[魔界時間7月4日06:36.天候:晴 魔界稲荷(南端稲荷)]
威吹達の住まいの玄関の扉をガラガラと開けた稲生。
そこにいたのは……。
赤ん坊:「ふぁい」
稲生:「!?」
稲生は目を丸くした。
稲生:「誰!?」
赤ん坊:「ふぁ?」
坂吹:「誰って、威吹先生と禰宜様の御子息ですよ?」
稲生:「何だ、そうか。……って、ええっ!?」
赤ん坊:「あくす……あくす……」
髪の色が銀色なのは、威吹譲りだろう。
赤ん坊は稲生に向かって無邪気にバタバタと両手を振った。
稲生:「ん?何だい?」
坂吹:「握手ですって」
稲生:「おー、握手かー。よしよし」
赤ん坊:「ふぁ!」
稲生は赤ん坊の小さな右手を握った。
さくら:「あっ、伊織。こんな所にいたの?ダメよ。勝手にハイハイしちゃ」
伊織:「おっかー……」
坂吹:「禰宜様!おはようございます」
稲生:「あっ、さくらさん、お久しぶりです」
さくら:「あらっ、確か……伊藤さん?」
稲生:「稲生です……」
[同時間07:00.天候:晴 同場所]
ボーン!ボーン!とぜんまい式の柱時計が鳴る。
稲生:(昭和というより明治だな……)
稲生は何故かそう思った。
いや、柱時計と黒電話は明らかに昭和の遺物のはずなのだが……。
稲生は電話を借りて、イリーナやマリアに連絡を取ろうとした。
稲生:「あっ、マリアさん!良かった……」
マリア:「それはこっちのセリフだ!どこにいる!?」
稲生:「魔界です。アルカディアシティ南部の南端村。マリアさんも1度来たことがありますよね?あそこです。あそこの威吹の家にいます」
マリア:「分かった。あの狐妖怪の家だな。すぐ迎えに行く」
稲生:「すいません」
マリアはあえて理由は聞かなかった。
電話であれこれ聞いても仕方が無いと思ったか、或いはもうイリーナが魔法で知る由となっているのか。
マリア:「私だけでも駆け付けたいんだけど、恐らく師匠も行きたがるだろうから、ちょっと待ってて」
稲生:「分かりました」
マリア:「まずは師匠を起こすことから作業は始まる!」
稲生:「あっ、しまった!そっち、今何時ですか?時差を忘れてた!」
マリア:「こっちは7月5日の19時2分だな。魔界の方が遅いんだっけ?」
稲生:「確か……」
マリア:「まあ、いいや。弟子が行方不明だってのにグースカ寝てやがってダメだ、あの婆さん」
稲生:「それって僕が無事に帰って来ると予知していたってことですよね?」
マリア:「そうだといいんだけどなっ!……とにかく、威吹の家は安全なんだろう?」
稲生:「魔界で威吹にケンカ売って来るようなアウトローはいないと思います」
マリア:「分かった。なるべく早く行くから、もうちょっと待ってて」
稲生:「お手数お掛けします。……はい、では」
稲生は電話を切った。
威吹:「ユター、電話終わった?早いとこ朝餉を」
稲生:「あ、うん」
食卓に行くと稲生の分も用意されていた。
稲生:「すいません、急に押し掛けた上に……」
さくら:「いいえ、構いませんよ」
さくらは伊織を抱っこしていた。
稲生:「頂きます」
威吹:「あれ?ユタ、御題目三唱とやらはしないの?」
威吹がニッと笑った。
稲生:「やめてくれよ。神社でそんなことはできないよ」
威吹:「ははははっ!」
さくら:「本当に仲がよろしいんですのね」
稲生:「すいません、昔馴染みなもので。……あ、先ほど僕の姉弟子に連絡しまして、迎えに来てもらえる算段を付けたので、もう少しだけいいでしょうか?」
さくら:「もちろんですよ。ゆっくりしていってください」
威吹:「うんうん。ユタとは、僕を呼び出した報酬について相談をしないとな」
稲生:「ハハハハ……」
[同日08:00.天候:晴 同場所]
別の和室に移動して、そこで話し合う稲生と威吹。
稲生:「びっくりしたよ。そう言えば確か、さくらさん、身籠っていたとは聞いていたけど……」
威吹:「伊織という名はさくらが付けた。僕的にはあと1人欲しいところだけど」
稲生:「知ってたら、出産祝いを……。あっ、そうだ。それもプラスしよう。このカタログの中から選んで」
威吹:「かたじけない。……というか、キミはいつもこういうのを持ち歩いているのかい?」
稲生:「いや、予知能力向上の為に毎朝占いをしているんだ。今日1日必要なものは何かをね。そしたらこれがあったんだけど、やっと僕の占い、当たるようになってきたなぁ……」
威吹:「空恐ろしい話だ。それで、僕的には、やはりさくらには栄養のある物を食べさせて……と思うわけだよ」
稲生:「うんうん、そうだね」
[同日11:00.天候:晴 同場所]
坂吹:「でやぁーっ!!」
威吹:「浅い!もっと踏み込め!!」
坂吹:「はい!!」
稲生と話が終わった威吹は、坂吹に稽古を付けている。
取りあえずスマホの充電が終わった稲生は、ネットに繋いで注文しようかと思ったが……。
稲生:「いっけね。魔界からじゃアクセスできないんだった。マリアさん達に迎えに来てもらったら、取りあえず実家に戻らないとなぁ……」
縁側に座ってスマホの画面を見ていた稲生はそう呟いた。
その時、バタバタと外に向かって走って行く坂吹の姿があった。
稲生:「ん?」
威吹:「来客だ。それも、ただの参拝客じゃない。多分、ユタの仲間の魔女達じゃないか?」
稲生:「おおっ!やっと来てくれた!威吹、僕は帰る準備するから、先生達には待っててもらえる!?」
威吹:「分かった分かった。玉串料せしめてくるよ」
稲生は休憩室として使っていた和室に戻り、ローブを羽織った。
それから、できたばかりの魔法の杖を持って外に出た。
イリーナ:「あー、はいはい。何もしないから」
坂吹が妖狐の姿に戻って、犬のように唸り声を上げていた。
稲生:「イリーナ先生!マリアさん!」
マリア:「ユウタ……」
イリーナ:「やほー!迎えに来たよー!」
イリーナはムギュッと稲生をハグした。
イリーナ:「いやー、よくあの冥鉄電車から脱出できたねぇ!偉い偉い!」
稲生:「せ、先生……」
イリーナの巨乳が稲生の顔を飲み込んでいる。
マリア:「師匠!ユウタが窒息しちゃいます!」
稲生:「ガクッ……」
チーン!Ω\ζ°)
威吹:「こ、この色ボケ魔女が……!」
イリーナは地面に魔法陣を描くと、その中にマリアと意識を失った稲生を入れ、呪文を唱えた。
冥鉄列車には乗らず、このまま魔法で人間界へ戻るつもりらしい。
イリーナ:「それじゃ皆さん、どうも。うちの弟子がお世話になりました」
威吹:「あ、ああ。ユタに、また来てくれと伝えておいてくれ」
イリーナ:「了解!それじゃ!」
魔法陣が淡いピンク色に光り、その中にいた魔道師達を包み込んだ。
光が消えると、魔法陣ごと無くなっていた。
威吹達の住まいの玄関の扉をガラガラと開けた稲生。
そこにいたのは……。
赤ん坊:「ふぁい」
稲生:「!?」
稲生は目を丸くした。
稲生:「誰!?」
赤ん坊:「ふぁ?」
坂吹:「誰って、威吹先生と禰宜様の御子息ですよ?」
稲生:「何だ、そうか。……って、ええっ!?」
赤ん坊:「あくす……あくす……」
髪の色が銀色なのは、威吹譲りだろう。
赤ん坊は稲生に向かって無邪気にバタバタと両手を振った。
稲生:「ん?何だい?」
坂吹:「握手ですって」
稲生:「おー、握手かー。よしよし」
赤ん坊:「ふぁ!」
稲生は赤ん坊の小さな右手を握った。
さくら:「あっ、伊織。こんな所にいたの?ダメよ。勝手にハイハイしちゃ」
伊織:「おっかー……」
坂吹:「禰宜様!おはようございます」
稲生:「あっ、さくらさん、お久しぶりです」
さくら:「あらっ、確か……伊藤さん?」
稲生:「稲生です……」
[同時間07:00.天候:晴 同場所]
ボーン!ボーン!とぜんまい式の柱時計が鳴る。
稲生:(昭和というより明治だな……)
稲生は何故かそう思った。
いや、柱時計と黒電話は明らかに昭和の遺物のはずなのだが……。
稲生は電話を借りて、イリーナやマリアに連絡を取ろうとした。
稲生:「あっ、マリアさん!良かった……」
マリア:「それはこっちのセリフだ!どこにいる!?」
稲生:「魔界です。アルカディアシティ南部の南端村。マリアさんも1度来たことがありますよね?あそこです。あそこの威吹の家にいます」
マリア:「分かった。あの狐妖怪の家だな。すぐ迎えに行く」
稲生:「すいません」
マリアはあえて理由は聞かなかった。
電話であれこれ聞いても仕方が無いと思ったか、或いはもうイリーナが魔法で知る由となっているのか。
マリア:「私だけでも駆け付けたいんだけど、恐らく師匠も行きたがるだろうから、ちょっと待ってて」
稲生:「分かりました」
マリア:「まずは師匠を起こすことから作業は始まる!」
稲生:「あっ、しまった!そっち、今何時ですか?時差を忘れてた!」
マリア:「こっちは7月5日の19時2分だな。魔界の方が遅いんだっけ?」
稲生:「確か……」
マリア:「まあ、いいや。弟子が行方不明だってのにグースカ寝てやがってダメだ、あの婆さん」
稲生:「それって僕が無事に帰って来ると予知していたってことですよね?」
マリア:「そうだといいんだけどなっ!……とにかく、威吹の家は安全なんだろう?」
稲生:「魔界で威吹にケンカ売って来るようなアウトローはいないと思います」
マリア:「分かった。なるべく早く行くから、もうちょっと待ってて」
稲生:「お手数お掛けします。……はい、では」
稲生は電話を切った。
威吹:「ユター、電話終わった?早いとこ朝餉を」
稲生:「あ、うん」
食卓に行くと稲生の分も用意されていた。
稲生:「すいません、急に押し掛けた上に……」
さくら:「いいえ、構いませんよ」
さくらは伊織を抱っこしていた。
稲生:「頂きます」
威吹:「あれ?ユタ、御題目三唱とやらはしないの?」
威吹がニッと笑った。
稲生:「やめてくれよ。神社でそんなことはできないよ」
威吹:「ははははっ!」
さくら:「本当に仲がよろしいんですのね」
稲生:「すいません、昔馴染みなもので。……あ、先ほど僕の姉弟子に連絡しまして、迎えに来てもらえる算段を付けたので、もう少しだけいいでしょうか?」
さくら:「もちろんですよ。ゆっくりしていってください」
威吹:「うんうん。ユタとは、僕を呼び出した報酬について相談をしないとな」
稲生:「ハハハハ……」
[同日08:00.天候:晴 同場所]
別の和室に移動して、そこで話し合う稲生と威吹。
稲生:「びっくりしたよ。そう言えば確か、さくらさん、身籠っていたとは聞いていたけど……」
威吹:「伊織という名はさくらが付けた。僕的にはあと1人欲しいところだけど」
稲生:「知ってたら、出産祝いを……。あっ、そうだ。それもプラスしよう。このカタログの中から選んで」
威吹:「かたじけない。……というか、キミはいつもこういうのを持ち歩いているのかい?」
稲生:「いや、予知能力向上の為に毎朝占いをしているんだ。今日1日必要なものは何かをね。そしたらこれがあったんだけど、やっと僕の占い、当たるようになってきたなぁ……」
威吹:「空恐ろしい話だ。それで、僕的には、やはりさくらには栄養のある物を食べさせて……と思うわけだよ」
稲生:「うんうん、そうだね」
[同日11:00.天候:晴 同場所]
坂吹:「でやぁーっ!!」
威吹:「浅い!もっと踏み込め!!」
坂吹:「はい!!」
稲生と話が終わった威吹は、坂吹に稽古を付けている。
取りあえずスマホの充電が終わった稲生は、ネットに繋いで注文しようかと思ったが……。
稲生:「いっけね。魔界からじゃアクセスできないんだった。マリアさん達に迎えに来てもらったら、取りあえず実家に戻らないとなぁ……」
縁側に座ってスマホの画面を見ていた稲生はそう呟いた。
その時、バタバタと外に向かって走って行く坂吹の姿があった。
稲生:「ん?」
威吹:「来客だ。それも、ただの参拝客じゃない。多分、ユタの仲間の魔女達じゃないか?」
稲生:「おおっ!やっと来てくれた!威吹、僕は帰る準備するから、先生達には待っててもらえる!?」
威吹:「分かった分かった。玉串料せしめてくるよ」
稲生は休憩室として使っていた和室に戻り、ローブを羽織った。
それから、できたばかりの魔法の杖を持って外に出た。
イリーナ:「あー、はいはい。何もしないから」
坂吹が妖狐の姿に戻って、犬のように唸り声を上げていた。
稲生:「イリーナ先生!マリアさん!」
マリア:「ユウタ……」
イリーナ:「やほー!迎えに来たよー!」
イリーナはムギュッと稲生をハグした。
イリーナ:「いやー、よくあの冥鉄電車から脱出できたねぇ!偉い偉い!」
稲生:「せ、先生……」
イリーナの巨乳が稲生の顔を飲み込んでいる。
マリア:「師匠!ユウタが窒息しちゃいます!」
稲生:「ガクッ……」
チーン!Ω\ζ°)
威吹:「こ、この色ボケ魔女が……!」
イリーナは地面に魔法陣を描くと、その中にマリアと意識を失った稲生を入れ、呪文を唱えた。
冥鉄列車には乗らず、このまま魔法で人間界へ戻るつもりらしい。
イリーナ:「それじゃ皆さん、どうも。うちの弟子がお世話になりました」
威吹:「あ、ああ。ユタに、また来てくれと伝えておいてくれ」
イリーナ:「了解!それじゃ!」
魔法陣が淡いピンク色に光り、その中にいた魔道師達を包み込んだ。
光が消えると、魔法陣ごと無くなっていた。
何かここのコメント欄で呟いたような気がするのだが……いや、その……今年の関東は空梅雨だったじゃない?
それで私が、
「それだったら台風の5〜6個は来てもらわんとなぁ……」
と言ったみたら、本当にそのくらいの数が大挙して押し寄せてくるような予報が出ているんだが……。
修羅河童さん、何かした?
え?何もしていない?
ん?オマエのせいだって?
いや、私ゃ別に河童さんのような「神通力」は持ち合わせておりませんでねぇ……。
きっと、うちのイリーナ辺りが何かした……あれ?誰か来たみたいだ。
群馬県も雨です。
梅雨らしい天気になってしまいましたね。
誰が何かしたのでしょうか。
河童さんも水が欲しくなったのですかね。
長野の修羅河童さんは雪を欲しがる性質だと伺っていたのですが、何年か前にも梅雨明け宣言出したそばから雨がザーッと降って来たなんてことがありましたね。
本当に梅雨前線とやらは、梅雨をもたらすものなのでしょうか?
と、ちょい気象学を否定してみたくなりました。