報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「八丈島最終日」

2020-08-20 14:45:45 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月26日10:00.天候:晴 東京都八丈町 八丈島三根 リードパークリゾート八丈島]

 私達は滞在していたホテルをチェックアウトした。

 リサ:「先生、飛行機の時間までどうするの?」
 愛原:「そうだな。俺的には、まだ行ってない温泉に行ってみたい気がするんだが……」
 斉藤:「先生は本当に温泉が好きですね」
 愛原:「非日常を味わうのに打ってつけなんだ。本当は海にでも入りたいところなんだけど、コロナ禍じゃ、海水浴場は開いてないしな」

 私達は駐車場に止めていたレンタカーに乗り込んだ。

 斉藤:「うわ、暑い!」
 愛原:「すぐにエンジン掛けるから」

 私は運転席に乗り込むとエンジンを掛けた。
 すぐにエアコンの風がゴォと強く吹いてくる。

 愛原:「それじゃ、まだ行ってない温泉を……と」

 私はカーナビを操作して、まだ行ったことのない温泉を検索した。

 愛原:「“ふれあいの湯”か。よし、ここに行こう」

〔音声案内を開始します。実際の交通規則に従って運転してください〕

 私は車を走らせた。

 愛原:「悪いな、2人とも。俺の趣味に付き合ってもらっちゃって……」

 私はハンドルを握りながら、ルームミラー越しにリアシートのリサ達に行った。

 斉藤:「私はリサさんと裸のお付き合いができるので、全然オッケーです!」
 リサ:「私は先生の行く所だったら、どこにでも行く」
 愛原:「そうか」

[同日10:15.天候:晴 同町樫立地区 樫立向里温泉“ふれあいの湯”]

 車で15分ほど走った温泉場に到着する。

 愛原:「着いたよ」
 リサ:「まずは1軒目」

 車から降りて建物に向かう。

 リサ:「先生、お土産はどうする?」
 愛原:「空港で買えるよ」

 ホテルの売店でもお土産は売っていた。
 しかしそこで私が買ったのは、ボスへのお土産。
 直接ボスへの手渡しはできないので、売店で適当なのを見繕って、そこから発送した。
 財布の中に入れた送り状には、『東京都千代田区大手町【以下、丁目・番・号】 世界探偵協会日本支部関東地区本部東京地区事務所 愛原学探偵事務所担当様』と、随分と長々と宛先が書かれている。
 もちろん、私が書いたものだ。
 もっと略して書けないものかなと思う。
 それとも、『愛原学探偵事務所』という名前を変えるか?いや、でもなぁ……。
 未だにボスのことは分からないが、この宛先で届くことから、探偵協会の人だということは分かっている。
 で、どういう経緯か、事務所を立ち上げたばかりの私の前に現れ(電話越しだが)、私の仕事の面倒を見てくれるという。
 それ以来、クライアントの斡旋だとか、協会の研修やら会議やらに誘われて、たまに参加しているというわけだ。
 そこでもボスに会うことは一度も無かった。
 とはいえ、仕事の面でお世話になっていることは事実。
 お土産くらい発送すべきだと思い、そうしたまでだ。
 あとは斉藤社長だな。
 これはやはり、報告書の提出と一緒に御土産も手渡しの方がいいだろう。

 愛原:「それじゃ、ここでしばしのお別れだな」

 料金を払うと私は男湯に、リサと斉藤さんは女湯に向かった。

 愛原:「ふぅーっ!」

 先に体を洗い、それからまずは内湯に浸かる。
 お湯の濁り方からして、内湯も温泉であるようだ。
 スーパー銭湯とかだと、内湯は普通のお湯で、露天風呂に行ってそこで初めて天然温泉というパターンもある。

 愛原:(飛行機の時間は17時半か……。その約1時間前に到着できるようにするとして、あと2~3軒は行けそうだな)

 八丈島はこのように温泉も豊富な所だ。
 その為、私のような温泉好きが、それ目当てに渡島することもあるとのこと。
 作者の警備会社も今年の慰安旅行はコロナ禍で中止になったことだし、次の慰安旅行先を八丈島にすれば、同じ東京都内なのだから、小池都知事も文句は無いだろう。

[同日10:45.天候:晴 同温泉内 休憩室]

 温泉から上がり、休憩室で少し休む。
 畳敷きの和室で、マッサージチェアがあり、テレビも点いている。

 リサ:「あ゛~つ゛~い゛~そ゛~!」

 リサ、室内にある大型扇風機の前に陣取って涼んでいた。
 ファンの前に向かって喋り、声を震わせている。

 斉藤:「はい、リサさん。お風呂上がりのスポーツドリンク」
 リサ:「お゛お゛~!」

 斉藤さんは休憩室内にある自動販売機で、スポーツドリンクを買って来た。
 リサはそれを受け取って、半分ほど一気に飲み干した。

 リサ:「プハハーッ!」(≧∇≦)
 斉藤:「リサさん、いい飲みっぷり!」(・∀・)イイネ!!

 全く、無邪気なもんだ。
 やはり私が昨夜見た悪夢は、やっぱりただの夢だったのだろうな。
 うん、そう信じたい。
 因みに私は、マッサージチェアで寛いでいた。
 さて、次はどこに行こうか……。

 斉藤:「あ、先生。さっき父から連絡があったんですけど、報告書は明日以降でいいそうです」
 愛原:「ああ、やっぱりか」

 まあ、どうせ帰着するのは夜になるんだから、そういうことになりそうだ。

 愛原:「お父さんに明日の午後、会社の方に伺うと伝えてくれないか?」
 斉藤:「明日の午後ですか?」
 愛原:「ああ。午前中に報告書を書くから」
 斉藤:「分かりました」

 マッサージチェアが終わったら、次の温泉に行くか。

 愛原:「ん?もう終わりか」

 マッサージチェアから起き上がると、電話が掛かって来た。
 画面を見ると、ボスからだった。

 愛原:「珍しいな。……はい、もしもし?」
 ボス:「私だ」

 相変わらずの受け答え。
 もちろん、ボスの名前が『ワタシ』さんというわけではない。

 ボス:「どうかね?八丈島旅行、満喫してるかね?」
 愛原:「どうして知ってるんですか……」
 ボス:「奇遇だからだよ。実は私も八丈島にいたのだ。はっはっはっ」
 愛原:「ええっ!?」
 ボス:「今、私は洋上にいるよ。自分用のお土産は買ったが、キミのお土産も期待しているよ。私の気に入る物が届いたなら、キミにもっと素晴らしい仕事を紹介しよう」
 愛原:「本当ですか!」
 ボス:「ああ。それと、これはキミに忠告なのだが……JCお宝映像はお宝映像として、秘蔵しておくことだ」
 愛原:「何の話ですか?」
 ボス:「如何にリサ・トレヴァーが『おませ』だからと言って、本来ならモザイクが掛かるような映像の部分だけはカットし、クライアントに提出しないと大変なことになるよ、と」
 愛原:「だから何で知ってるんですか!」

 先日、ホテルのプールでリサ達を撮影している時、リサだけが私の前で水着を捲って見せたことか……。
 怖ぇー!探偵協会、怖ぇ!
 いつの間に監視されていたのやら……。

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