[11月6日18:30.天候:晴 福島県南会津郡南会津町 麺や焚く蔵]
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
今日は霧生市から少し離れた町、南会津町で一泊する。
ホテルにチェックインした後、夕食を取りに再び出発する。
そこは新しめのラーメン店であり、国道289号線バイパス沿いにあった。
6人で夕食時ということもあり、少しだけ席が空くのを待って、それからテーブル席へ通された。
善場:「ラーメンなら予算内です。好きな物注文してください」
愛原:「ありがとうございます」
リサ:「このメニュー全部!」
高橋:「先輩ホストの奢りか!」
栗原蓮華:「化け物が……」
愛原:「チャーシュー麺とギョーザ5個いいですか?」
善場:「ビールもいいですよ。一杯まででしたら」
愛原:「いいんですか!?」
善場:「何せ所長方には、これから死地に赴いて頂くことになりますから」
愛原:「死地ねぇ……」
リサ:「私は『2番』で、敵は『1番』だよねぇ?」
高橋:「『7番』の七じゃねぇ!死亡フラグ立ちまくりの戦地って意味だよ!」
愛原:「それでは、瓶ビール頂きます。高橋の分もいいですか?」
善場:「結構ですよ。あなた達もドリンク頼んでいいですからね」
リサ:「じゃあ私も先生と同じので」
善場:「あと5年ガマンしなさい」
愛原:「暴走するからやめろ」
リサ:「JCが何言ってやがんだ」
栗原愛里:「ぷっ!くくく……!」
私達のやり取りに、リサとはなるべく離れた対角線上に座っていた栗原愛里さんが吹き出してしまった。
愛原:「あはは……。こんな感じでね、いつもやらせてもらってます」
栗原蓮華:「そうですか」
愛原:「『化け物と仲良くしやがって気持ち悪い』と思うかもしれないが……」
善場:「もしもこのコが1人でも人間を捕食していたら、殺処分は当たり前です。しかし、このコからはそのような証拠を取ることができませんでした。そこで私達の組織は、このコを人間に戻すプランの対象にしたわけです。このように、人間と仲良くするのも、そのプランの1つです。いくら見た目が人間でも、中身が化け物のままでは意味がありませんからね」
もちろん、中身が人間で外側が化け物でも困るが。
まあ、ディズニーのアニメみたいな感じにはなりそうだが。
蓮華:「ウーロン茶ください」
愛里:「わ、私もウーロン茶で」
リサ:「じゃあ、オレンジジンジャー」
善場:「すいません。まずはドリンクから注文お願いします」
善場主任は店員を呼んで、まずはドリンクから注文した。
ラーメン屋なのだが、ノリが明らかに居酒屋である。
いや、ここにいるのが大人だけだったら、駅前の居酒屋でも良かったのだろうが。
その後でラーメンやら何やら注文する。
高橋:「先生はオーソドックスにチャーシュー麺とギョーザですか」
愛原:「うん。『フツウガステキ』だよ」
高橋:「何かの呪文っスね!さすがっス!」
高橋はササッと私の言葉をメモに取った。
リサの場合、私と同じチャーシュー麺を注文したまでは良かったものの、それが麺大盛りな上、更に唐揚げまで注文した。
ラーメンが食べたいと言っておきながら、チャーハンの写真を見て迷っていたが。
善場主任がむしろラーメンではなく、チャーハン。
肉チャーハンと唐揚げを頼んでいた。
ドリンクはノンアルビール。
引率者として、さすがにアルコールは御法度か。
栗原姉妹達は味玉中華そばとか、味噌チャーシュー麺とか頼んでいた。
で、高橋は味噌野菜ラーメン。
確かこいつ、いつもラーメン屋ではタンメン系を頼むんだった。
高橋:「さっ、センセ!まずは一杯」
愛原:「おっ、ありがとう」
私は高橋からグラスにビールを注いでもらった。
愛原:「お前もやれ」
高橋:「あざっス!」
私も高橋に返してやる。
リサ:「次、わたし!私にもやらせて!」
リサがお酌を買って出た。
愛原:「ああ。次、頼むよ」
善場:「明日は激戦地に赴きます。今のうちに盛大にやってください」
蓮華:「愛里、あなたはホテルに残ってていいんだよ?」
愛里:「私も家に帰ってみたい」
霧生市では至る所で火災が起きていた。
ゾンビパラダイスと化したあの町で、消火活動など思うようにできるわけもなく、地区によっては、まるで震災の後の火災のように焦土と化した所もあるという。
口に出しては言えないが、果たしてこのコ達の家は無事なのだろうか。
因みにこの時点で、リサも蓮華さんも私服に着替えている。
愛原:「主任、現地へは車ですよね?」
善場:「はい。私の部下が迎えに来ますので、それで向かいます」
愛原:「そうですか」
おおかたハイエースが1台、運転役と補佐役の部下2人で迎えに来るって感じだろう。
別のホテルに泊まっているのかもしれない。
[同日19:30.天候:晴 同町内 麺や焚く蔵→ファミリーマート]
夕食を終え、店舗を出た私達。
善場主任は領収証を切ってもらっていたから、後で組織に請求するのだろう。
最近はレジで単なるレシートではなく、法律上認められる領収証を発行できる。
善場主任もそれを受け取っていた。
ホテルに戻る際、途中にコンビニがある。
高橋:「先生、俺タバコ買ってきます」
愛原:「そうか。じゃあ、俺は外で待ってよう」
他にも栗原姉妹がコンビニに入っていった。
善場:「愛原所長、ちょっとよろしいですか?」
愛原:「あ、はい。何でしょう?」
善場:「所長が八丈島から帰宅された時、私が申し上げたことを覚えていらっしゃますか?」
愛原:「八丈島から帰った時?えーと……」
私は首を傾げた。
善場:「秘密兵器を用意している旨、申し上げたと思いますが?」
愛原:「おっ、そうだ!でも結局、何も無かったと思いますけど……」
善場:「ええ。それがようやく用意できたので、早速リサに試してみたいと思うのです」
愛原:「何ですか、それは?」
善場:「ネメシスの遺伝子情報です。元々ネメシスの遺伝子情報は、アメリカのオリジナル版リサ・トレヴァーから採取されたものです」
その為、ネメシスやG生物の生みの親とも言える存在である。
善場:「それをリサに投与したい思います」
愛原:「えっ!?大丈夫なんですか!?」
善場:「はい。元々はリサ・トレヴァーの体内にあったものですし」
愛原:「だったら、別に投与しなくてもいいんじゃ?」
善場:「強化の為です。恐らく『1番』は現在の『2番』より強くなっていると思われます。これは極秘情報なのですが、既に散発状態で、現地ではBSAAとリサ・トレヴァー達との小競り合いが発生していまして……」
愛原:「えっ?」
善場:「その戦闘データによりますと、『2番』のリサよりも格段に強いことが分かりました。こちらも『2番』を強化しておく必要があります」
愛原:「変に化け物になったりはしないですよね?」
善場:「大丈夫です。数字上は今のリサが暴走するようなことはありません」
愛原:「分かりました。主任を信じます」
善場:「ありがとうございます」
うちのリサですら、ラスボスを張れるほどの強さだぞ?
裏ボスくらいの強さがあるというのか。
蓮華さんが言っていたのだが、うちのリサは既に学校でもラスボスの片鱗を見せていて、イジメのスタイルでよくあるのが、『特定の1人を全員がイジメる』というものだが、リサはその逆。
『リサ1人が全員をイジメる』スタイルなのだという。
リサとしては仲良く遊んでいるつもりだが、既に多くの生徒を『捕食』していて、『捕食』された生徒はリサの言う事を聞くようになるのだという。
リサの周りにはいつも人がいて人気者のように見えるのは、実は斉藤絵恋さんを中心とした取り巻きなのである。
リサに突っかかる者は後で『捕食』される。
そして、既に『捕食』された側が、リサの『捕食』を手伝う有り様なのだそうだ。
学校を停学になってから、リサの中で何か吹っ切れたらしい。
学校の中では『捕食』していないらしいが……。
それでも、本当に食人して強化されている『1番』よりも弱いというのか。
蓮華さんは決闘に負けた以上、リサをどうこうすることは無くなった。
自分の妹が『捕食』されなければ動かないようだし、そもそも妹は無期限停学状態だ。
上級BOWはどうしても、独占欲や支配欲が強いらしい。
愛原:「リサ。そういうわけだ。受けてくれるな?」
リサ:「うん。頑張る」
愛原:「偉いぞ」
私はリサの頭を撫でた。
照れ笑いを浮かべるこの少女は、とても裏で支配欲を満たしているとは思えぬものだった。
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
今日は霧生市から少し離れた町、南会津町で一泊する。
ホテルにチェックインした後、夕食を取りに再び出発する。
そこは新しめのラーメン店であり、国道289号線バイパス沿いにあった。
6人で夕食時ということもあり、少しだけ席が空くのを待って、それからテーブル席へ通された。
善場:「ラーメンなら予算内です。好きな物注文してください」
愛原:「ありがとうございます」
リサ:「このメニュー全部!」
高橋:「先輩ホストの奢りか!」
栗原蓮華:「化け物が……」
愛原:「チャーシュー麺とギョーザ5個いいですか?」
善場:「ビールもいいですよ。一杯まででしたら」
愛原:「いいんですか!?」
善場:「何せ所長方には、これから死地に赴いて頂くことになりますから」
愛原:「死地ねぇ……」
リサ:「私は『2番』で、敵は『1番』だよねぇ?」
高橋:「『7番』の七じゃねぇ!死亡フラグ立ちまくりの戦地って意味だよ!」
愛原:「それでは、瓶ビール頂きます。高橋の分もいいですか?」
善場:「結構ですよ。あなた達もドリンク頼んでいいですからね」
リサ:「じゃあ私も先生と同じので」
善場:「あと5年ガマンしなさい」
愛原:「暴走するからやめろ」
リサ:「JCが何言ってやがんだ」
栗原愛里:「ぷっ!くくく……!」
私達のやり取りに、リサとはなるべく離れた対角線上に座っていた栗原愛里さんが吹き出してしまった。
愛原:「あはは……。こんな感じでね、いつもやらせてもらってます」
栗原蓮華:「そうですか」
愛原:「『化け物と仲良くしやがって気持ち悪い』と思うかもしれないが……」
善場:「もしもこのコが1人でも人間を捕食していたら、殺処分は当たり前です。しかし、このコからはそのような証拠を取ることができませんでした。そこで私達の組織は、このコを人間に戻すプランの対象にしたわけです。このように、人間と仲良くするのも、そのプランの1つです。いくら見た目が人間でも、中身が化け物のままでは意味がありませんからね」
もちろん、中身が人間で外側が化け物でも困るが。
まあ、ディズニーのアニメみたいな感じにはなりそうだが。
蓮華:「ウーロン茶ください」
愛里:「わ、私もウーロン茶で」
リサ:「じゃあ、オレンジジンジャー」
善場:「すいません。まずはドリンクから注文お願いします」
善場主任は店員を呼んで、まずはドリンクから注文した。
ラーメン屋なのだが、ノリが明らかに居酒屋である。
いや、ここにいるのが大人だけだったら、駅前の居酒屋でも良かったのだろうが。
その後でラーメンやら何やら注文する。
高橋:「先生はオーソドックスにチャーシュー麺とギョーザですか」
愛原:「うん。『フツウガステキ』だよ」
高橋:「何かの呪文っスね!さすがっス!」
高橋はササッと私の言葉をメモに取った。
リサの場合、私と同じチャーシュー麺を注文したまでは良かったものの、それが麺大盛りな上、更に唐揚げまで注文した。
ラーメンが食べたいと言っておきながら、チャーハンの写真を見て迷っていたが。
善場主任がむしろラーメンではなく、チャーハン。
肉チャーハンと唐揚げを頼んでいた。
ドリンクはノンアルビール。
引率者として、さすがにアルコールは御法度か。
栗原姉妹達は味玉中華そばとか、味噌チャーシュー麺とか頼んでいた。
で、高橋は味噌野菜ラーメン。
確かこいつ、いつもラーメン屋ではタンメン系を頼むんだった。
高橋:「さっ、センセ!まずは一杯」
愛原:「おっ、ありがとう」
私は高橋からグラスにビールを注いでもらった。
愛原:「お前もやれ」
高橋:「あざっス!」
私も高橋に返してやる。
リサ:「次、わたし!私にもやらせて!」
リサがお酌を買って出た。
愛原:「ああ。次、頼むよ」
善場:「明日は激戦地に赴きます。今のうちに盛大にやってください」
蓮華:「愛里、あなたはホテルに残ってていいんだよ?」
愛里:「私も家に帰ってみたい」
霧生市では至る所で火災が起きていた。
ゾンビパラダイスと化したあの町で、消火活動など思うようにできるわけもなく、地区によっては、まるで震災の後の火災のように焦土と化した所もあるという。
口に出しては言えないが、果たしてこのコ達の家は無事なのだろうか。
因みにこの時点で、リサも蓮華さんも私服に着替えている。
愛原:「主任、現地へは車ですよね?」
善場:「はい。私の部下が迎えに来ますので、それで向かいます」
愛原:「そうですか」
おおかたハイエースが1台、運転役と補佐役の部下2人で迎えに来るって感じだろう。
別のホテルに泊まっているのかもしれない。
[同日19:30.天候:晴 同町内 麺や焚く蔵→ファミリーマート]
夕食を終え、店舗を出た私達。
善場主任は領収証を切ってもらっていたから、後で組織に請求するのだろう。
最近はレジで単なるレシートではなく、法律上認められる領収証を発行できる。
善場主任もそれを受け取っていた。
ホテルに戻る際、途中にコンビニがある。
高橋:「先生、俺タバコ買ってきます」
愛原:「そうか。じゃあ、俺は外で待ってよう」
他にも栗原姉妹がコンビニに入っていった。
善場:「愛原所長、ちょっとよろしいですか?」
愛原:「あ、はい。何でしょう?」
善場:「所長が八丈島から帰宅された時、私が申し上げたことを覚えていらっしゃますか?」
愛原:「八丈島から帰った時?えーと……」
私は首を傾げた。
善場:「秘密兵器を用意している旨、申し上げたと思いますが?」
愛原:「おっ、そうだ!でも結局、何も無かったと思いますけど……」
善場:「ええ。それがようやく用意できたので、早速リサに試してみたいと思うのです」
愛原:「何ですか、それは?」
善場:「ネメシスの遺伝子情報です。元々ネメシスの遺伝子情報は、アメリカのオリジナル版リサ・トレヴァーから採取されたものです」
その為、ネメシスやG生物の生みの親とも言える存在である。
善場:「それをリサに投与したい思います」
愛原:「えっ!?大丈夫なんですか!?」
善場:「はい。元々はリサ・トレヴァーの体内にあったものですし」
愛原:「だったら、別に投与しなくてもいいんじゃ?」
善場:「強化の為です。恐らく『1番』は現在の『2番』より強くなっていると思われます。これは極秘情報なのですが、既に散発状態で、現地ではBSAAとリサ・トレヴァー達との小競り合いが発生していまして……」
愛原:「えっ?」
善場:「その戦闘データによりますと、『2番』のリサよりも格段に強いことが分かりました。こちらも『2番』を強化しておく必要があります」
愛原:「変に化け物になったりはしないですよね?」
善場:「大丈夫です。数字上は今のリサが暴走するようなことはありません」
愛原:「分かりました。主任を信じます」
善場:「ありがとうございます」
うちのリサですら、ラスボスを張れるほどの強さだぞ?
裏ボスくらいの強さがあるというのか。
蓮華さんが言っていたのだが、うちのリサは既に学校でもラスボスの片鱗を見せていて、イジメのスタイルでよくあるのが、『特定の1人を全員がイジメる』というものだが、リサはその逆。
『リサ1人が全員をイジメる』スタイルなのだという。
リサとしては仲良く遊んでいるつもりだが、既に多くの生徒を『捕食』していて、『捕食』された生徒はリサの言う事を聞くようになるのだという。
リサの周りにはいつも人がいて人気者のように見えるのは、実は斉藤絵恋さんを中心とした取り巻きなのである。
リサに突っかかる者は後で『捕食』される。
そして、既に『捕食』された側が、リサの『捕食』を手伝う有り様なのだそうだ。
学校を停学になってから、リサの中で何か吹っ切れたらしい。
学校の中では『捕食』していないらしいが……。
それでも、本当に食人して強化されている『1番』よりも弱いというのか。
蓮華さんは決闘に負けた以上、リサをどうこうすることは無くなった。
自分の妹が『捕食』されなければ動かないようだし、そもそも妹は無期限停学状態だ。
上級BOWはどうしても、独占欲や支配欲が強いらしい。
愛原:「リサ。そういうわけだ。受けてくれるな?」
リサ:「うん。頑張る」
愛原:「偉いぞ」
私はリサの頭を撫でた。
照れ笑いを浮かべるこの少女は、とても裏で支配欲を満たしているとは思えぬものだった。
前者はそのまま食い殺すこと。
後者は、食い殺しはしないが、『2番』のリサのオリジナル行動のことを指す。
即ち、前者が人間の血肉を食らうことを指すのに対し、後者は老廃物のみを食らう。
その為、『捕食』された側は特に命に関わるようなことは無いし、ケガもしない。
具体的には膀胱や大腸に触手を突き刺して吸い出したり、血管内に細い触手を突き刺して、血中の老廃物を吸い出したりする。
その為、被『捕食者』はリサの行動に恐怖を感じるものの、結果的には老廃物が吸い出されるだけなので、その後はとてもスッキリするのだという。
尚、リサにも拘りがあって、「体外に出た老廃物は汚らしいので、あくまでも体内にある物のみを吸い出す」というもの。
もちろん、体内だろうと体外だろうと本質的には変わらぬはずなのだが、そういう拘りがある。
また、触手を突き刺した時、リサは自分の遺伝子の一部を相手の体内に残す。
それは普段は何の害も無いが、もしもその者がリサに反抗的な態度を取って来ようものなら、その遺伝子を活性化させ、体調不良(膀胱なら頻尿、大腸なら下痢・便秘、血管なら【お察しください】)を任意で起こすことが可能。
因みに愛原には嫌われたくないので、愛原の血中コレステロールを吸い出した際には何もしていない。