外遊を終えて魔王城に戻って来たルーシー達。
「お帰りなさいませ、陛下!」
侍従長が恭しく頭を下げる。
「ただいまぁ」
「外遊はいかがでございましたか?」
「物凄く楽しかったよ。特に、ミュージカル“悪ノ娘と召使”は久しぶりに泣いたわね。あと回転寿司なんかも面白かったね。是非とも、魔界にも欲しいわね」
(やっぱり……)
春明は呆れた。
でもそれを魔王城に作れとは言わなかった。
それはホッとした。
「こっちでは何か変わったことあった?」
「はあ……。それが、異世界通信社から号外が届きまして……」
「号外?何かあったの?」
「いや、それがよく分からないんです」
「何が?見せて?」
「こちらでございます」
侍従長はスッと新聞紙を差し出した。
「“富士参詣深夜便”?異世界通信社で、こんなの出してた?」
「初耳且つ初見です。向こうに問い合わせても、的を得ないのです」
「何それ?……日本語版ね。春明、何て書いてあるの?」
「はあ……。『ユタ氏、日蓮正宗勧誡へ』『勧誡先は【お察しください】』……フザけた見出しだな」
「間違えて届いたということで、よろしいでしょうか?」
「多分ね……。まあ、手紙爆弾ならぬ、テロ目的で配達されたわけじゃないみたいだし」
「しかし、既に魔界高速電鉄の駅構内などには貼り出されているもようです」
「うーん……。新・魔界憲法で“報道の自由”を認めちゃってるから、剥がせなんて言えないしなぁ……」
春明は困惑の顔をした。
その頃、仙台では……。
仙台市内の幹線道路を走る1台のタクシー。そこに敷島が乗っていた。携帯電話で、何やら話し始める。
「はい、もしもし。……あ、ミクか。お疲れさん。仕事終わった?じゃあさ、今度は雑誌のインタビューがあるから、駅前で落ち合おう。……うん、こっちもMEIKOのソロライブが終わったから。……うん、それじゃ」
ピッと電話を切る。その時、タクシーのラジオからニュースが流れてきた。
〔「速報をお伝えします。今日午前11時30分頃、作者のユタ氏が東京都内の日蓮正宗寺院にて、勧誡と呼ばれる再入信の儀式を終えたとの情報が入りました。繰り返します。今日午前11時30分頃、作者のユタ氏が東京都内の日蓮正宗寺院にて、勧誡と呼ばれる再入信の儀式を終えたとの情報が入りました。詳しい情報はまだ入っておりませんが、追って記者会見が行われるかどうかは【お察しください】とのことです。詳しい情報が入りましたら、またお伝え致します。えー、今日午前11時30分頃……」〕
「あ、もしもし。KAITOか?お疲れさん。撮影終わった?……あ、そう。KAITOはこの後……財団の研究会に出るのか。まあ、首と胴体を切り離して、どのくらい(バッテリーが)持つかの実験でもするんじゃないか。はっはっはー」
(ええっ!?)
運転手がびっくりして、ルームミラーを見る。
「……じゃあ、そういうことで。主任理事さんによろしくー」
タクシーは仙台駅西口タクシー降車場に着いた。
「つ、着きました」
「どうも、お世話様。領収書ください」
「は、はい。ありがとうございました」
「号外!号外です!」
「ん?」
敷島がタクシーを降りると、地元の新聞社が号外を配っていた。
「何だ何だ?」
『ユタ氏、日蓮正宗勧誡へ』『勧誡先は【お察しください】』
という見出しが目についた。
「最近の新聞社は、下らんことで号外にするんだなー」
と思いつつ、受け取る。
「『……尚この件に関して、サークル・リーダーの多摩準急氏はノーコメントを貫いている』か……」
「あっ、たかおさん」
パタパタとミクがやってくる。
「おー、ミク。ご苦労さん。じゃあ、行こうか。この近くだから」
「はい!」
再び魔界……。
「ちょっと!何で、“ボカロマスター”の方が行数多いわけ!?ハルアキ、説明しなさい!」
「し、知りませんよ。作者の都合でしょ?」
「Fuck!もう1度、外遊に行くわよ!」
「えーっ!?し、資金が……国民の税金が……!」
「『お金が足りなくなったなら♪愚民どもから搾り取れ♪』」
「“悪ノ娘”か、あんたわ!ギロチンで首刎ね跳ばされるわ!」
「お帰りなさいませ、陛下!」
侍従長が恭しく頭を下げる。
「ただいまぁ」
「外遊はいかがでございましたか?」
「物凄く楽しかったよ。特に、ミュージカル“悪ノ娘と召使”は久しぶりに泣いたわね。あと回転寿司なんかも面白かったね。是非とも、魔界にも欲しいわね」
(やっぱり……)
春明は呆れた。
でもそれを魔王城に作れとは言わなかった。
それはホッとした。
「こっちでは何か変わったことあった?」
「はあ……。それが、異世界通信社から号外が届きまして……」
「号外?何かあったの?」
「いや、それがよく分からないんです」
「何が?見せて?」
「こちらでございます」
侍従長はスッと新聞紙を差し出した。
「“富士参詣深夜便”?異世界通信社で、こんなの出してた?」
「初耳且つ初見です。向こうに問い合わせても、的を得ないのです」
「何それ?……日本語版ね。春明、何て書いてあるの?」
「はあ……。『ユタ氏、日蓮正宗勧誡へ』『勧誡先は【お察しください】』……フザけた見出しだな」
「間違えて届いたということで、よろしいでしょうか?」
「多分ね……。まあ、手紙爆弾ならぬ、テロ目的で配達されたわけじゃないみたいだし」
「しかし、既に魔界高速電鉄の駅構内などには貼り出されているもようです」
「うーん……。新・魔界憲法で“報道の自由”を認めちゃってるから、剥がせなんて言えないしなぁ……」
春明は困惑の顔をした。
その頃、仙台では……。
仙台市内の幹線道路を走る1台のタクシー。そこに敷島が乗っていた。携帯電話で、何やら話し始める。
「はい、もしもし。……あ、ミクか。お疲れさん。仕事終わった?じゃあさ、今度は雑誌のインタビューがあるから、駅前で落ち合おう。……うん、こっちもMEIKOのソロライブが終わったから。……うん、それじゃ」
ピッと電話を切る。その時、タクシーのラジオからニュースが流れてきた。
〔「速報をお伝えします。今日午前11時30分頃、作者のユタ氏が東京都内の日蓮正宗寺院にて、勧誡と呼ばれる再入信の儀式を終えたとの情報が入りました。繰り返します。今日午前11時30分頃、作者のユタ氏が東京都内の日蓮正宗寺院にて、勧誡と呼ばれる再入信の儀式を終えたとの情報が入りました。詳しい情報はまだ入っておりませんが、追って記者会見が行われるかどうかは【お察しください】とのことです。詳しい情報が入りましたら、またお伝え致します。えー、今日午前11時30分頃……」〕
「あ、もしもし。KAITOか?お疲れさん。撮影終わった?……あ、そう。KAITOはこの後……財団の研究会に出るのか。まあ、首と胴体を切り離して、どのくらい(バッテリーが)持つかの実験でもするんじゃないか。はっはっはー」
(ええっ!?)
運転手がびっくりして、ルームミラーを見る。
「……じゃあ、そういうことで。主任理事さんによろしくー」
タクシーは仙台駅西口タクシー降車場に着いた。
「つ、着きました」
「どうも、お世話様。領収書ください」
「は、はい。ありがとうございました」
「号外!号外です!」
「ん?」
敷島がタクシーを降りると、地元の新聞社が号外を配っていた。
「何だ何だ?」
『ユタ氏、日蓮正宗勧誡へ』『勧誡先は【お察しください】』
という見出しが目についた。
「最近の新聞社は、下らんことで号外にするんだなー」
と思いつつ、受け取る。
「『……尚この件に関して、サークル・リーダーの多摩準急氏はノーコメントを貫いている』か……」
「あっ、たかおさん」
パタパタとミクがやってくる。
「おー、ミク。ご苦労さん。じゃあ、行こうか。この近くだから」
「はい!」
再び魔界……。
「ちょっと!何で、“ボカロマスター”の方が行数多いわけ!?ハルアキ、説明しなさい!」
「し、知りませんよ。作者の都合でしょ?」
「Fuck!もう1度、外遊に行くわよ!」
「えーっ!?し、資金が……国民の税金が……!」
「『お金が足りなくなったなら♪愚民どもから搾り取れ♪』」
「“悪ノ娘”か、あんたわ!ギロチンで首刎ね跳ばされるわ!」
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