[7月25日06:09.天候:晴 東京都墨田区菊川 都営地下鉄菊川駅→都営新宿線509T電車先頭車内]
〔まもなく1番線に、京王線直通、各駅停車、橋本行きが、10両編成で到着します。ドアから離れて、お待ちください。京王線内、区間急行となります〕
リサ達の夏休みが始まり、私と高橋、リサは菊川駅にいた。
とはいえ、私達がこれから旅行に出かけるわけではない。
半分は仕事、もう半分はボランティアのようなものだ。
高橋:「ふわぁ~あ……。先生、何でこんな朝早いんスか……」
愛原:「しょうがないだろ。上野姉妹の出発が、この時間帯なんだから……」
リサ:「あいつら……!」
10両編成の電車がやってくる。
京王線直通ながら、やってきたのは都営の車両だった。
〔1番線の電車は、京王線直通、各駅停車、橋本行きです。きくかわ~、菊川~〕
まだ女性専用車両が実施されていない時間帯だったが、平日の月曜日ということもあり、既にそれなりの乗客が乗っていた。
乗り込むと、私は吊り革に掴まる。
長身の高橋は、ドアの上の高い吊り革にも易々と掴まれた。
〔1番線、ドアが閉まります〕
電車は駆け込み乗車の対応で、再開閉した後、ようやく発車した。
〔次は森下、森下。都営大江戸線は、お乗り換えです。お出口は、右側です〕
上野姉妹は銀座線で神田駅までやってくる。
そこで合流し、東京駅まで行って、彼女らが帰省する新幹線に乗る所を見送るまでが仕事。
何でこんな面倒なことをというのは、母親の上野利恵が仮釈放されたことで、彼女らへのBSAAからの警戒度が高まったからである。
それまでは研究施設に収容していたことが、却って人質状態にできており、それで上野姉妹をコントロールしていた気になっていたのだろう。
しかし、デイライトの判断で仮釈放になったことで、BSAAはコントロールの手段を失ったと見たことで、上野姉妹に矛先を向けたということだ。
リサと違って半分は人間の血が流れており、ちゃんとした戸籍も持っている為に、手荒な監視ができないという制約がある。
デイライトとしても、ちゃんと委託の探偵業者に監視を委託しているという主張をBSAAにしたいが為に、私達が動員されたわけだ。
愛原:「上野姉妹が新幹線に乗って出発したら、そこで業務終了だよ」
高橋:「何か、デイライトとBSAAのマウント取り合戦に巻き込まれたみたいで、嫌な感じっスね」
愛原:「まあ、そう言うな。これで報酬が貰えるんだから、美味しいもんだ」
高橋:「はあ……」
[同日06:16.天候:晴 東京都千代田区神田岩本町 都営地下鉄岩本町駅→千代田区鍛冶町 JR神田駅]
〔「まもなく岩本町、岩本町。お出口は、右側です」〕
電車が岩本町駅の上り本線ホームに滑り込む。
ダイヤ改正で急行電車の本数が大幅に減らされたことで、この駅の中線ホームは殆ど使用されなくなってしまったという。
〔1番線の電車は、京王線直通、各駅停車、橋本行きです。いわもとちょう~、岩本町~、秋葉原〕
この駅で電車を降りる。
オフィス街にも程近く、また、秋葉原駅と神田駅にも徒歩圏内ということもあり、降車客は多かった。
が、それでも他の都営地下鉄と交差していない為か、急行停車駅ではない。
リサは私服を着ていた。
白いTシャツに黒いスカートを穿き、頭にはピンク色のキャップを被っている。
これで角は隠せそうだが、長耳は隠せないだろう。
とはいえ、こんな夏場に長袖のパーカーを羽織るのは違和感があるか。
因みにTシャツのシルクスクリーンは、高橋の趣味。
愛原:「段々、暑くなってくるねぇ……」
高橋:「海にでも行きますか?」
リサ:「おー!海、行きたーい!」
愛原:「まあ……海には行くだろうな」
私はニヤッと笑った。
高橋:「マジっスか!?」
愛原:「ああ」
『海水浴』とは、一言も言っていないw
[同日07:00.天候:晴 東京都千代田区丸の内 JR東京駅・東北新幹線ホーム]
神田駅で上野姉妹と合流した。
そこで私は、上野姉妹に東京駅から那須塩原駅までの新幹線のキップ(自由席)を購入する。
本来なら帰省は彼女らの意思である為、彼女ら、またはその保護者が出すべきなのだが、ここでも背後関係の軋轢が絡んでしまっている。
もちろん、この新幹線代は私のポケットマネーではない。
あくまで費用を立て替えるだけで、後はデイライトさんに領収書を出して請求することになる。
デイライトとしては、彼女らの交通費の面倒を看ることで、引き続き監視を行っているということにしたいのだ。
そういうことであるのなら、本来なら、私達がずっと彼女らに付いている必要があるのだろう。
しかし、さすがにそれは無理がある。
そうなると、今度はリサの監視ができなくなるし、そもそもリサを上野利恵の住まいへ連れて行ったりしたら……という問題も発生する。
上野姉妹にはGPSを持たせ、定期的な連絡をさせるということで、折衷案としたとのこと。
で、東京側では私達が見送ることで、その責任を果たしたことにする、と……。
神田駅で那須塩原までのキップを購入すると、乗車券は『東京山手線内→那須塩原』という表記がされる。
これは山手線の全駅、並びに山手線の内側のJR駅なら全てそこで乗り降りが可能というものだ。
当然、神田駅も含まれる。
上野姉妹には、まずその乗車券だけ自動改札機に入れてもらう。
そして、私達は手持ちのICカードで改札口を通過した。
で、朝ラッシュの始まる直前の山手線に乗り込み、それで東京駅に向かった。
東京駅からは、新幹線乗り換え口で上野姉妹は乗車券と特急券を。
私達はICカードと入場券を使う。
そのからくりを説明すると、所定の字数を大幅に超えてしまうので、今回は省かせて頂く。
〔21番線から、“なすの”251号、那須塩原行きが発車致します。次は、上野に止まります。黄色い線まで、お下がりください〕
上野姉妹は1号車の自由席に乗り込んだ。
因みに朝飯の駅弁も、買ってあげた。
これはまあ、サービスにするか。
多分、これは請求できないだろう。
愛原:「よし、じゃあ次に行くぞ」
高橋:「はいはい」
ここから先は、完全なるボランティアとなる。
次の行き先は……次回に続く!
〔まもなく1番線に、京王線直通、各駅停車、橋本行きが、10両編成で到着します。ドアから離れて、お待ちください。京王線内、区間急行となります〕
リサ達の夏休みが始まり、私と高橋、リサは菊川駅にいた。
とはいえ、私達がこれから旅行に出かけるわけではない。
半分は仕事、もう半分はボランティアのようなものだ。
高橋:「ふわぁ~あ……。先生、何でこんな朝早いんスか……」
愛原:「しょうがないだろ。上野姉妹の出発が、この時間帯なんだから……」
リサ:「あいつら……!」
10両編成の電車がやってくる。
京王線直通ながら、やってきたのは都営の車両だった。
〔1番線の電車は、京王線直通、各駅停車、橋本行きです。きくかわ~、菊川~〕
まだ女性専用車両が実施されていない時間帯だったが、平日の月曜日ということもあり、既にそれなりの乗客が乗っていた。
乗り込むと、私は吊り革に掴まる。
長身の高橋は、ドアの上の高い吊り革にも易々と掴まれた。
〔1番線、ドアが閉まります〕
電車は駆け込み乗車の対応で、再開閉した後、ようやく発車した。
〔次は森下、森下。都営大江戸線は、お乗り換えです。お出口は、右側です〕
上野姉妹は銀座線で神田駅までやってくる。
そこで合流し、東京駅まで行って、彼女らが帰省する新幹線に乗る所を見送るまでが仕事。
何でこんな面倒なことをというのは、母親の上野利恵が仮釈放されたことで、彼女らへのBSAAからの警戒度が高まったからである。
それまでは研究施設に収容していたことが、却って人質状態にできており、それで上野姉妹をコントロールしていた気になっていたのだろう。
しかし、デイライトの判断で仮釈放になったことで、BSAAはコントロールの手段を失ったと見たことで、上野姉妹に矛先を向けたということだ。
リサと違って半分は人間の血が流れており、ちゃんとした戸籍も持っている為に、手荒な監視ができないという制約がある。
デイライトとしても、ちゃんと委託の探偵業者に監視を委託しているという主張をBSAAにしたいが為に、私達が動員されたわけだ。
愛原:「上野姉妹が新幹線に乗って出発したら、そこで業務終了だよ」
高橋:「何か、デイライトとBSAAのマウント取り合戦に巻き込まれたみたいで、嫌な感じっスね」
愛原:「まあ、そう言うな。これで報酬が貰えるんだから、美味しいもんだ」
高橋:「はあ……」
[同日06:16.天候:晴 東京都千代田区神田岩本町 都営地下鉄岩本町駅→千代田区鍛冶町 JR神田駅]
〔「まもなく岩本町、岩本町。お出口は、右側です」〕
電車が岩本町駅の上り本線ホームに滑り込む。
ダイヤ改正で急行電車の本数が大幅に減らされたことで、この駅の中線ホームは殆ど使用されなくなってしまったという。
〔1番線の電車は、京王線直通、各駅停車、橋本行きです。いわもとちょう~、岩本町~、秋葉原〕
この駅で電車を降りる。
オフィス街にも程近く、また、秋葉原駅と神田駅にも徒歩圏内ということもあり、降車客は多かった。
が、それでも他の都営地下鉄と交差していない為か、急行停車駅ではない。
リサは私服を着ていた。
白いTシャツに黒いスカートを穿き、頭にはピンク色のキャップを被っている。
これで角は隠せそうだが、長耳は隠せないだろう。
とはいえ、こんな夏場に長袖のパーカーを羽織るのは違和感があるか。
因みにTシャツのシルクスクリーンは、高橋の趣味。
愛原:「段々、暑くなってくるねぇ……」
高橋:「海にでも行きますか?」
リサ:「おー!海、行きたーい!」
愛原:「まあ……海には行くだろうな」
私はニヤッと笑った。
高橋:「マジっスか!?」
愛原:「ああ」
『海水浴』とは、一言も言っていないw
[同日07:00.天候:晴 東京都千代田区丸の内 JR東京駅・東北新幹線ホーム]
神田駅で上野姉妹と合流した。
そこで私は、上野姉妹に東京駅から那須塩原駅までの新幹線のキップ(自由席)を購入する。
本来なら帰省は彼女らの意思である為、彼女ら、またはその保護者が出すべきなのだが、ここでも背後関係の軋轢が絡んでしまっている。
もちろん、この新幹線代は私のポケットマネーではない。
あくまで費用を立て替えるだけで、後はデイライトさんに領収書を出して請求することになる。
デイライトとしては、彼女らの交通費の面倒を看ることで、引き続き監視を行っているということにしたいのだ。
そういうことであるのなら、本来なら、私達がずっと彼女らに付いている必要があるのだろう。
しかし、さすがにそれは無理がある。
そうなると、今度はリサの監視ができなくなるし、そもそもリサを上野利恵の住まいへ連れて行ったりしたら……という問題も発生する。
上野姉妹にはGPSを持たせ、定期的な連絡をさせるということで、折衷案としたとのこと。
で、東京側では私達が見送ることで、その責任を果たしたことにする、と……。
神田駅で那須塩原までのキップを購入すると、乗車券は『東京山手線内→那須塩原』という表記がされる。
これは山手線の全駅、並びに山手線の内側のJR駅なら全てそこで乗り降りが可能というものだ。
当然、神田駅も含まれる。
上野姉妹には、まずその乗車券だけ自動改札機に入れてもらう。
そして、私達は手持ちのICカードで改札口を通過した。
で、朝ラッシュの始まる直前の山手線に乗り込み、それで東京駅に向かった。
東京駅からは、新幹線乗り換え口で上野姉妹は乗車券と特急券を。
私達はICカードと入場券を使う。
そのからくりを説明すると、所定の字数を大幅に超えてしまうので、今回は省かせて頂く。
〔21番線から、“なすの”251号、那須塩原行きが発車致します。次は、上野に止まります。黄色い線まで、お下がりください〕
上野姉妹は1号車の自由席に乗り込んだ。
因みに朝飯の駅弁も、買ってあげた。
これはまあ、サービスにするか。
多分、これは請求できないだろう。
愛原:「よし、じゃあ次に行くぞ」
高橋:「はいはい」
ここから先は、完全なるボランティアとなる。
次の行き先は……次回に続く!
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