[6月17日17:00.天候:曇 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校]
坂上:「えー、それでは最後のトリは、あなたにお願いします。2年生の……」
橘:「はい。2年9組、橘理香です」
リサと同学年の女子。
一体、何を話すのだろうか。
橘:「私が話すのは、『トイレの鬼』です。この学校には、人間の老廃物を啜る鬼が棲んでいるのです」
リサ:(それ、わたしのことじゃね?)
リサは橘のことは知らない。
しかし、橘の話を聞くと、どうもやっぱり犯人は自分のような気がしてしょうがないのだ。
どうやら、リサに『捕食』された者からの噂話として聞いたらしい。
橘:「その鬼は、どこのトイレに現れるか分かりません。しかし、女子だけを狙うことから、女子トイレにしか現れないのです」
リサ:(うん、だってわたし女子だし)
橘:「しかも、どのトイレに出るか分からないので、尚更怖いのです」
リサ:(なるべく人けの少ないトイレが狙い目。外トイレを使うこともある)
橘:「放課後、1人で校舎を歩いていると、同じ学校の制服を着た女子に化けた鬼が現れます。同じ学校の生徒だということで、みんな油断してしまうのです」
リサは段々自分のことを話されていることに、むず痒くなっていった。
中には誇張されている部分や、デマである部分もあって、『それは違う!』と言いそうになるのだが、正体がバレてしまう為、そこはグッと堪えた。
橘:「事件が始まったのは、去年くらいからです。そして、調べてみると、それは中等部から続いていることが分かっています。恐らく、鬼は私と同じ2年生に化けているのではないでしょうか?愛原リサさん……」
リサ:「は、はいッ!」
まさかバレたと、ビックリしたリサ。
幸い、それで第1形態に戻ることはなかった。
橘:「その様子からして、愛原さんも恐ろしい目に遭ったようですね?本当は愛原さんも、この話をされるおつもりだったのでは?」
リサ:「ね、ネタとしては、あったかなぁ……」
橘:「でも、聖クラリス女学院の話も面白かったです。他校を見ても、そのような恐ろしい化け物が1人くらい紛れ込んでいてもおかしくはありません。ここ最近、『トイレの鬼』は現れていませんが、そろそろ出る頃でしょう。特に女子の皆さんは、放課後のトイレを使う時は十分気をつけてください」
幸いにして、リサが正体だとバレることはなかった。
この事件の真相を知っているのは、ここにいるのは張本人のリサと、妹をリサに『捕食』された栗原蓮華くらいだ。
[同日17:30.天候:曇 新聞部部室]
橘:「……以上で私の話を終わります。ありがどうございました」
話の途中で、転校してしまった斉藤絵恋が『トイレの鬼』ではないかと疑われる流れになってしまった。
確かにリサ、斉藤絵恋が転校してから、『捕食』をしていない。
リサ:(サイトーには悪いけど、わたしの代わりに『鬼』になってもらおう)
リサはマスクの向こうでニヤリと笑った。
坂上:「ありがとうございました。それでは、七不思議ですので、次の方が最終話となるわけですが……」
3年生男子:「いや、来ねーじゃねーか!」
坂上:「そ、そうですね……」
3年生男子:「そうですね、じゃねーよ!どうなってんだよ!」
栗原:「坂上君、部長に連絡してみたら?」
坂上:「あ、はい。今、LINEしてみます」
坂上はスマホを取り出した。
そもそもケータイすらロクに普及していなかった1995年、SNSがロクに普及していなかった2008年の回ではできなかったことだろう。
坂上:「おかしい。既読が付かない」
3年生男子:「もう、直接通話しろよ!」
坂上:「は、はい!」
坂上は部長に電話した。
リサ:「部長さんって誰?」
栗原:「確か、日ノ上君って言ったかな。私の隣のクラスの人」
3年生男子:「俺のクラスだよ!『七不思議が完成すると、面白い事が起きるから期待してて』って言うから来てやったのによ!」
栗原:「『七不思議が完成すると、怖い事が起きる』の間違いじゃない?」
3年生男子:「ンなことどうだっていいんだよ!ミステリーが起きればよ!」
リサ:「ミステリーねぇ……」
ホラーを提供できるリサだが、ミステリーは無理だなと思った。
3年生男子:「まだ出ねーのか!?」
坂上:「す、すいません!」
栗原:「風見君、坂上君のせいじゃないんだから、坂上君にキレたってしょうがないでしょ?」
風見:「うるせぇ!」
と、その時だった。
リサ:「何か聞こえる……」
栗原:「えっ?」
何か雑音のような物が聞こえてくる。
それは、部室内にある校内放送用のスピーカーからであることが分かった。
風見:「橘と言ったか?ちょっとボリューム上げてくれ」
橘:「はい!」
風見はボリュームのツマミの近くにいた橘に言った。
橘がボリュームをマックスにする。
どうやら、テープに録音された音声のようである。
今時カセットテープだなんてレトロであるが、放送室の機器の中に、確か、カセットテープで再生できるものもあったことをリサは思い出した。
放送室なんて1度しか入ったことのないリサ、しかもそこは東京中央学園ホラーの中ではセーフティゾーンなのか、今までの七不思議特集では殆ど出て来ることはなかった。
〔「……新聞部で部長をしている日ノ上と申します。本日、新聞部の部室に集まっている皆さんにお詫びを申し上げます」〕
風見:「ヒノの声だ!」
〔「……本日、どうしても7人目を見つけることはできませんでした。そのお詫びとして、僕自身が7話目になろうと思います」〕
風見:「何だそりゃ?ヒノ自身が7話目を話に来てくれるってことなのか?」
〔「……ごめんなさい。尚、このテープは自動で焼却されます」〕
リサ:「え?」
坂上:「ああっ?!」
坂上が窓の外を見て絶叫を上げた。
リサの席は、窓を背にして座る位置にある。
それで急いで振り向くと、恐ろしい形相をした男子生徒が窓に向かって突進してくるところだった。
新聞部の上、最上階の4階には放送室がある。
そこから自殺を図って飛び下りた日ノ上だが、地面に激突する直前、通り掛かった布団屋(仮眠室や保健室の布団を回収しに来た)の上に落ち、それがトランポリンのように弾かれる形で部室の窓に突っ込んで来たというわけである。
ある意味、これも伝説回となってしまった。
坂上:「えー、それでは最後のトリは、あなたにお願いします。2年生の……」
橘:「はい。2年9組、橘理香です」
リサと同学年の女子。
一体、何を話すのだろうか。
橘:「私が話すのは、『トイレの鬼』です。この学校には、人間の老廃物を啜る鬼が棲んでいるのです」
リサ:(それ、わたしのことじゃね?)
リサは橘のことは知らない。
しかし、橘の話を聞くと、どうもやっぱり犯人は自分のような気がしてしょうがないのだ。
どうやら、リサに『捕食』された者からの噂話として聞いたらしい。
橘:「その鬼は、どこのトイレに現れるか分かりません。しかし、女子だけを狙うことから、女子トイレにしか現れないのです」
リサ:(うん、だってわたし女子だし)
橘:「しかも、どのトイレに出るか分からないので、尚更怖いのです」
リサ:(なるべく人けの少ないトイレが狙い目。外トイレを使うこともある)
橘:「放課後、1人で校舎を歩いていると、同じ学校の制服を着た女子に化けた鬼が現れます。同じ学校の生徒だということで、みんな油断してしまうのです」
リサは段々自分のことを話されていることに、むず痒くなっていった。
中には誇張されている部分や、デマである部分もあって、『それは違う!』と言いそうになるのだが、正体がバレてしまう為、そこはグッと堪えた。
橘:「事件が始まったのは、去年くらいからです。そして、調べてみると、それは中等部から続いていることが分かっています。恐らく、鬼は私と同じ2年生に化けているのではないでしょうか?愛原リサさん……」
リサ:「は、はいッ!」
まさかバレたと、ビックリしたリサ。
幸い、それで第1形態に戻ることはなかった。
橘:「その様子からして、愛原さんも恐ろしい目に遭ったようですね?本当は愛原さんも、この話をされるおつもりだったのでは?」
リサ:「ね、ネタとしては、あったかなぁ……」
橘:「でも、聖クラリス女学院の話も面白かったです。他校を見ても、そのような恐ろしい化け物が1人くらい紛れ込んでいてもおかしくはありません。ここ最近、『トイレの鬼』は現れていませんが、そろそろ出る頃でしょう。特に女子の皆さんは、放課後のトイレを使う時は十分気をつけてください」
幸いにして、リサが正体だとバレることはなかった。
この事件の真相を知っているのは、ここにいるのは張本人のリサと、妹をリサに『捕食』された栗原蓮華くらいだ。
[同日17:30.天候:曇 新聞部部室]
橘:「……以上で私の話を終わります。ありがどうございました」
話の途中で、転校してしまった斉藤絵恋が『トイレの鬼』ではないかと疑われる流れになってしまった。
確かにリサ、斉藤絵恋が転校してから、『捕食』をしていない。
リサ:(サイトーには悪いけど、わたしの代わりに『鬼』になってもらおう)
リサはマスクの向こうでニヤリと笑った。
坂上:「ありがとうございました。それでは、七不思議ですので、次の方が最終話となるわけですが……」
3年生男子:「いや、来ねーじゃねーか!」
坂上:「そ、そうですね……」
3年生男子:「そうですね、じゃねーよ!どうなってんだよ!」
栗原:「坂上君、部長に連絡してみたら?」
坂上:「あ、はい。今、LINEしてみます」
坂上はスマホを取り出した。
そもそもケータイすらロクに普及していなかった1995年、SNSがロクに普及していなかった2008年の回ではできなかったことだろう。
坂上:「おかしい。既読が付かない」
3年生男子:「もう、直接通話しろよ!」
坂上:「は、はい!」
坂上は部長に電話した。
リサ:「部長さんって誰?」
栗原:「確か、日ノ上君って言ったかな。私の隣のクラスの人」
3年生男子:「俺のクラスだよ!『七不思議が完成すると、面白い事が起きるから期待してて』って言うから来てやったのによ!」
栗原:「『七不思議が完成すると、怖い事が起きる』の間違いじゃない?」
3年生男子:「ンなことどうだっていいんだよ!ミステリーが起きればよ!」
リサ:「ミステリーねぇ……」
ホラーを提供できるリサだが、ミステリーは無理だなと思った。
3年生男子:「まだ出ねーのか!?」
坂上:「す、すいません!」
栗原:「風見君、坂上君のせいじゃないんだから、坂上君にキレたってしょうがないでしょ?」
風見:「うるせぇ!」
と、その時だった。
リサ:「何か聞こえる……」
栗原:「えっ?」
何か雑音のような物が聞こえてくる。
それは、部室内にある校内放送用のスピーカーからであることが分かった。
風見:「橘と言ったか?ちょっとボリューム上げてくれ」
橘:「はい!」
風見はボリュームのツマミの近くにいた橘に言った。
橘がボリュームをマックスにする。
どうやら、テープに録音された音声のようである。
今時カセットテープだなんてレトロであるが、放送室の機器の中に、確か、カセットテープで再生できるものもあったことをリサは思い出した。
放送室なんて1度しか入ったことのないリサ、しかもそこは東京中央学園ホラーの中ではセーフティゾーンなのか、今までの七不思議特集では殆ど出て来ることはなかった。
〔「……新聞部で部長をしている日ノ上と申します。本日、新聞部の部室に集まっている皆さんにお詫びを申し上げます」〕
風見:「ヒノの声だ!」
〔「……本日、どうしても7人目を見つけることはできませんでした。そのお詫びとして、僕自身が7話目になろうと思います」〕
風見:「何だそりゃ?ヒノ自身が7話目を話に来てくれるってことなのか?」
〔「……ごめんなさい。尚、このテープは自動で焼却されます」〕
リサ:「え?」
坂上:「ああっ?!」
坂上が窓の外を見て絶叫を上げた。
リサの席は、窓を背にして座る位置にある。
それで急いで振り向くと、恐ろしい形相をした男子生徒が窓に向かって突進してくるところだった。
新聞部の上、最上階の4階には放送室がある。
そこから自殺を図って飛び下りた日ノ上だが、地面に激突する直前、通り掛かった布団屋(仮眠室や保健室の布団を回収しに来た)の上に落ち、それがトランポリンのように弾かれる形で部室の窓に突っ込んで来たというわけである。
ある意味、これも伝説回となってしまった。
舞台となった鳴神学園は私立校だが、撮影は千葉県立のとある高校で行われた。
匿名を理由に撮影が許可されたのか、エンディングに高校名がクレジットされることは無い。
もちろんウィキペディアにも書かれていないのだが、ローラー作戦で取りあえず特定に成功した。
松戸市にあるとだけ述べておく。
で、相変わらず旧校舎だけは特定できない。