやることがある」
 リサ「?」

 地上2階の改札口を通過すると、上りエスカレーターに乗って、3階に向かう。

 愛原「帰りの新幹線のキップを確保しようと思う」
 リサ「自由席じゃないんだ」
 愛原「まあな」

 エスカレーターを上って、すぐの所にある指定席券売機の所へ向かった。

 愛原「夜の新幹線にしよう。実家で夕食を食べて、それから東京に戻るといった感じで」
 リサ「分かった」

 私は指定席券売機で、東京駅までの新幹線特急券と乗車券を2枚購入した。
 特急券と乗車券の区間が一致している場合、それは1枚に纏められる(指定席券売機で購入する青券の場合)。
 なので、2人分ということで2枚キップが出てきた。

 愛原「実際に乗る時までは、俺が預かっておくからな?」
 リサ「うん」
 愛原「この後は……」

 再びエスカレーターに乗り、2階に戻る。
 しかし1階には下りず、そのままペデストリアンデッキに出た。

 愛原「バスで現地に向かおうと思う」
 リサ「そう」

 私はリサの手を取って、その路線バスが出る西口バスプールへと向かった。

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