[7月23日07:30.天候:晴 東海汽船・橘丸4Fレストラン]
朝の身支度を整えた私達は朝食を取る為、船内レストランへ向かった。
レストランは食券方式で、先に料金を払うタイプ。
愛原:「リサ、何がいい?」
私は肉好きのリサなだけに、カツカレーとかカルビ丼とかを所望するだろうと思っていた。
だが、実際は違った。
リサ:「オムライスー、オムライスー」
確かに券売機の左上に『橘オムライス』というものがあった。
ほぼトップの場所にあるだけに、大人気なのだろうか。
それなら私も食べてみよう。
斉藤:「えぇえ?リサさんがオムライスなら、私もー!」
斉藤さんはハートマークを飛ばしながら、リサに引っ付いた。
リサ:「サイトー、朝からハイテンション」
斉藤:「リサさんと一緒だからぁ!」
愛原:「霧崎さんは何にする?」
霧崎:「ありがとうございます。ですが、私は既に旅費は頂いてますので」
と、頑なに霧崎さんは断った。
どうやら、何か斉藤社長に言われているらしい。
結局、私達はオムライス、霧崎さんだけ、きつねうどんの食券を買っていた。
あとは食後にコーヒー。
愛原:「霧崎さんはオムライスできるの?」
霧崎:「もちろんですよ」
斉藤:「パールのオムライス、美味しいですよ」
リサ:「おー!今度食べたい!」
斉藤:「是非食べに来て!」
愛原:「高橋も料理は上手いのに、『オムライスはできない』って言うんだ。これはどうしてだろう?」
霧崎:「さァ?マサが収監された先で、オムライスを作る機会が無かったのでないでしょうか」
愛原:「それに対し、霧崎さんが収監された先ではオムライスを作る機会があったと?」
霧崎:「そんなところです」
オムライスができて、早速私達は朝食にありついた。
愛原:「因みに霧崎さん、『美味しくなる魔法』は掛けて……」
霧崎:「御嬢様、お熱いのでお気をつけください」
斉藤:「分かってるわよ」
愛原:「……くれないよね」
霧崎:「何か仰いましたか?」
霧崎さんはスカートの中に手を突っ込んだ。
明らかに次の瞬間、そこからアーミーナイフが飛び出してくる数秒前だ。
愛原:「……いえ、何でもないです。すいません」
明らかに秋葉原のメイドさんと遜色ない恰好してるのになぁ……。
[同日08:30.天候:曇 同船4F案内所]
朝食が終わり、霧崎さんは食後の一服をしに行った。
JC2人は5Fの船尾デッキに向かった。
私はというと……。
愛原:「よし」
私は案内所横にある公衆電話で、再び高橋に電話しようと思った。
昨夜はゆっくり話ができなかったが、今度は大丈夫だろう。
愛原:「もしもし?高橋か?」
高橋:「先生!」
愛原:「今どこにいる?俺達はもう少しで八丈島に着くところだ」
高橋:「だから、八丈島って……」
その時、高橋のスマホの音声が途切れた。
愛原:「もしもし?もしもし?どうした、高橋?聞こえるか?もしもーし!」
高橋:「……ああ、すいません。俺は今、別の島にいます」
愛原:「知ってる!だから、何だってそんな離島に?」
高橋:「先生達が来られたら、すぐにお話しします。俺もどこで監視されているか分からないので、そろそろこの辺で……」
と、その時だった!
霧崎:「動くな」
愛原:「!!!」
背後から低い声と共に、背中に硬い物が突き付けられた。
それが霧崎さんで、硬い物はナイフだとすぐに分かった。
霧崎さんはパッと私から受話器を奪い取った。
霧崎:「テメェ、いい加減にしろよ、あァ!?」
いつもの楚々としたメイドさんとは、明らかに人格が変わったのかと思うほど豹変していた。
霧崎:「……その手には乗らないからな!」
霧崎さんは吐き捨てるように言うと、叩き付けるように電話を切った。
愛原:「き、霧崎さん?タバコはよろしいのでせうか……?」
霧崎:「これから吸いに行きます」
霧崎さんはスカートの中にナイフをしまった。
そして私にくるっと背を向けたが、また私を振り向いた。
霧崎:「愛原先生」
愛原:「な、何だ?」
霧崎:「昨夜、マサに電話しましたでしょう?」
愛原:「し、知ってたのか!?」
霧崎:「先生はお気づきにならないんですか?」
愛原:「な、何が!?」
霧崎:「……御嬢様の安全を守る為、私と御嬢様は八丈島で待機させて頂きます」
愛原:「ど、どういうことだ!?」
霧崎:「では、一服行ってきます」
愛原:「ちょ、ちょっと!」
私は後を追おうとしたが、霧崎さんはさっさと船内エレベーターに乗ってしまった。
一体、何だと言うんだ?
私はもう一度、高橋に電話してみることにした。
だが、今度は繋がることはなかった。
そして、今度は高橋の友人の木村に電話してみることにした。
しかし、これもまた電源が切られているとかで繋がらなかった。
一体、霧崎さんは何を知っているんだろう?」
[同日09:00.天候:曇 東京都八丈町 八丈島底土港]
船は5分遅れで八丈島に到着した。
空は曇っていたが、まずまずの天気だ。
斉藤:「せっかく来たのに、泳げないのが残念ね。せっかく新しい水着をリサさんに見せてあげたかったのに」
リサ:「それは高橋兄ちゃんを見つけたらにしよう。先生、ここからどうする?」
愛原:「その前に……。霧崎さん、何か高橋のことで知っていることがあるのか?」
霧崎:「何のことでしょう?」
愛原:「船の中で何か言ってたじゃないか!」
霧崎:「先生の御仕事です。私は邪魔はしませんよ」
愛原:「何言ってるんだ。斉藤さん、霧崎さんとキミとはここでお別れだ」
斉藤:「ええっ!?」
愛原:「高橋は離島へ向かったが、そこへは俺とリサで行く」
斉藤:「どういうことですか!?」
愛原:「霧崎さんがここに残るって言うんだ。斉藤さんと一緒にね」
斉藤:「パール、どういうことなの!?」
霧崎:「先生がこれから向かわれる島は、大変危険です。御嬢様の安全の為、渡島はお断りします」
愛原:「どうして危険なのかを教えてもらえないかな?」
霧崎:「分からないんですか?」
愛原:「分かんないよ」
霧崎:「あのマサが怯えて逃げる相手に追われてるんですよ?しかもその正体が分からない。八丈島まででしたら、まだ船とか飛行機とか、そいつから逃げる手段もありますが、今度行く島は船しか無いような場所でしょ?そんな所に御嬢様をお連れはできませんね」
愛原:「でも、それを想定して付いて来たんだろう?今更何を言ってるんだ?」
霧崎:「この島の中でしたら、お付き合いしますよ?マサの行方を捜されるんでしょう?」
愛原:「もうどの島に渡ったかの情報は得た。あとは、どうやってその島に向かうかだ。多分、同じ港から出ているだろう」
案内所に向かうことにした。
朝の身支度を整えた私達は朝食を取る為、船内レストランへ向かった。
レストランは食券方式で、先に料金を払うタイプ。
愛原:「リサ、何がいい?」
私は肉好きのリサなだけに、カツカレーとかカルビ丼とかを所望するだろうと思っていた。
だが、実際は違った。
リサ:「オムライスー、オムライスー」
確かに券売機の左上に『橘オムライス』というものがあった。
ほぼトップの場所にあるだけに、大人気なのだろうか。
それなら私も食べてみよう。
斉藤:「えぇえ?リサさんがオムライスなら、私もー!」
斉藤さんはハートマークを飛ばしながら、リサに引っ付いた。
リサ:「サイトー、朝からハイテンション」
斉藤:「リサさんと一緒だからぁ!」
愛原:「霧崎さんは何にする?」
霧崎:「ありがとうございます。ですが、私は既に旅費は頂いてますので」
と、頑なに霧崎さんは断った。
どうやら、何か斉藤社長に言われているらしい。
結局、私達はオムライス、霧崎さんだけ、きつねうどんの食券を買っていた。
あとは食後にコーヒー。
愛原:「霧崎さんはオムライスできるの?」
霧崎:「もちろんですよ」
斉藤:「パールのオムライス、美味しいですよ」
リサ:「おー!今度食べたい!」
斉藤:「是非食べに来て!」
愛原:「高橋も料理は上手いのに、『オムライスはできない』って言うんだ。これはどうしてだろう?」
霧崎:「さァ?マサが収監された先で、オムライスを作る機会が無かったのでないでしょうか」
愛原:「それに対し、霧崎さんが収監された先ではオムライスを作る機会があったと?」
霧崎:「そんなところです」
オムライスができて、早速私達は朝食にありついた。
愛原:「因みに霧崎さん、『美味しくなる魔法』は掛けて……」
霧崎:「御嬢様、お熱いのでお気をつけください」
斉藤:「分かってるわよ」
愛原:「……くれないよね」
霧崎:「何か仰いましたか?」
霧崎さんはスカートの中に手を突っ込んだ。
明らかに次の瞬間、そこからアーミーナイフが飛び出してくる数秒前だ。
愛原:「……いえ、何でもないです。すいません」
明らかに秋葉原のメイドさんと遜色ない恰好してるのになぁ……。
[同日08:30.天候:曇 同船4F案内所]
朝食が終わり、霧崎さんは食後の一服をしに行った。
JC2人は5Fの船尾デッキに向かった。
私はというと……。
愛原:「よし」
私は案内所横にある公衆電話で、再び高橋に電話しようと思った。
昨夜はゆっくり話ができなかったが、今度は大丈夫だろう。
愛原:「もしもし?高橋か?」
高橋:「先生!」
愛原:「今どこにいる?俺達はもう少しで八丈島に着くところだ」
高橋:「だから、八丈島って……」
その時、高橋のスマホの音声が途切れた。
愛原:「もしもし?もしもし?どうした、高橋?聞こえるか?もしもーし!」
高橋:「……ああ、すいません。俺は今、別の島にいます」
愛原:「知ってる!だから、何だってそんな離島に?」
高橋:「先生達が来られたら、すぐにお話しします。俺もどこで監視されているか分からないので、そろそろこの辺で……」
と、その時だった!
霧崎:「動くな」
愛原:「!!!」
背後から低い声と共に、背中に硬い物が突き付けられた。
それが霧崎さんで、硬い物はナイフだとすぐに分かった。
霧崎さんはパッと私から受話器を奪い取った。
霧崎:「テメェ、いい加減にしろよ、あァ!?」
いつもの楚々としたメイドさんとは、明らかに人格が変わったのかと思うほど豹変していた。
霧崎:「……その手には乗らないからな!」
霧崎さんは吐き捨てるように言うと、叩き付けるように電話を切った。
愛原:「き、霧崎さん?タバコはよろしいのでせうか……?」
霧崎:「これから吸いに行きます」
霧崎さんはスカートの中にナイフをしまった。
そして私にくるっと背を向けたが、また私を振り向いた。
霧崎:「愛原先生」
愛原:「な、何だ?」
霧崎:「昨夜、マサに電話しましたでしょう?」
愛原:「し、知ってたのか!?」
霧崎:「先生はお気づきにならないんですか?」
愛原:「な、何が!?」
霧崎:「……御嬢様の安全を守る為、私と御嬢様は八丈島で待機させて頂きます」
愛原:「ど、どういうことだ!?」
霧崎:「では、一服行ってきます」
愛原:「ちょ、ちょっと!」
私は後を追おうとしたが、霧崎さんはさっさと船内エレベーターに乗ってしまった。
一体、何だと言うんだ?
私はもう一度、高橋に電話してみることにした。
だが、今度は繋がることはなかった。
そして、今度は高橋の友人の木村に電話してみることにした。
しかし、これもまた電源が切られているとかで繋がらなかった。
一体、霧崎さんは何を知っているんだろう?」
[同日09:00.天候:曇 東京都八丈町 八丈島底土港]
船は5分遅れで八丈島に到着した。
空は曇っていたが、まずまずの天気だ。
斉藤:「せっかく来たのに、泳げないのが残念ね。せっかく新しい水着をリサさんに見せてあげたかったのに」
リサ:「それは高橋兄ちゃんを見つけたらにしよう。先生、ここからどうする?」
愛原:「その前に……。霧崎さん、何か高橋のことで知っていることがあるのか?」
霧崎:「何のことでしょう?」
愛原:「船の中で何か言ってたじゃないか!」
霧崎:「先生の御仕事です。私は邪魔はしませんよ」
愛原:「何言ってるんだ。斉藤さん、霧崎さんとキミとはここでお別れだ」
斉藤:「ええっ!?」
愛原:「高橋は離島へ向かったが、そこへは俺とリサで行く」
斉藤:「どういうことですか!?」
愛原:「霧崎さんがここに残るって言うんだ。斉藤さんと一緒にね」
斉藤:「パール、どういうことなの!?」
霧崎:「先生がこれから向かわれる島は、大変危険です。御嬢様の安全の為、渡島はお断りします」
愛原:「どうして危険なのかを教えてもらえないかな?」
霧崎:「分からないんですか?」
愛原:「分かんないよ」
霧崎:「あのマサが怯えて逃げる相手に追われてるんですよ?しかもその正体が分からない。八丈島まででしたら、まだ船とか飛行機とか、そいつから逃げる手段もありますが、今度行く島は船しか無いような場所でしょ?そんな所に御嬢様をお連れはできませんね」
愛原:「でも、それを想定して付いて来たんだろう?今更何を言ってるんだ?」
霧崎:「この島の中でしたら、お付き合いしますよ?マサの行方を捜されるんでしょう?」
愛原:「もうどの島に渡ったかの情報は得た。あとは、どうやってその島に向かうかだ。多分、同じ港から出ているだろう」
案内所に向かうことにした。
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