報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「バイオハザード・リベレーションズ2」

2022-04-01 16:43:24 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月8日13:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 午前中の五十嵐皓貴元社長との面会を終えた私達は、事務所に戻って来た。
 そして、善場主任に面会の事を報告した。
 善場主任は今、北海道に行っている。
 斉藤秀樹社長の足跡を調査する為だ。

 善場:「……つまり、白井は生きているということを言いたかったのですね」

 と、善場主任は電話で言った。

 愛原:「で、でも、白井の遺体は警察が回収して、その後、ちゃんと死亡を確認したんですよね?」
 善場:「はい。一応、遺族が引き取りました。白井伝三郎本人には家族はいませんでしたが、兄弟はいますので。その兄弟が引き取ったそうです」

 知っている。
 医療関係兄弟だ。
 長男が医者で、次男は歯医者だったか。
 三男の伝三郎は薬剤師になろうとしていた。
 だが、ただの薬剤師として働くのではなく、製薬会社に入って薬の研究開発に携わることを選んだ。

 愛原:「それなのに、『生きている』とは?」
 善場:「白井伝三郎の肉体は死にましたが、天長会では『魂は生き続ける』という教えがあるそうです。そして、『肉体さえあれば、魂は永遠だ』とも」
 愛原:「よ、よく分かりませんが、要は輪廻転生ということですよね?」
 善場:「どうやら、天長会では違う考えのようですね。いえ、そこは私もよく分からないのですが……。そして、アレックス・ウェスカーは、この輪廻転生を『科学的且つ人工的に』行おうとしました。BSAAの報告によれば、実験は失敗したそうですが。しかし、白井はそれを素に成功させる糸口を見つけたのかもしれません。五十嵐被告は、それを知っていたのでしょう。だから、愛原所長には、『白井は生きている』と言いたかったのですね」
 愛原:「生きているとして、どこに?ていうか、魂の状態で?」
 善場:「そこで出てくるのが、“トイレの花子さん”……本名は斉藤早苗です。今のところ斉藤社長との接点は見受けられないので、たまたま名字が同じなだけと思われますが、彼女の遺骨と、愛原公一博士の発明した化学肥料ですね。これが使われたのでしょう」
 愛原:「骨だけの状態で、生き返れるんですか?」
 善場:「私も信じられない話ですが、生き返られる自信があったのでしょうね。とにかく、また五十嵐被告と面会してみてください。『白井は生きている』という答えを持って行けば、もっと何か話してくれるかもしれません」
 愛原:「わ、分かりました。斉藤社長については、どうでしょう?」
 善場:「今はロシアですか。容疑が固まり次第、斉藤社長も指名手配ですね。ハイジャックという形で、物の見事に国外逃亡されたわけですが」
 愛原:「あの斉藤社長が……」
 善場:「北海道で何か見つかったらの話ですよ」
 愛原:「そうですね……」

[3月9日09:00.天候:曇 東京都葛飾区小菅 東京拘置所・面会室]

 愛原:「昨日の質問の答えを持ってきました。答えは、『白井は生きている』ですね?」
 五十嵐:「さすがは愛原さん。名探偵ですな」
 愛原:「いや、別に大したことじゃ……。アレックス・ウェスカーは、島に取り残された少女に成り替わろうとしていました。それが成功したのか、失敗したのかは不明ですが……」
 五十嵐:「BSAAに殺処分されてなければ、多分失敗ですな」
 愛原:「しかしアレックス・ウェスカーは、生きている少女に自分の魂を移し替えようとしていたわけですが、白井の場合は遺骨ですよ?そんなことが可能なんですか?」
 五十嵐:「可能だと思ったのでしょうな。そして、それが可能だとされるエビデンスを見つけた。そういうことでしょう」
 愛原:「しかも遺骨は当時16歳の少女のものですよ?」
 五十嵐:「恐らく……だからなのでしょうな」
 愛原:「は?」
 五十嵐:「白井は、『天長会では、巫女は神に最も近い存在なのですよ。私の憧れでもあります』と言っていました。『かつて学校の同級生に、その巫女となるに相応しい女の子がいましてな、是非ともと誘ったのですが、けんもほろろに断られましたよ』ともね」

 その少女は後にイジメを苦にして自殺し、地縛霊として“トイレの花子さん”となり、私やリサの前に現れることとなる。

 愛原:「60代のオッサンが、10代の女の子に転生する……。最近のラノベか!」
 五十嵐:「アメリカの本社も奇人変人揃いでしたが、うちの白井も違うベクトルで危険人物でしたな」
 愛原:「少なくとも、霧生市にバイオハザードが起きたこと自体は立場上の責任は免れないと思いますけどね」

 今回の面会はここで終了した。

[同日11:00.天候:曇 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 事務所に戻って来ると、意外な人物がいた。

 パール:「お帰りなさいませ、愛原先生」
 愛原:「パール!?」

 そこにはメイド服姿のパールがいた。
 悪い目つきを隠すように微笑んでいる。

 愛原:「な、何の用だ?」
 パール:「愛原先生宛てに、旦那様から荷物が届きましたので、お届けに参りました」
 愛原:「荷物ぅ?」

 パールが差し出したのは、レターパックだった。
 しかも差出人を見ると、斉藤家のメイドの1人であるダイヤモンドからだった。
 ダイヤモンドからパールに宛てている。
 だが、中身が私宛てなのだそうだ。

 パール:「ダイヤによれば、旦那様から預かっていたものがあったそうです。『もしも私に万が一のことがあったら、これを愛原さんに』ということだったそうです」
 愛原:「そうなのか?まあ、斉藤社長はロシアにいるからな……。で、しばらく帰って来れそうにない……」

 私はレターパックを受け取った。
 その中に入っていたのは……。

 愛原:「旅行券?」
 パール:「『最後の依頼』だそうです。それで、御嬢様を春休みの旅行に連れて行って頂きたいと……」

 他にも色々と入っている。
 小切手が入っていたが、これがその依頼に対する報酬らしい。

 愛原:「ふーん……。さすがに、海外なんてことはないか」

 しかし、こんなものを用意していたということは、やはり斉藤社長は逃亡するつもりであったのだろうか?
 それとも、警察に捕まることを想定していたか……。
 

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