報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「台風19号接近」

2019-10-19 12:31:06 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月12日18:00.天候:雨 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所→愛原のマンション]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日は土曜日であるが、探偵は土曜も日曜もお盆も年末年始も関係無い。
 いつクライアントから仕事の依頼が来るか分からないので、土曜日は事務所にいる。

 愛原:「よし、定時だ。高野君、気をつけて帰るんだよ?」
 高野:「皆して家が近所ですから、その辺は心配無いですね」
 愛原:「いや、まあ、そうなんだけどさ……」

 というのは、今都内には台風19号が接近しており、電車が悉く計画運休をし始めているのだ。

 高橋:「事務所も家も5階ですけど、洪水大丈夫ですかね?」
 愛原:「いや、洪水の心配は無いだろう。問題は停電だな」
 高橋:「懐中電灯と電池とラジオは既に用意してあります」
 愛原:「うん。高野君も大丈夫かい?」
 高野:「御心配無く」

 高野君は片目を瞑ってみせた。

 愛原:「よし、行こう」

 私達は事務所をあとにし、雨風が強くなっている中を家に向かって歩き出した。

 愛原:「ていうか、事務所から少し歩くだけでずぶ濡れだな。傘が殆ど役に立たない」
 高橋:「それが台風ってもんですよ」
 愛原:「……だな」

 停電になるか否か、私達はマンションに帰ると、エレベーターで5階に上がった。

 リサ:「愛原先生、お帰りなさい」

 玄関を開けると、先に帰っていたリサが出迎えた。

 愛原:「おー、ただいま。腹減ったろ。飯にしよう」
 高橋:「はい。停電になる前に、美味い飯作らせて頂きます」

 私はリビングのテレビを点けたが、やっぱりどこの番組も台風中継をやっていた。

 愛原:「ネットやなんかじゃ、台風の最中ずぶ濡れで歩くJKの画像がエロ画像としてUPされていることがあるんだ」
 リサ:「エロ画像?」
 愛原:「要はずぶ濡れになることでブラウスが透けてブラが見えたり、強風でスカートが捲れてパンチラしたりするからさ」
 リサ:「おー」

 するとリサ、何を思ったか、制服のベストを脱ぐとベランダに出た。
 当然、大雨でずぶ濡れになり、強風がスカートが靡くが、JCのスカートはJKと比べると長いので、パンチラするほど捲れ上がらない。

 リサ:「先生、私エロい?」
 愛原:「何やってるんだ!俺は『だからオマエも気をつけろ』と言いたかったんだよ!早く着替えてこい!」

 確かにリサの白いブラウスがずぶ濡れになったことで、スポブラが透けて見えてしまっているが……。

 愛原:「風邪引くから、ついでに風呂入ってこい!」
 高橋:「先生!俺は先生に一番風呂に入ってもらいたくて……」
 愛原:「別にいいよ。俺は1番最後でも」
 リサ:「私、シャワーだけでいい」
 愛原:「いいから早く入ってこい!」

 私はリサを浴室へ押し込んだ。
 普通の人間のJCだと絶対に警戒心を持つだろうに、リサときたら……。
 元は普通の人間の少女だっただろうに、BOWに改造されたことで羞恥心も弱くなっているということか。
 確かに“バイオハザード”には元は人間の女性であったBOWも登場するが、ボスキャラとして現れる時、大抵彼女らは裸だ。
 ザコゾンビがまだ一応服は着ているのに対して、だ。
 霧生市で会った逆さ女(サスペンデッド。リッカーの上位種)も、上半身は裸だったからな。

 高橋:「リサにも参りましたねぇ……」
 愛原:「まだ俺達の前でだけでならいいんだが、学校で突拍子も無いことをやってドン引きでもされたらマズいぞ」
 高橋:「そうすることで、ガッコの厳しさを学ぶんですよ」

 高橋は何故かしみじみと言ってウンウンと1人頷いた。

 愛原:「正体でもバレたりしたら、一発アウトだからな……」
 リサ:「愛原先生、スカート乾かして」
 愛原:「あー、もう!ブラウスとか下着は洗濯カゴに入れとけよ!」

 その時、バチバチバチと大粒の雨が窓ガラスを叩く音がした。

 愛原:「おい、マジかよ……。まだ夕方だで?」
 高橋:「どうやら今度の台風はガチみたいですね」
 愛原:「一応、停電対策用具と非常食を確認しておこう。夕飯、いつできる?」
 高橋:「あ、今カレー温めてるんで、もう少しお待ちを」
 愛原:「さっきからいい匂いすると思ったらカレーだったか!」
 高橋:「カレーならある程度日持ちますから、プチ非常食です」
 愛原:「いいアイディアだな。……と、褒めたいところだが、欠点はあるぞ」
 高橋:「何ですか?」
 愛原:「要は残ったカレーをタッパに詰めて冷凍しておけば数日持つと言いたいんだろう?」
 高橋:「そういうことです」
 愛原:「俺は今なんて言った?」
 高橋:「えっと……」
 愛原:「停電するかもしれないんだよ、この台風で。冷蔵庫は何で動いてる?」
 高橋:「あ……!」
 愛原:「しかもこのマンション、築浅だろ?」
 高橋:「そうです。だからボロアパートと比べると、格段に台風や地震に強い……」
 愛原:「調理器具も最新ではあるけど、結局それってつまりIHだろ?停電したら一発アウトじゃん」
 高橋:「はぅっ!?」

 バチン!(停電した音)

 愛原:「うわっ!?やっぱりー!?」
 高橋:「先生、この俺にお任せを!」
 愛原:「何をするつもりだ!?」

 パッ!(復電した音)

 愛原:「あ、復旧した」
 高橋:「何だよ、もう!」

 高橋、アサルトライフルを手にしていたが、それを放り投げた。

 高橋:「火力が凄いんで、懐中電灯要らずです」
 愛原:「ただのライターだろ!それより今のうちに早くカレー作ってくれ!」
 高橋:「おっと、そうでした!」

 高橋はキッチンに行き、私はリサがシャワーを浴びている浴室に向かった。

 愛原:「リサー!いま一瞬停電したけど、取りあえず心配すんなー!」
 リサ:「はーい」

 リサへの声掛けを終えた後、私は改めて防災グッズを確認した。
 取りあえず停電対策と非常食だな。

 愛原:「リサー!危ないから窓は開けるなよー!」
 リサ:「はーい」

 しかし私は聞いた。
 浴室の窓が閉められる音を。
 開けてたんかーい!

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