報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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“大魔道師の弟子” 「大脱出」

2016-02-02 19:31:50 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[1月24日05:30.天候:曇 魔道研究所・地下階 稲生勇太&アレクサンドラ・エヴァノビッチ(サーシャ)]

 研究所の地下を進む稲生達。
「まあ、私もあの船長は好きになれないけどね」
 時間が押し迫っているということもあって、小走りに先へ進む。
 エレベーターのある場所までは稲生も知っているので。
「何か、サーシャを知っている感じだったね?」
「まあ……確かに昔、会ったことがあるけどね」
「昔はお嬢様だったって……」
「お世辞を言ってるだけさ」
「そうかな?サーシャは美人だと思うよ?」
「そうかい?それはありがとう。だけど、あんまり私は昔のことは話したくないねぇ……」
「そうかなの?」
「私に限らず、こんな傭兵稼業やってるヤツは、大なり小なり嫌な過去を抱えてるもんさ」
「ふーん……」
 どうしても稲生には傭兵というと、RPGの世界に登場する流れ者というイメージしか浮かばなかった。
 前にイリーナから、
『人間界で言う非正規雇用の、日雇い派遣労働者みたいなものよ』
 と言われたことがあるが、それも違うと思った。
 少なくとも、派遣労働者は派遣会社に登録をしなければならないわけだが、傭兵というのは自分で雇い主を探すのがベタなRPGの法則だ。
 世界によってはギルド(組合または協会)が存在していて、それに加盟しなければならないみたいなルールが存在するところもあるようだが、このアルカディアではどうなのかは分からない。
 ただ、サーシャと旅をしてきて、そのようなギルドの存在は確認できなかったので、無いのかもしれない。
「って、うおっ!?」
 その時、途中の廊下にハンターが2匹待ち構えていた。
「さっき船長と来た時にはゾンビすらいなかったのに!?」
「どっから湧いてくるんだろうねぇ、こいつらはァ!」
 サーシャは剣を抜いて応戦する。
 稲生もまたCクラスの弱い魔法とはいえ、それで応戦した。
 稲生の弱い魔法だけでは倒せないが、一応敵の気を引き付けるくらいは可能なようで、あまり知能が高くないと思われるこのモンスター達を倒すことができた。
「今度はこいつら、腹の中に何か隠し持っているってことは無さそうだねぇ……」
「そうですね。エレベーターはこの先です」
「うん」

 エレベーターは、鉄格子の扉になっていた。
 鍵をボタンの所に差すと、起動した。
「やっぱりこれだったんだ」
 エレベーターを呼び戻すと、ドアのロックが外れた。
「……あ、自分で開けるのか!」
 なかなかドアが開かないなーと思ったが、サーシャが手を伸ばして手で開けた。
「これで更に地下に行けるのかい?」
「そうだよ」
 ということは当然閉めるのも手動であり、閉めないと動かない。
「物凄くレトロなエレベーターだけど、さっきの警備室といい、少し近代的になってきたなぁ……」
 稲生はエレベーターを動かしながらそう思った。
「ふーん……」

 エレベーターが到着すると、そこは倉庫になっているようだった。
 明かりは一応点いていて、幸いにもモンスターの気配は無かった。
「こんな所に裏門を開ける仕掛けが?」
「うーん……俄かには信じられないねぇ」
 2人は半信半疑の状態で、操作盤みたいなものが無いか探した。
 すると、
「おっ、あんな所にパソコンが!」
 稲生がデスクトップPCを発見した。
「ぱそこん?魔法具が何かかい?」
「人間界には普通に存在するものですが、まあそうかもしれない」
 と、稲生。
「きっと、あれで操作するんだ!」
「まあ、上手い事やってくれ」
 稲生はPCの前に立つと電源ボタンを押したが、
「あれ?あれれ?起動しない?」
「どうした、稲生?」
「いや、何か電源が無いみたい……。コンセントは無いしなぁ……。発電機か何かあるかもしれない。探してもらえます?」
「しょうがないな。ちょっと待ってな」
 サーシャは倉庫の中を走った。
 すると、発電機らしいものを発見した。
「こいつか?随分オンボロに見えるけど大丈夫かね?」
 そう言いつつ、サーシャはガチャンとレバーをONにした。
 すると発電機が動き出した。
「どうだい!?」
「うーん……。PCのフル稼働にはまだ電力が足りないねぇ……。何か旧式っぽいし、意外と電気を食うのかもね」
「じゃ、どうする?」
「もう1個くらい発電機は無い?」
「マジか!」
 サーシャはまた倉庫内を走った。
 すると、もう1つ同じ形をした発電機があった。
「よっと!」

 ガチャン!

「よーっし!フルパワーで起動しました!」
「急いでよ!もう時間が無い!」
「分かってます。……はい、OKです!開きました!」
「早っ!?さすがは稲生だね。よし!早いとこ脱出しよう!」
「ちょっと待ってください。このパソコン、ここの研究データを蓄積したサーバーにアクセスできるみたいだ」
 稲生はローブの中からUSBメモリーを出した。
「せっかくだから、根こそぎ、持って行けるだけ持って行ってやろうかと!」
「あのなぁ……。まあ、いいや。早くしてよ」
「大丈夫。データを僕のUSBにコピーするだけです」
 稲生はそう言って、メモリースティックを突き刺した。
「あれ?」
「今度は何だい?」
「いや、まだ解析されていないデータがある。……ふーん……これなら僕にもできそうだ」
 稲生はキーボードを叩いた。
「魔法具なのに呪文とか唱えなくていいんだね?」
「まあ、その呪文をこのキーボードで打ち込んでるようなものだから」
 というか、どうして魔界の、それも魔道師の研究所にパソコンがあるのかの疑問を持たない2人だった。
 パソコン自体初めて見るサーシャはしょうがないにしても。
「……あれ?これって……」
 稲生はローブの中から自分のスマホを出した。
 ケーブルも出す。
 それでPCとスマホと両方接続した。
「何をするつもりだい?」
「よくよく考えたら、これで総理官邸と連絡が取れそうなんですよ」
「何だって!?」
 稲生は総理官邸に電話を掛けた。
「……あ、もしもし。僕、大魔道師イリーナ・レヴィア・ブリジッド先生の弟子で、稲生勇太と申します。……はい。すいませんが、安倍総理をお願いできますか?」
 安倍春明が電話口に出るまでの間、稲生はサーシャに向かってガッツポーズをした。
{「あー、私だ。イリーナ師のお弟子さんが何の御用ですか?」}
「安倍総理!お忙しいところ、申し訳ありません!実はちょっとお願いがありまして、実は今、レッドスターシティ郊外の山奥にある魔道研究所の地下にいるんです!」
{「……よく聞こえなかった。もう1回言ってくれ」}
「ですから!まもなく“ライディーン”が放たれる町の郊外にいるんです!」
{「すぐにそこから離れなさい!まもなく町は極秘作戦により消滅する!」}
「分かってます!滅菌作戦ですね!」
{「一体、キミ達は何の目的でそこにいるのかね!?もう“ライディーン”は止められんぞ!?」}
「実はこちらの調査で把握した情報、“魔の者”に関するヤツがあるんですが、それは政府にとっても有益な情報かもしれないんです」
{「なに?確認させてくれ」}
「はい。すぐに送信します」
 稲生はエンターキーを押したが、画面にエラー表示が出る。
「ん!?……あれ?コネクション・エラー!?しまった!“魔の者”に気づかれた!」
 と、その時、地下室内に地響きと振動が伝わって来た。
「……お、おい!稲生!何かヤバいぞ!」
「ちょっと待ってください。ここをこうすれば、エラーを解除に……」

 ズシーン!

「稲生、いいから早く来い!」
「ま、待ちなさい!今、送信を……!」
「ここでキカイと一緒に心中する気か!バカ!」

[同日05:50.天候:曇 アルカディアシティ・総理官邸 安倍春明]

 電話の向こうから爆発音が聞こえた。
「稲生君!稲生君!?」
 だが、電話が切れてしまった。
「な、何てこった!……“ライディーン”はまだ放たれていないのに、何があった!?」
 安倍は急いでまた電話の受話器を取った。
「あー、私だ。“ライディーン”の発射時間をできるだけ遅くしてくれ。……ああ、分かってる!今さら中止にはできないことくらい!そうではなくて、発射時間をなるたけ延長してくれ!……ああ、それで十分だ。それと、発射した後、あの町の周辺に捜索隊を出せ!対象者は……」

 安倍は机の上のノートPCを背に、魔王軍総司令部に連絡をしていた。
 その間、受信エラーの表示が出ていたのだが、それがいつの間にか解除され、再び送信されてきていた。

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6 コメント

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Unknown (ポテンヒット)
2016-02-03 10:03:08
清原逮捕で何が悲しいかって言うと、報道番組で西武時代のVTRが流れるところだな。ホームランとかで活躍してるシーンが流れるわけだが、そのたびに俺は「あの感動はニセモノだったのか!」って思いになるんだよorz

ケンショー信者がメタボのインチキに気づいてしまった時の心境に近いと思うw
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ポテンヒットさんへ (作者)
2016-02-03 11:12:10
こんにちは。

私なんざ小学生時代にハマった漫画、“かっ飛ばせ!キヨハラくん”のイメージがあるから尚更ですよ。
漫画ではオトボケキャラながら、比較的好青年って感じで描かれてたんですけどねぇ……。

西武時代の夢は本当だったと思いますよ。
顕正会だって、まだ処分前の妙信講だった頃は功徳があったんですから。
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Unknown (ANP)
2016-02-03 21:10:07
まあコカインじゃないからいいんじゃないー?って大麻でもないか(高部あいが逮捕されて悲しくなった奴並みの感想)
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ANPさんへ (作者)
2016-02-03 21:29:40
 第六天魔王の正体を知った今、清原の覚せい剤問題は些末なことです。
 第六天魔王は普通の人の目には見えない。
 人間に憑依して僧俗の和を乱すのが常套手段だと思っていましたが、そこに覚せい剤などの麻薬は必要無いということが分かりました。

 「事実は小説より奇なり」

 正しく、私の小説のネタにも上がらなかったことです。
 清原容疑者にはPL教団から完全に離別してもらい、日蓮正宗への道を歩んで頂きたいと思います。
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Unknown (ANP)
2016-02-05 02:02:14
高部あいさんはクスリキメまくってた後性交渉もキメまくってたので誰の子供かわからない子供を妊娠してたそうです……!
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ANPさんへ (作者)
2016-02-05 08:36:17
 まあ、ドラッグをやるような弱い人間なんざ、そういうものです。
 
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