[5月7日14:00.天候:晴 アルカディアシティ1番街 地下鉄1番街駅→魔界共和党本部]
昔のニューヨークの地下鉄R1系電車に酷似した車両が1番街駅のホームに入線する。
1番街駅は日本の東京駅に相当する駅なので、アルカディアメトロの中では一番規模が大きく、乗降客数も多い。
稲生:「本来のスタート地点に戻って来ましたねー」
マリア:「駅じゃなくて、魔王城でしょ」
クリス:「さすが都会の駅は賑わってるねぇ。何だか、目が回っちまうよ。田舎者の私じゃね」
稲生:「東京駅よりは空いてるから、そんなに心配無いよ」
魔王城の方を向いた出口に向かう。
丸の内口に相当する場所で、東京駅では歴史を感じさせるレンガ造りの構造になっているが、こちらも魔王城を模した雰囲気になっている。
東京駅が赤レンガなのに対し、こちらはグレーの石積みの構造だと思えば良い。
地上に出てコンコースに行くと、やはり東京駅のような吹き抜けがある。
魔王城の大ホールを模したものである。
稲生は不参加(一時的に死亡し、地獄界にいた)だったが、旧政府軍(バァル大帝派)と新政府軍(魔界共和党)の最終決戦地になったのがその魔王城大ホールである。
クリス:「相変わらず魔王城はデッカいなぁ!」
駅の外に出ると、魔王城が飛び込んで来る。
大きな通りを挟んでいるのだが、丸の内と違って高層ビルが建っているわけではないので、すぐに目に飛び込んで来るのだ。
クリス:「何か、工事してるよ?」
稲生:「ああ。旧館の解体工事と改修工事ね。旧館の中で老朽化したり、この前の内戦で破壊された場所は取り壊すんだってさ。で、改修して使えるものは改修する」
バァル大帝の玉座があったのは旧館の方。
新館は工事中だったが、魔界民主党政権の時に工事は中断され、魔界共和党が立憲君主制を行うに当たり、工事は再開され、完成している。
稲生:「で、党本部は魔王城の中ではなく、その隣の……こっちのビルの中にある」
東京・丸の内で言うなら、新丸ビルに相当する場所。
しかし、これといって高層ビルというわけではない。
クリス:「私、こんな格好で行って大丈夫かねぇ?」
稲生:「大丈夫だよ。魔王城に行けば、傭兵隊入隊受付でクリスみたいな戦士が大勢出入りしてるから」
クリス:「ああ、ここでも傭兵隊の受付やってるのか。私もちょっと覗いてみようかな。報酬受け取ったら」
稲生:「いいんじゃない」
クリス:「あ、でも、先に剣を買ってからの方がいいかな~」
稲生:「いいんじゃない」
マリア:「いいから早く行こう」
東京駅……もとい、1番街駅でも『正規兵募集』の広告が大きく掲げられていた。
アルカディア王国の軍事に関しては、特に徴兵制が敷かれていることはなく、志願制である。
また、『アルカディア軍事学校、入校随時受付中!』という予備校的なノリの看板もあった。
で、党本部ビルの入口には、『新規党員募集のお知らせ』『賛助会員募集のお知らせ』の貼り紙も。
よく見ると、あちこちで人材募集の広告が貼られていて、いかにこの国が人材不足に悩まされているか分かるというものである。
コロナ禍前の日本の求人広告並みである。
受付:「いらっしゃいませ。アルカディア王国の政治の中枢、魔界共和党本部へようこそ」
受付には若い男性の受付係がいた。
立憲君主制とはいえ、議席を持っているのは今や魔界共和党1党だけだからこそ、今のようなセリフが出てくるのだろう。
受付:「本日はどのような御用件でいらっしゃいますか?」
稲生:「報奨金を受け取りに来ました。書類がこれです」
受付:「これはこれは……。ご活躍の件、伺っております。我が党の治安維持業務への御協力、感謝致します。すぐに担当者にお繋ぎ致しますので、あちらにお掛けになってお待ちください。こちらの書類はお預かりします」
稲生:「よろしくお願いします」
稲生達、打ち合わせコーナーに移動する。
クリスも背中に背負っている剣をずらして、長椅子に腰かけた。
ロビーでは、これまでの魔界共和党の歴史について紹介するパネルなどが展示されていた。
今ではスーツ姿の安倍春明首相が、まるでDQの勇者の恰好をしてアルカディアシティを歩く写真もある。
魔界共和党の前身は、バァル大帝の人間冷遇政策に対する反乱組織であったことも紹介されていた。
その中に一時期政権の座に就いて強硬な共和制を敷いたことで却って政治混乱を招き、共和党の蜂起によって国外追放された魔界民主党のことも紹介されている。
人間だけの世界なら帝政からの共和制でも良いが、魔王を崇敬しながら動いていた魔族に、いきなり共和制を敷いてもダメなのである。
魔王の代わりとなる魔族の王を用意し、それに沿って民主政治を行う為には立憲君主制が良いと判断し、今に至ることもパネルで紹介されていた。
稲生:「魔王の代わりとなる魔族の王が、今のルーシー・ブラッドプール一世陛下だ」
まだ魔王に即位する前、ニューヨークに住んでいた頃のラフな格好をしたルーシーの姿の写真も展示されている。
この写真、展示するのにルーシーに相当頭下げたらしいが。
白人の中でも特に色が白いということを除けば、ラフな格好をしたニューヨーカーという感じしかしない。
稲生:「これで吸血鬼なんだから信じられないよね」
マリア:「陛下は人間の血が混じっているんだろう?そのおかげで昼間でも活動できるって話だな。純血の吸血鬼をヴァンパイアと呼び、混血の吸血鬼をダンピアと言う」
マリアはイギリス人なので英語発音したが、綴りはDhanpirと書き、英語発音だとマリアみたいな感じになるが、東欧の発音でダンピールと呼ぶことが普通。
純血種の敵になることも多く、安倍はその性質を利用して、純血種の動きを抑えるべく(純血種は旧政権派が多かった)、混血のルーシーを女王に担ぎ上げたともされる。
純血種は人間を捕食対象としか見ていないが、混血種は元々人間の血が混じっているからか、人間の味方になることが多い為。
坂本:「お待たせしました。魔界共和党経理部参事の坂本と申します」
そこへ担当者たる坂本参事がやってきた。
坂本:「ここでは何ですので、応接室へご案内致します。どうぞ、こちらへ」
稲生:「よろしくお願いします」
坂本:「我が党の歴史、ご覧になっておられたのですね?」
稲生:「はい。なかなかいいアイディアですね。いっそのこと、ワンフロア丸ごと、党の歴史を伝える展示ルームでも設けてみてはどうですか?」
坂本:「あ、それはもうやってますよ。試行錯誤しながらですが」
稲生:「あ、ホントですか」
坂本:「ええ。ただ、監修が横田理事で、安倍総裁に何度も突っ込まれながらの展示なんですが……」
稲生:「すいません、やっぱやめときますw」
坂本:「ええ。島村幹事長辺りが担当してくれれば、安心なのですが……」
マリア:(お笑い政党、魔界共和党……)
昔のニューヨークの地下鉄R1系電車に酷似した車両が1番街駅のホームに入線する。
1番街駅は日本の東京駅に相当する駅なので、アルカディアメトロの中では一番規模が大きく、乗降客数も多い。
稲生:「本来のスタート地点に戻って来ましたねー」
マリア:「駅じゃなくて、魔王城でしょ」
クリス:「さすが都会の駅は賑わってるねぇ。何だか、目が回っちまうよ。田舎者の私じゃね」
稲生:「東京駅よりは空いてるから、そんなに心配無いよ」
魔王城の方を向いた出口に向かう。
丸の内口に相当する場所で、東京駅では歴史を感じさせるレンガ造りの構造になっているが、こちらも魔王城を模した雰囲気になっている。
東京駅が赤レンガなのに対し、こちらはグレーの石積みの構造だと思えば良い。
地上に出てコンコースに行くと、やはり東京駅のような吹き抜けがある。
魔王城の大ホールを模したものである。
稲生は不参加(一時的に死亡し、地獄界にいた)だったが、旧政府軍(バァル大帝派)と新政府軍(魔界共和党)の最終決戦地になったのがその魔王城大ホールである。
クリス:「相変わらず魔王城はデッカいなぁ!」
駅の外に出ると、魔王城が飛び込んで来る。
大きな通りを挟んでいるのだが、丸の内と違って高層ビルが建っているわけではないので、すぐに目に飛び込んで来るのだ。
クリス:「何か、工事してるよ?」
稲生:「ああ。旧館の解体工事と改修工事ね。旧館の中で老朽化したり、この前の内戦で破壊された場所は取り壊すんだってさ。で、改修して使えるものは改修する」
バァル大帝の玉座があったのは旧館の方。
新館は工事中だったが、魔界民主党政権の時に工事は中断され、魔界共和党が立憲君主制を行うに当たり、工事は再開され、完成している。
稲生:「で、党本部は魔王城の中ではなく、その隣の……こっちのビルの中にある」
東京・丸の内で言うなら、新丸ビルに相当する場所。
しかし、これといって高層ビルというわけではない。
クリス:「私、こんな格好で行って大丈夫かねぇ?」
稲生:「大丈夫だよ。魔王城に行けば、傭兵隊入隊受付でクリスみたいな戦士が大勢出入りしてるから」
クリス:「ああ、ここでも傭兵隊の受付やってるのか。私もちょっと覗いてみようかな。報酬受け取ったら」
稲生:「いいんじゃない」
クリス:「あ、でも、先に剣を買ってからの方がいいかな~」
稲生:「いいんじゃない」
マリア:「いいから早く行こう」
東京駅……もとい、1番街駅でも『正規兵募集』の広告が大きく掲げられていた。
アルカディア王国の軍事に関しては、特に徴兵制が敷かれていることはなく、志願制である。
また、『アルカディア軍事学校、入校随時受付中!』という予備校的なノリの看板もあった。
で、党本部ビルの入口には、『新規党員募集のお知らせ』『賛助会員募集のお知らせ』の貼り紙も。
よく見ると、あちこちで人材募集の広告が貼られていて、いかにこの国が人材不足に悩まされているか分かるというものである。
受付:「いらっしゃいませ。アルカディア王国の政治の中枢、魔界共和党本部へようこそ」
受付には若い男性の受付係がいた。
立憲君主制とはいえ、議席を持っているのは今や魔界共和党1党だけだからこそ、今のようなセリフが出てくるのだろう。
受付:「本日はどのような御用件でいらっしゃいますか?」
稲生:「報奨金を受け取りに来ました。書類がこれです」
受付:「これはこれは……。ご活躍の件、伺っております。我が党の治安維持業務への御協力、感謝致します。すぐに担当者にお繋ぎ致しますので、あちらにお掛けになってお待ちください。こちらの書類はお預かりします」
稲生:「よろしくお願いします」
稲生達、打ち合わせコーナーに移動する。
クリスも背中に背負っている剣をずらして、長椅子に腰かけた。
ロビーでは、これまでの魔界共和党の歴史について紹介するパネルなどが展示されていた。
今ではスーツ姿の安倍春明首相が、まるでDQの勇者の恰好をしてアルカディアシティを歩く写真もある。
魔界共和党の前身は、バァル大帝の人間冷遇政策に対する反乱組織であったことも紹介されていた。
その中に一時期政権の座に就いて強硬な共和制を敷いたことで却って政治混乱を招き、共和党の蜂起によって国外追放された魔界民主党のことも紹介されている。
人間だけの世界なら帝政からの共和制でも良いが、魔王を崇敬しながら動いていた魔族に、いきなり共和制を敷いてもダメなのである。
魔王の代わりとなる魔族の王を用意し、それに沿って民主政治を行う為には立憲君主制が良いと判断し、今に至ることもパネルで紹介されていた。
稲生:「魔王の代わりとなる魔族の王が、今のルーシー・ブラッドプール一世陛下だ」
まだ魔王に即位する前、ニューヨークに住んでいた頃のラフな格好をしたルーシーの姿の写真も展示されている。
この写真、展示するのにルーシーに相当頭下げたらしいが。
白人の中でも特に色が白いということを除けば、ラフな格好をしたニューヨーカーという感じしかしない。
稲生:「これで吸血鬼なんだから信じられないよね」
マリア:「陛下は人間の血が混じっているんだろう?そのおかげで昼間でも活動できるって話だな。純血の吸血鬼をヴァンパイアと呼び、混血の吸血鬼をダンピアと言う」
マリアはイギリス人なので英語発音したが、綴りはDhanpirと書き、英語発音だとマリアみたいな感じになるが、東欧の発音でダンピールと呼ぶことが普通。
純血種の敵になることも多く、安倍はその性質を利用して、純血種の動きを抑えるべく(純血種は旧政権派が多かった)、混血のルーシーを女王に担ぎ上げたともされる。
純血種は人間を捕食対象としか見ていないが、混血種は元々人間の血が混じっているからか、人間の味方になることが多い為。
坂本:「お待たせしました。魔界共和党経理部参事の坂本と申します」
そこへ担当者たる坂本参事がやってきた。
坂本:「ここでは何ですので、応接室へご案内致します。どうぞ、こちらへ」
稲生:「よろしくお願いします」
坂本:「我が党の歴史、ご覧になっておられたのですね?」
稲生:「はい。なかなかいいアイディアですね。いっそのこと、ワンフロア丸ごと、党の歴史を伝える展示ルームでも設けてみてはどうですか?」
坂本:「あ、それはもうやってますよ。試行錯誤しながらですが」
稲生:「あ、ホントですか」
坂本:「ええ。ただ、監修が横田理事で、安倍総裁に何度も突っ込まれながらの展示なんですが……」
稲生:「すいません、やっぱやめときますw」
坂本:「ええ。島村幹事長辺りが担当してくれれば、安心なのですが……」
マリア:(お笑い政党、魔界共和党……)
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