報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「行方不明のリサを追え!」 2

2023-11-24 20:37:00 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月2日17時00分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家付近]

 行方不明となったリサを捜しに、家の近所を見て回ることした私と高橋。
 夕食の時間までには戻ろうとした私達だが、途中で強制中止となった。
 BSAAに呼び戻されたのである。
 家まで戻ろうとすると、家の前の一方通行路が強制的に通行止めとなっていた。
 具体的にはパトカーが路地の入口に張って、通行止めにしていたのである。
 しかし、BSAAの隊長は私達を通行止め区間に招き入れた。
 国家権力まで発動するとは、リサが見つかったのだろうか?
 私がそれを質問すると、軍服にヘルメット姿の隊長は首を横に振った。

 BSAA隊長「いえ、それはあいにくまだです」
 愛原「すると……?」
 BSAA隊長「リサ・トレヴァーはこの道で、連れ去られたと思われます」
 愛原「は?もう家の前ですよ?」
 BSAA隊長「彼女の足取りを辿ったところ、この道が事件の舞台となった可能性が高いです」

 私達は道の反対側に向かった。
 反対側は三ツ目通りに接しているが、一方通行路の出口ということもあり、こちらにはカラーコーンが置かれ、警察官が立っているだけだった。

 BSAA隊長「この近隣の監視カメラを確認したところ、彼女がこの道に入る所が目撃されました。そしてその数分後、黒いワンボックスが2台、勢い良く走り去って行ったのです。この道には、殆ど監視カメラがありませんので、その瞬間を目撃した人はいませんでした」

 車1台がやっと通れる道だし、一方通行路ということもあり、抜け道になっているわけでもないので、人通りも車通りもそんなに無い。

 BSAA隊長「この黒いワンボックスに何か心当たりは?」

 私は隊長が持っていたタブレットの端末で、その映像を見せてもらった。

 高橋「最新年式のハイエース。フルスモークたぁ、かなり怪しい車ですね。誘拐には持ってこいです!」
 愛原「オマエなぁ……」
 高橋「フルスモークのハイエースは、“ベタな誘拐事件の法則”ですよ?」
 愛原「ベタ過ぎるわ!……それで隊長さん、この車達の行方は?」
 隊長「それが、どうも途中で乗り換えたようなのです」
 愛原「乗り換えた?」
 隊長「そのハイエース2台は、都内のレンタカー会社で借りられたものでした」
 愛原「じゃあ、その借りた人に確認すればいいですね」
 高橋「いや、多分そいつ調べても出て来ませんよ?」
 隊長「どうしてそう思うのですか?」
 高橋「いや……俺も昔は車関係でヤンチャしてたことがあって、中には悪どいヤツもいたんスよ。例えば、免許証偽造したり……」

 と、そこへ隊長の無線機に何か着信があったようだ。

 隊長「なにっ!?免許証はデタラメの偽造だっただと!?」
 高橋「やっぱり……」
 愛原「車を乗り換えたんですよね?すると、直接リサを浚ったと思われる車が乗り捨てられてた場所に向かえば……」
 隊長「それが、車は律儀に返却されていたそうです」
 高橋「マジか!よくあんなフルスモークな車、貸してますね?どこのレンタカー屋っスか?」
 隊長「それが、プライバシーガラスにはなっているものの、フルスモークではないそうです」
 愛原「んん?」
 隊長「恐らく、借りてから自前でスモークフィルムを貼り、返却する時に剥がしたのでしょう」
 愛原「そんな簡単に……」
 高橋「で、何の車に乗り換えて、どこに向かったって?」
 隊長「それが、不明で……」
 愛原「振り出しに戻ってしまいましたか……」
 隊長「今、全ての港湾、空港を警戒しています」
 愛原「カルロス・ゴーンみたいに、楽器ケースに入れて、プライベートジェットで国外へなんてことも有り得ますからね?」
 隊長「もちろん、想定しています。また新たな情報が入りましたら、お伝えします。愛原さんも何か分かったことがありましたら、お知らせください。デイライトを通してでいいので」
 愛原「分かりました」

[同日18時00分 天候:曇 愛原家3階]

 愛原「ヤバいな……」

 夕食の時間になっても、リサが帰って来ないことから、ようやく私はここでリサが本当に連れ去られたのだと理解した。
 外国に連れ去られたとしたら、とても厄介なことである。
 そういえば、ロシアに逃亡した斉藤秀樹元社長はどうなったのだろう?

 パール「先生。今夜は魚がメインですが、宜しいでしょうか?」
 愛原「あ、ああ。今日は魚が安かったんだな?」
 パール「そうなんです。あと、お刺身の盛り合わせですね」
 愛原「あ、ありがとう」
 高橋「リサがいると、どうしても肉中心になりますからね、今日くらい魚メインでってところですか」
 愛原「オマエらなぁ……」
 高橋「俺やパールの知り合いにも、捜索は依頼してますんで、あとは待つしか無いっスよ。先生は先生で、できることをされたわけですし……」
 愛原「いや、俺は大したことしてねーぞ。だいたい、捜索するっつったって、どうするんだよ?」
 高橋「まあ、『怪しい車を見つけたら教えろ』っては言ってあります。現に、フルスモークのハイエースがいたわけですからね」
 愛原「フルスモークのハイエースってだけなら、首都高や東名高速でも結構走ってたりするんじゃないの?」
 高橋「そうかもです。ただ、闇雲に探すのもどうかとは思いまして」
 愛原「まあ、そりゃそうだけどさ」

 恐らく犯人達は、フルスモークのハイエースのまま逃亡したのでは、怪し過ぎると自覚したのだろう。
 だったら、逆に乗り換えた車は怪しくないのを使用するのではないだろうか?
 そうなると、却って難しいか……。

 愛原「うーん……。探偵の隠密行動だと、ライトバンを使ったり、タクシーを使ったりするんだよな」
 高橋「どこにいても怪しくない車ですもんね」
 愛原「そう」

 大手の事務所はタクシーを貸し切りにして、隠密行動をすることがある。
 うちみたいな弱小事務所はそこまでできないので、リース契約している商用バンを使うくらいだがな。

 愛原「ますます分からなくなってきた」
 パール「まずは夕食にしましょう。食べて落ち着いたら、いいアイディアが浮かぶかもしれませんよ?」
 愛原「そうかな……」

 リサのヤツ、ちゃんと食事は取らせてもらっているのだろうか?
 私達だけ温かい飯を食って、何だか申し訳ない。
 無事に帰って来れたら、温かい肉料理を御馳走してやろう。

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