[9月11日07:00.天候:曇 冥鉄汽船スターオーシャン号 イリーナ組の部屋]
和室部分の部屋に布団を敷いて寝ている稲生。
枕元に置いてあるスマホのアラームが鳴った。
明らかにこれはJR大宮駅、宇都宮線ホームの発車メロディである。
稲生:「う……ううーん……」
ピッとアラームを止めると、ご丁寧にも客終合図のベルがジリリリと鳴るシステム。
二度寝防止?
稲生:「うん……」
起き上がって洗面所に行こうとした稲生。
稲生:(昨夜は大変だったなぁ……)
さしものイリーナも、エレーナと取っ組み合いのケンカをしたマリアには大説教を施した。
稲生は先に寝ていいということで半ば強制的に就寝させられたが、襖1枚隔てただけではイリーナの説教が聞こえないわけではなく、これでは眠れなかった。
挙げ句の果てには、口答えしたマリアにビンタを食らわせる音まで……!
ムニッ……!
稲生:「!?」
薄暗い部屋で起き上がろうとした稲生の左手に、何か柔らかいものが当たった。
マリア:「ふぁ……」
稲生:「!!!」
いつの間にか稲生の隣には、もう一組布団が敷かれていて、そこにマリアが寝ていた。
どこに触ったのかは【お察しください】。
稲生:「ま、マリアさん!?何でここに!?」
マリア:「う……んん………」
稲生の驚愕声にマリアも目を覚ました。
マリア:「あんなに怒られて、すぐ師匠の隣で寝られるわけがない。ユウタならよく寝てるから、ここなら眠れると思った」
稲生:「ええ〜……?(マリアさん、変わったなぁ……)」
段々本来の性格に戻りつつあるのかもしれない。
ダンテ一門では『魔女』を卒業できると『魔道師』へと昇格できるらしいが……。
もちろん、入門の経緯によっては最初から『魔道師』への課程を始める者もいる。
稲生やエレーナなどがそうだ。
マリアも人間時代の業によって成った『魔女』を卒業しつつあるのかもしれない。
[同日08:00.天候:曇 冥鉄汽船スターオーシャン号 大食堂]
船内最後の食事は、パーティーが行われた大食堂で行われた。
立食形式ではなく、ちゃんと円型のテーブルが置かれている。
そしてバイキング方式だった。
稲生:「船の旅も終わりかぁ……。一生に一度の豪華客船の旅……」
マリア:「魔道師に『一生』なんて無いぞ。ということはこの先、また何度も乗れる機会があるはずだ」
稲生:「銀河鉄道999号に乗れるまで頑張りますよ」
稲生は主に和食中心の料理を皿に盛った。
人間界に帰ったら、和食を口にする機会がほぼ無くなるからである。
住み込み弟子として修行する稲生だが、もちろん下っ端の食事の好みは後回しにされる。
従って、ロシア人のイリーナやイギリス人のマリアの好みが優先されるのだ。
こういう所にも、魔道師の世界における上下関係が出る。
稲生:「エレーナはどうしたんでしょう?あいつも相当説教食らったんですよね?」
マリア:「知らない。だいたい、あいつが絡んできたせいなんだぞ。あいつが絡むと、ほんとロクなことが無い」
稲生:「まあまあ」
因みにイリーナはまだ部屋で寝ている。
『説教疲れ』とのことだ。
2度、3度口答えしたマリアに2度、3度ビンタを食らわしたイリーナだったが、ビンタした際に肩と腰がグキッとなったらしい。
稲生:「いただきまーす」
マリア:「イタダキマス……」
稲生:「エレーナの場合は『説教され疲れ』かな」
マリア:「知らないな。ま、これを日本語では『御愁傷様』と言うのか?」
稲生:「別の意味でね」
リリィアンヌ:「フヒヒ……マリアンナ先輩、稲生先輩、おはようございます……」
稲生:「リリィ!?」
マリア:「リリィがここにいるということは……!?」
リリィ:「フヒッ!……私1人です」
酔っ払うと呂律が回らなくなり、『私』が『わらひ』となる。
そうなると、魔女としての本領が発揮されるので要注意だ。
リリィ:「エレーナ先輩はお尻が腫れちゃって、うつ伏せでウンウン唸っております……」
マリア:「何をされたんだ?」
稲生:「お尻ペンペン……?」
リリィ:「ポーリン先生はそれで腕を痛めておられたので、同じく部屋で休まれております……」
稲生:「お尻ペンペンし過ぎたか……」
マリア:「婆さん達がイキがると、こうだからな。世話無いよ」
稲生:「マリアさん、それはちょっと言い過ぎです。またビンタされますよ」
マリア:「う……」
リリィ:「それはもう、壮絶なお説教でした……。エレーナ先輩、スカートから下着から全部引き剥がされて……後はもう……何も言えません……」
稲生:「そんなに!?」
マリア:「まだビンタだけで済んだ私の方がマシだったか……」
するとリリィ、魔女がよく被っているとんがり帽子を取ると、そこからボクサーパンツのようなものを取り出した。
リリィ:「これ……昨夜のカジノでの……稲生先輩の勝ち分です……。エレーナ先輩、それどころじゃないので……私が持って来ました……フフフ……。本当は生下着がいいのでしょうが……私が持って来れたのはこれが精一杯です……ごめんなさい……」
稲生:「何これ?」
マリア:「多分、エレーナがショーツの上に穿いてるオーバーだな」
稲生:「いや、僕は要らないよ。先に持ち出したのはエレーナなんだし。横田理事にでもあげたら?」
横田:「クフフフフフ……。おはようございます」
何と横田、稲生達のテーブルの下から現れた。
何というストーカー術!
稲生:「出た!横田理事!」
マリア:「オマエ、もう出番ナシってカントクに言われたよな!?」
横田:「クフフフフフフ……。カントクは先ほどスロットで大勝されたもので、機嫌が良い所に直談判したところ、再登場OKとの許可を賜りました。功徳です」
稲生:「何がだ!」
横田:「クフフフフフ……。ところで、そのオーバーパンツの件ですが……」
マリア:「譲ってやるから、好きなように使え。そして私達の前から消えろ」
横田:「あいにくと興味はございません」
稲生:「なにっ?!」
マリア:「ぬねの!?」
リリィ:「フヒッ!?」
横田:「私は女性の肌に直接身に付ける下着や水着が好きなのです。このように、その下着の上から着けるものには興味がございません。もっとも、これがブルマーでしたら喜んで頂くところですがね。クフフフフフフ……」
稲生:「基準が分からん……」
横田:「それよりも……」
キラーンと横田の眼鏡が光る。
横田:「リリアンヌさん。あなたが今穿いてるのは、ジュニアサニタリーショーツですね?先ほど女子トイレにナプキンの入ったポーチを手に入っておられたでしょう?」
リリィ:「フヒッ!?」
横田:「あなたの今穿いているジュニアサニタリーショーツと使用中のナプキンでしたら、喜んで受け取りましょう。クフフフフフ……」
リリィ:「フヒヒヒヒヒ……!」
リリィ、テーブルの上にあったワインの瓶をラッパ飲み。
稲生:「り、リリィ!?」
マリア:「マズい!ユウタ、離脱するぞ!」
稲生とマリアが離脱した瞬間!
リリィ:「ゴートゥヘーーールッ!!!フヒヒヒヒフハハッアッハッハッ!!!デス・ヴァシィ・ルゥ・ラァァァァーーーッ!!!」
横田:「あ〜れ〜!」
普段はコミュ障まっしぐらの中学生魔女だが、酒が沢山入れば入るほど強い魔法が使えるというトンデモ危険な魔女なのだ。
稲生:「で、デスバシルーラ!?」
マリア:「普通のヴァシィ・ルゥ・ラが、取りあえず安全な場所には着地させてやるのに対して、その頭にデス(Deth)が着くと、より危険な場所まで飛ばしてやるというものだ」
稲生:「怖い怖い!」
マリア:「取りあえず、朝食は向こうで食べよう」
稲生:「は、はい!」
最後まで楽しい旅(色んな意味で)を繰り広げたダンテ一門の魔女達であった。
和室部分の部屋に布団を敷いて寝ている稲生。
枕元に置いてあるスマホのアラームが鳴った。
明らかにこれはJR大宮駅、宇都宮線ホームの発車メロディである。
稲生:「う……ううーん……」
ピッとアラームを止めると、ご丁寧にも客終合図のベルがジリリリと鳴るシステム。
二度寝防止?
稲生:「うん……」
起き上がって洗面所に行こうとした稲生。
稲生:(昨夜は大変だったなぁ……)
さしものイリーナも、エレーナと取っ組み合いのケンカをしたマリアには大説教を施した。
稲生は先に寝ていいということで半ば強制的に就寝させられたが、襖1枚隔てただけではイリーナの説教が聞こえないわけではなく、これでは眠れなかった。
挙げ句の果てには、口答えしたマリアにビンタを食らわせる音まで……!
ムニッ……!
稲生:「!?」
薄暗い部屋で起き上がろうとした稲生の左手に、何か柔らかいものが当たった。
マリア:「ふぁ……」
稲生:「!!!」
いつの間にか稲生の隣には、もう一組布団が敷かれていて、そこにマリアが寝ていた。
どこに触ったのかは【お察しください】。
稲生:「ま、マリアさん!?何でここに!?」
マリア:「う……んん………」
稲生の驚愕声にマリアも目を覚ました。
マリア:「あんなに怒られて、すぐ師匠の隣で寝られるわけがない。ユウタならよく寝てるから、ここなら眠れると思った」
稲生:「ええ〜……?(マリアさん、変わったなぁ……)」
段々本来の性格に戻りつつあるのかもしれない。
ダンテ一門では『魔女』を卒業できると『魔道師』へと昇格できるらしいが……。
もちろん、入門の経緯によっては最初から『魔道師』への課程を始める者もいる。
稲生やエレーナなどがそうだ。
マリアも人間時代の業によって成った『魔女』を卒業しつつあるのかもしれない。
[同日08:00.天候:曇 冥鉄汽船スターオーシャン号 大食堂]
船内最後の食事は、パーティーが行われた大食堂で行われた。
立食形式ではなく、ちゃんと円型のテーブルが置かれている。
そしてバイキング方式だった。
稲生:「船の旅も終わりかぁ……。一生に一度の豪華客船の旅……」
マリア:「魔道師に『一生』なんて無いぞ。ということはこの先、また何度も乗れる機会があるはずだ」
稲生:「銀河鉄道999号に乗れるまで頑張りますよ」
稲生は主に和食中心の料理を皿に盛った。
人間界に帰ったら、和食を口にする機会がほぼ無くなるからである。
住み込み弟子として修行する稲生だが、もちろん下っ端の食事の好みは後回しにされる。
従って、ロシア人のイリーナやイギリス人のマリアの好みが優先されるのだ。
こういう所にも、魔道師の世界における上下関係が出る。
稲生:「エレーナはどうしたんでしょう?あいつも相当説教食らったんですよね?」
マリア:「知らない。だいたい、あいつが絡んできたせいなんだぞ。あいつが絡むと、ほんとロクなことが無い」
稲生:「まあまあ」
因みにイリーナはまだ部屋で寝ている。
『説教疲れ』とのことだ。
2度、3度口答えしたマリアに2度、3度ビンタを食らわしたイリーナだったが、ビンタした際に肩と腰がグキッとなったらしい。
稲生:「いただきまーす」
マリア:「イタダキマス……」
稲生:「エレーナの場合は『説教され疲れ』かな」
マリア:「知らないな。ま、これを日本語では『御愁傷様』と言うのか?」
稲生:「別の意味でね」
リリィアンヌ:「フヒヒ……マリアンナ先輩、稲生先輩、おはようございます……」
稲生:「リリィ!?」
マリア:「リリィがここにいるということは……!?」
リリィ:「フヒッ!……私1人です」
酔っ払うと呂律が回らなくなり、『私』が『わらひ』となる。
そうなると、魔女としての本領が発揮されるので要注意だ。
リリィ:「エレーナ先輩はお尻が腫れちゃって、うつ伏せでウンウン唸っております……」
マリア:「何をされたんだ?」
稲生:「お尻ペンペン……?」
リリィ:「ポーリン先生はそれで腕を痛めておられたので、同じく部屋で休まれております……」
稲生:「お尻ペンペンし過ぎたか……」
マリア:「婆さん達がイキがると、こうだからな。世話無いよ」
稲生:「マリアさん、それはちょっと言い過ぎです。またビンタされますよ」
マリア:「う……」
リリィ:「それはもう、壮絶なお説教でした……。エレーナ先輩、スカートから下着から全部引き剥がされて……後はもう……何も言えません……」
稲生:「そんなに!?」
マリア:「まだビンタだけで済んだ私の方がマシだったか……」
するとリリィ、魔女がよく被っているとんがり帽子を取ると、そこからボクサーパンツのようなものを取り出した。
リリィ:「これ……昨夜のカジノでの……稲生先輩の勝ち分です……。エレーナ先輩、それどころじゃないので……私が持って来ました……フフフ……。本当は生下着がいいのでしょうが……私が持って来れたのはこれが精一杯です……ごめんなさい……」
稲生:「何これ?」
マリア:「多分、エレーナがショーツの上に穿いてるオーバーだな」
稲生:「いや、僕は要らないよ。先に持ち出したのはエレーナなんだし。横田理事にでもあげたら?」
横田:「クフフフフフ……。おはようございます」
何と横田、稲生達のテーブルの下から現れた。
何というストーカー術!
稲生:「出た!横田理事!」
マリア:「オマエ、もう出番ナシってカントクに言われたよな!?」
横田:「クフフフフフフ……。カントクは先ほどスロットで大勝されたもので、機嫌が良い所に直談判したところ、再登場OKとの許可を賜りました。功徳です」
稲生:「何がだ!」
横田:「クフフフフフ……。ところで、そのオーバーパンツの件ですが……」
マリア:「譲ってやるから、好きなように使え。そして私達の前から消えろ」
横田:「あいにくと興味はございません」
稲生:「なにっ?!」
マリア:「ぬねの!?」
リリィ:「フヒッ!?」
横田:「私は女性の肌に直接身に付ける下着や水着が好きなのです。このように、その下着の上から着けるものには興味がございません。もっとも、これがブルマーでしたら喜んで頂くところですがね。クフフフフフフ……」
稲生:「基準が分からん……」
横田:「それよりも……」
キラーンと横田の眼鏡が光る。
横田:「リリアンヌさん。あなたが今穿いてるのは、ジュニアサニタリーショーツですね?先ほど女子トイレにナプキンの入ったポーチを手に入っておられたでしょう?」
リリィ:「フヒッ!?」
横田:「あなたの今穿いているジュニアサニタリーショーツと使用中のナプキンでしたら、喜んで受け取りましょう。クフフフフフ……」
リリィ:「フヒヒヒヒヒ……!」
リリィ、テーブルの上にあったワインの瓶をラッパ飲み。
稲生:「り、リリィ!?」
マリア:「マズい!ユウタ、離脱するぞ!」
稲生とマリアが離脱した瞬間!
リリィ:「ゴートゥヘーーールッ!!!フヒヒヒヒフハハッアッハッハッ!!!デス・ヴァシィ・ルゥ・ラァァァァーーーッ!!!」
横田:「あ〜れ〜!」
普段はコミュ障まっしぐらの中学生魔女だが、酒が沢山入れば入るほど強い魔法が使えるというトンデモ危険な魔女なのだ。
稲生:「で、デスバシルーラ!?」
マリア:「普通のヴァシィ・ルゥ・ラが、取りあえず安全な場所には着地させてやるのに対して、その頭にデス(Deth)が着くと、より危険な場所まで飛ばしてやるというものだ」
稲生:「怖い怖い!」
マリア:「取りあえず、朝食は向こうで食べよう」
稲生:「は、はい!」
最後まで楽しい旅(色んな意味で)を繰り広げたダンテ一門の魔女達であった。
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