[9月16日12:00.㈶日本アンドロイド研究開発財団仙台支部のビルB1Fプロムナード 敷島孝夫&森須]
「平賀太一先生は、会議に参加されてませんでしたね」
敷島と森須はプロムナードにある飲食店で昼食を取っていた。
「基本的にテロ対策は、2つのチームで構成されている。鍵はシンディだ。即ち、シンディの再稼働賛成派と反対派のチームだな。キミは賛成派ということで、平賀副理事とは別のチームになっただけのことだ」
「個人的には反対なんですが、大賛成のアリスと結婚しちゃったからなぁ……」
敷島は頭をかいた。
「いや、むしろキミには期待しているんだよ。まだシンディが人型殺人兵器だった頃、上手く立ち回った人間の代表格なんだからね」
(そりゃ、スパイ活動してたんだから当然ですよ)
という言葉を敷島は飲み込んだ。
「扱いにくいマルチタイプを上手いこと使いこなしているではないか」
「ええっ、そうですか?それはエミリーが、ちゃんと私の言う事を聞いてくれているだけのことですよ?」
「無意識に使いこなせることこそが肝心」
「と、仰いますと?」
「エミリーはいかにも全ての人間に対して友好且つ従順な性格のように見えるが、意外とそうでもないんだよ」
「? まあ、確かに旧ソ連時代はKGBのロボットだったということですが……」
「まあ、キミはこれまで通りの路線を維持していてくれれば良い」
「アリスのヤツ、シンディのユーザー登録、勝手に自分にしやがりまして大変ですよ」
「それは仕方の無いことだ。オーナー登録は、もちろんアリス君が相応しいことは言うまでも無いが、ユーザー登録の希望者が誰1人いなかったのだから」
「そりゃそうでしょうね」
「エミリーを使いこなしているキミだからこそ、これもまた適材なのだよ」
「シンディのヤツ、私の言う事をちゃんと聞くかなぁ……」
「聞くさ」
「うーん……」
(シンディの行動に、あれだけのツッコミを入れられる人間はキミだけだよ)
と、森須は思った。
「まあ、手当ては本部に頼んで増額してもらうから、頼んだよ」
「はあ……。そのうち、生命保険の加入が断られたりして」
「まあ、そう言うな。キミの午後の予定はどうなっているのかね?」
「ミクとリン・レンを連れて、仙南ラジオにゲスト出演する予定です。その後は岩沼市民会館でミニライブが……」
「大変だな、キミも」
「私にとっては、こちらが本業のつもりです」
敷島は大きく頷いた。
[同日13:00.同場所 実験室 シンディ]
「うーむ……」
ガラス張りの実験室の椅子に座るシンディ。
その窓の外では、複数の研究者達が固まっていた。
「ハード、ソフトウェア共に処分前のものと同一と見て差し支えないと思われます」
「ああ。あのウィリアム・フォレストの置き土産の1つだからな、あのシンディは……」
「交換用のボディをそのまま使えるというのは凄いですね」
「確かにまた処分するのは勿体ない……」
「主任理事の十条先生も、力を入れておられるだけのことはあるな」
会話の内容から見てもだいたい分かるが、ここにいる研究者達はシンディ再稼働賛成派である。
研究者の1人が実験室のドアのロックを解除した。
「キミ、もう出ていいよ」
「はーい」
促されたシンディは実験室から出て来た。
「それじゃ今度は30分後、第2研究室に来るように」
「分かりました」
シンディは実験室から出た。
そこではエミリーが待っていて、
「シンディ。お疲れ様」
「全く。いくら調べたって、前の体と変わらないのにね」
「それだけ・前の・お前が・脅威的だったということだ」
「まあ、気持ちは分かるけど……。!」
エレベーターホールから、平賀太一ら数名の反対派研究者達がやってきた。
正に、一触即発!
エミリーがシンディと平賀太一達の間に入る。
「お疲れ様です。ドクター平賀」
エミリーが恭しく頭を下げる。
エミリーの新しい主が平賀だからだ。
「ああ。アリスの研究所で、頑張ってるみたいだな。余計な仕事が増えてしまったけども、我慢してくれ」
「ノープロブレム。余計な・仕事では・ありません」
「お前はそう思えても、敷島さんのことが心配だ。敷島さんのサポート、よろしく頼むよ」
「イエス。ドクター平賀」
平賀はそれだけ言うと、部下達を伴って奥へ歩いていった。
「太一坊ちゃん、少しは大人になったみたいね。あのメイドロボットも成長したからかしら?」
因みに平賀は、わざとシンディの方を見ないでいた。
「ドクター平賀が・お前を・壊さないか・心配だ」
「本音は壊したくてしょうがないでしょうね。でも十条博士やアリス博士の目が黒いうちは、太一坊ちゃんは何もできないでしょう」
「ドクター・アリスの・虹彩は・プルーだ」
「……そこはツッコまず、スルーしてくれない?」
[同日15:00.宮城県岩沼市某所 敷島、初音ミク、鏡音リン・レン]
「皆さん、こんにちは!『どっきゅーんiラジオ』のお時間です!本日のゲストは、この方々!今、巷で話題のボーカロイド、初音ミクさんと鏡音リン、鏡音レン君の3人です。どうぞ!」
「こんにちはー。初音ミクでーす!」
「イェーイ!パフパフー♪」
「よろしくお願いしまーっす!」
「いやー、さすがに3人も入ってもらうと、スタジオが賑やかだねー!」
「ありがとうございまーす!」
「さて、色々お話を伺う前に、オープニング行ってみよう!」
敷島はスタジオの外で、ミク達の様子を見ている。
と、そこへケータイに着信があった。
敷島はすぐにスタジオの外の廊下に出る。
「はい、もしもし?」
相手は平賀太一だった。
{「ああ、敷島さん。お疲れさまです」}
「平賀先生。どうしました?」
{「実は件のテロ組織が声明を出しまして……」}
「で、何ですか?」
{「『ボーカロイド共のせいで、何名ものアイドル志願者がその夢を断たれたと思ってるんだ。機械なんぞに夢を断たれた少年少女達に対する罪の深さ、思い計って余りある。直ちに全てのボーロカイドの稼働停止を求めるものである』と」}
「む、無茶苦茶だ!こっちだって、鳴り物入りでデビューしたんじゃないんですよ」
{「分かってます。ボーカロイドが存在しなくたって、誰かがデビューしたせいで、誰かがデビューできなかったことには変わりが無いですからね。向こうの勝手な言い分ですよ」}
「何でこう自称市民団体ってのは、クレーマーみたいなのが多いんだ?」
{「とにかく、何をしてくるか分からないということです。十分注意してください」}
「分かりました」
敷島は電話を切った。
「いきなりポーロカロイドを狙ってくるか。まあ、財団で1番目立つロボット達だから、しょうがないか……」
敷島は舌打ちをして電話をしまうと、再びスタジオの中に戻った。
「平賀太一先生は、会議に参加されてませんでしたね」
敷島と森須はプロムナードにある飲食店で昼食を取っていた。
「基本的にテロ対策は、2つのチームで構成されている。鍵はシンディだ。即ち、シンディの再稼働賛成派と反対派のチームだな。キミは賛成派ということで、平賀副理事とは別のチームになっただけのことだ」
「個人的には反対なんですが、大賛成のアリスと結婚しちゃったからなぁ……」
敷島は頭をかいた。
「いや、むしろキミには期待しているんだよ。まだシンディが人型殺人兵器だった頃、上手く立ち回った人間の代表格なんだからね」
(そりゃ、スパイ活動してたんだから当然ですよ)
という言葉を敷島は飲み込んだ。
「扱いにくいマルチタイプを上手いこと使いこなしているではないか」
「ええっ、そうですか?それはエミリーが、ちゃんと私の言う事を聞いてくれているだけのことですよ?」
「無意識に使いこなせることこそが肝心」
「と、仰いますと?」
「エミリーはいかにも全ての人間に対して友好且つ従順な性格のように見えるが、意外とそうでもないんだよ」
「? まあ、確かに旧ソ連時代はKGBのロボットだったということですが……」
「まあ、キミはこれまで通りの路線を維持していてくれれば良い」
「アリスのヤツ、シンディのユーザー登録、勝手に自分にしやがりまして大変ですよ」
「それは仕方の無いことだ。オーナー登録は、もちろんアリス君が相応しいことは言うまでも無いが、ユーザー登録の希望者が誰1人いなかったのだから」
「そりゃそうでしょうね」
「エミリーを使いこなしているキミだからこそ、これもまた適材なのだよ」
「シンディのヤツ、私の言う事をちゃんと聞くかなぁ……」
「聞くさ」
「うーん……」
(シンディの行動に、あれだけのツッコミを入れられる人間はキミだけだよ)
と、森須は思った。
「まあ、手当ては本部に頼んで増額してもらうから、頼んだよ」
「はあ……。そのうち、生命保険の加入が断られたりして」
「まあ、そう言うな。キミの午後の予定はどうなっているのかね?」
「ミクとリン・レンを連れて、仙南ラジオにゲスト出演する予定です。その後は岩沼市民会館でミニライブが……」
「大変だな、キミも」
「私にとっては、こちらが本業のつもりです」
敷島は大きく頷いた。
[同日13:00.同場所 実験室 シンディ]
「うーむ……」
ガラス張りの実験室の椅子に座るシンディ。
その窓の外では、複数の研究者達が固まっていた。
「ハード、ソフトウェア共に処分前のものと同一と見て差し支えないと思われます」
「ああ。あのウィリアム・フォレストの置き土産の1つだからな、あのシンディは……」
「交換用のボディをそのまま使えるというのは凄いですね」
「確かにまた処分するのは勿体ない……」
「主任理事の十条先生も、力を入れておられるだけのことはあるな」
会話の内容から見てもだいたい分かるが、ここにいる研究者達はシンディ再稼働賛成派である。
研究者の1人が実験室のドアのロックを解除した。
「キミ、もう出ていいよ」
「はーい」
促されたシンディは実験室から出て来た。
「それじゃ今度は30分後、第2研究室に来るように」
「分かりました」
シンディは実験室から出た。
そこではエミリーが待っていて、
「シンディ。お疲れ様」
「全く。いくら調べたって、前の体と変わらないのにね」
「それだけ・前の・お前が・脅威的だったということだ」
「まあ、気持ちは分かるけど……。!」
エレベーターホールから、平賀太一ら数名の反対派研究者達がやってきた。
正に、一触即発!
エミリーがシンディと平賀太一達の間に入る。
「お疲れ様です。ドクター平賀」
エミリーが恭しく頭を下げる。
エミリーの新しい主が平賀だからだ。
「ああ。アリスの研究所で、頑張ってるみたいだな。余計な仕事が増えてしまったけども、我慢してくれ」
「ノープロブレム。余計な・仕事では・ありません」
「お前はそう思えても、敷島さんのことが心配だ。敷島さんのサポート、よろしく頼むよ」
「イエス。ドクター平賀」
平賀はそれだけ言うと、部下達を伴って奥へ歩いていった。
「太一坊ちゃん、少しは大人になったみたいね。あのメイドロボットも成長したからかしら?」
因みに平賀は、わざとシンディの方を見ないでいた。
「ドクター平賀が・お前を・壊さないか・心配だ」
「本音は壊したくてしょうがないでしょうね。でも十条博士やアリス博士の目が黒いうちは、太一坊ちゃんは何もできないでしょう」
「ドクター・アリスの・虹彩は・プルーだ」
「……そこはツッコまず、スルーしてくれない?」
[同日15:00.宮城県岩沼市某所 敷島、初音ミク、鏡音リン・レン]
「皆さん、こんにちは!『どっきゅーんiラジオ』のお時間です!本日のゲストは、この方々!今、巷で話題のボーカロイド、初音ミクさんと鏡音リン、鏡音レン君の3人です。どうぞ!」
「こんにちはー。初音ミクでーす!」
「イェーイ!パフパフー♪」
「よろしくお願いしまーっす!」
「いやー、さすがに3人も入ってもらうと、スタジオが賑やかだねー!」
「ありがとうございまーす!」
「さて、色々お話を伺う前に、オープニング行ってみよう!」
敷島はスタジオの外で、ミク達の様子を見ている。
と、そこへケータイに着信があった。
敷島はすぐにスタジオの外の廊下に出る。
「はい、もしもし?」
相手は平賀太一だった。
{「ああ、敷島さん。お疲れさまです」}
「平賀先生。どうしました?」
{「実は件のテロ組織が声明を出しまして……」}
「で、何ですか?」
{「『ボーカロイド共のせいで、何名ものアイドル志願者がその夢を断たれたと思ってるんだ。機械なんぞに夢を断たれた少年少女達に対する罪の深さ、思い計って余りある。直ちに全てのボーロカイドの稼働停止を求めるものである』と」}
「む、無茶苦茶だ!こっちだって、鳴り物入りでデビューしたんじゃないんですよ」
{「分かってます。ボーカロイドが存在しなくたって、誰かがデビューしたせいで、誰かがデビューできなかったことには変わりが無いですからね。向こうの勝手な言い分ですよ」}
「何でこう自称市民団体ってのは、クレーマーみたいなのが多いんだ?」
{「とにかく、何をしてくるか分からないということです。十分注意してください」}
「分かりました」
敷島は電話を切った。
「いきなりポーロカロイドを狙ってくるか。まあ、財団で1番目立つロボット達だから、しょうがないか……」
敷島は舌打ちをして電話をしまうと、再びスタジオの中に戻った。
「創価学会に来れば嫁と仕事には困らない、という触れ込みだった」
という話を、だいぶ昔に創価学会から折伏を受けたという一般人のオジさんから聞いたことがありますが、真偽のほどは【お察しください】。
う~ん先生のご指導だ
ttp://livedoor.blogimg.jp/g_ogasawara/imgs/e/9/e9672909.jpg
それは大変結構なことでありますが、あなたが毎日楽しくしているせいで、毎日が苦痛の人もいることを忘れないでください。
これがフェイクなどという怪文書や創価新報を付け上がらせているということを知ってのことなのだろうか。