[1月20日15:00.天候:不明 千葉県銚子市 旧アンブレラコーポレーション・ジャパン地下研究所]
アンブレラコーポレーション・インターナショナルが正式名称で、日本法人名がアンブレラコーポレーション・ジャパンなのだが、長いので『日本アンブレラ社』と呼んだり、『アンブレラ日本支部』と呼んだりと的を得ない。
彼らの名刺には実際何て書いてあったのだろう。
正規・非正規問わず、日本法人だけで何百人もの社員がいたはずだが、彼らはどこに行ったのやら。
斉藤社長が経営する全日本製薬(ゼンニチ)で再雇用しているのなら、是非とも彼らから話を聞きたいものだ。
高橋:「ダメですね。資料らしい物はさっぱり」
愛原:「やっぱり世の中そんなに甘くなかったか」
衣装部屋らしき部屋で、リサがかつて着ていた服と同じものが見つかった。
それはどこかの学校の制服のようなセーラー服であったが、リサに言わせれば、リサを含む彼女の仲間全員がまるで学校の制服のようにこれを着させられていたのだそうだ。
因みにリサのそれも未だに家に保管してある。
リサにとっては辛い研究所生活の嫌な思い出の服なので、2度と着たくないらしい。
だから、今通学している東京中央学園の制服がブレザーであることに安心しているわけだ。
高橋:「服だけ置いて行っても、何の証拠にもならないから放置したのでしょうか?」
愛原:「そうかもしれないな。いっそのこと、リサの仲間も捜してみるか?」
高橋:「それは危険ですよ。基本、あいつらは俺達の敵でしょう?あのリサだけが特別で」
愛原:「それもそうか」
彼女らはタイラントと同様、侵入者は即殺するようにインプットされている。
霧生市で会ったリサだけはある意味で暴走状態だったので、却って私達のことをただの侵入者と捉えず、違った意味で『遊び相手』のように思ったわけだ。
高橋:「仮にいたとしても、あのカプセルの中にいたと思います。もうここにはいないですよ」
愛原:「そうか。そいつは残念だ」
高橋:「それより早く脱出を……」
愛原:「待て。もう少し探してみよう」
高橋:「ええっ?」
愛原:「探偵というのはな、証拠集めに貪欲でないとダメなんだ。どこかに忘れられた物的証拠があるかもしれない」
高橋:「! メモっておきます!……でも、タイラントが……」
愛原:「分かった。じゃあ、お前は廊下で見張ってろ。どうせトロッコの乗り場は、あの先だ。タイラントがやってきたら、全力ダッシュで逃げるぞ」
高橋:「分かりました」
見取り図だけで分からない、『これ何の部屋?』的なところがあるんだよなぁ。
衣装部屋だって、ただの『倉庫』ってしか書いてなかったし。
クロゼットを開けると……うん、やっぱりここにリサの仲間がいたんだろうなぁというものがある。
それは10代前半の少女が着るであろう下着。
リサもこういうショーツをはいてるなぁというのが結構入っている。
最初はこんな所にあるわけないと思い、すぐにクロゼットを閉めたのだが、どうも怪しい。
いや、変な意味じゃないよ。
やはり、ここの研究所の関係者は慌てて出て行ったのだろうと思うところがある。
で、タイラントの服が衣装部屋にあるということは、それ用の下着も無いとおかしいんだ。
しかし、それは無く、恐らくリサの仲間の少女が着ていたと思われる下着だけが雑多にしまってある。
そう、雑多に。
他の服はちゃんとハンガーに掛けてあるのに、下着だけが雑多にしまわれていたのだ。
高橋:「先生!何か、向こうのドアがブチ破られる音がしました!」
愛原:「マジか!」
高橋:「……って、何やってるんスか、先生!」
愛原:「証拠探しに決まってんだろ!」
高橋:「見た目だけなら下着ドロですよ?」
愛原:「悪かったな!」
そして、私は見つけた。
白いショーツが何枚も重ねてしまわれている段の1番下に……。
愛原:「おい、これ!」
高橋:「あっ!」
それはUSBメモリー。
下着の中にわざわざ隠すようなことをしているくらいだから……。
愛原:「これ、いい証拠じゃないか!?」
高橋:「……かもしれませんね!」
中身を確認したいところだが、衣装部屋の外に出るとタイラントが向こう側から歩いて来るのが分かった。
愛原:「取りあえずこれだけ持って帰るぞ!」
高橋:「先生、パンツは置いてって下さいよ!?」
愛原:「おおっと!?」
私達がトロッコの乗り場に向かうドアに走った時だった。
愛原:「あれ!?……おい、開かないぞ!?」
高橋:「ええっ!?電子ロックは解除したはずじゃ!?」
愛原:「だよな!どうなってんだ、おい!?」
高橋:「ロックが途中で引っ掛かってますね、これ!」
愛原:「何だって!?」
高橋:「このボロドアが!ちょっと待ってください!今、バールで……!」
愛原:「そんなことしてる場合じゃない!一旦逃げるぞ!」
高橋:「クソがっ!!」
ムカついた高橋、ドアを思いっきり蹴っ飛ばす。
私達は一旦、タイラントから逃げる為にドアから離れた。
タイラントはあちこち破壊しながら私達を追い回す。
愛原:「メチャクチャだな、おい!」
〔緊急連絡!所内の自爆プログラムが作動しました。当研究所は、あと10分で爆発します。所内の関係者は、直ちに避難してください〕
今頃、自爆装置作動かよ!?
と、その時だった。
愛原:「!?」
私のスマホに着信が入った。
え?なに?ここ電波入るの?
画面を見ると、リサからだった。
そういえば中学校の入学祝に、スマホを持たせてあげたんだっけ。
もっとも、私達が使うものと違って随分とシンプルなヤツだが。
中学1年生に持たせるヤツだからな。
愛原:「も、もしもし!?」
リサ:「愛原さん、今どこにいるの?一緒に観光してくれないとつまんないよ〜」
ブーたれているリサが電話の向こうにいた。
で、私は閃いた。
愛原:「リサ!ちょうどいい!お願いがある!」
リサ:「お願い?」
愛原:「俺達、タイラントに追われてるんだ!俺達の追撃をやめるよう言い付けてくれたら助かる!」
リサ:「タイラント君が!?」
私はスマホをスピーカーモードにした。
〔「タイラント君!そこの2人を追うのをやめなさい!!」〕
タイラント:「!」
タイラントはピタッと足を止めた。
〔「元の場所に戻りなさい!」〕
タイラント:「御嬢……様……」
タイラントは目を丸くすると、クルッと踵を返した。
愛原:「おおっ、さすがだ!」
高橋:「とんでもないですね……」
〔爆発まで、あと6分……〕
愛原:「感心してる場合じゃない!早く行くぞ!」
高橋:「はい!」
愛原:「リサ、ありがとう!もうちょっとで仕事終わるから!!」
リサ:「……一体、どこでお仕事してるの?」
次の問題はトロッコ乗り場に行くドアが開かないことだ。
だが……。
高橋:「あれ?開いてる?」
愛原:「マジか!やったやった。……あれか?さっきお前、思いっ切りガンッて蹴っ飛ばしただろ?」
高橋:「は、はい」
愛原:「そのショックで開いたんじゃないか?」
高橋:「おおっ!」
〔爆発まで、あと5分〕
愛原:「急ぐぞ!」
高橋:「はい!」
私達はトロッコの乗り場へ急いだ。
アンブレラコーポレーション・インターナショナルが正式名称で、日本法人名がアンブレラコーポレーション・ジャパンなのだが、長いので『日本アンブレラ社』と呼んだり、『アンブレラ日本支部』と呼んだりと的を得ない。
彼らの名刺には実際何て書いてあったのだろう。
正規・非正規問わず、日本法人だけで何百人もの社員がいたはずだが、彼らはどこに行ったのやら。
斉藤社長が経営する全日本製薬(ゼンニチ)で再雇用しているのなら、是非とも彼らから話を聞きたいものだ。
高橋:「ダメですね。資料らしい物はさっぱり」
愛原:「やっぱり世の中そんなに甘くなかったか」
衣装部屋らしき部屋で、リサがかつて着ていた服と同じものが見つかった。
それはどこかの学校の制服のようなセーラー服であったが、リサに言わせれば、リサを含む彼女の仲間全員がまるで学校の制服のようにこれを着させられていたのだそうだ。
因みにリサのそれも未だに家に保管してある。
リサにとっては辛い研究所生活の嫌な思い出の服なので、2度と着たくないらしい。
だから、今通学している東京中央学園の制服がブレザーであることに安心しているわけだ。
高橋:「服だけ置いて行っても、何の証拠にもならないから放置したのでしょうか?」
愛原:「そうかもしれないな。いっそのこと、リサの仲間も捜してみるか?」
高橋:「それは危険ですよ。基本、あいつらは俺達の敵でしょう?あのリサだけが特別で」
愛原:「それもそうか」
彼女らはタイラントと同様、侵入者は即殺するようにインプットされている。
霧生市で会ったリサだけはある意味で暴走状態だったので、却って私達のことをただの侵入者と捉えず、違った意味で『遊び相手』のように思ったわけだ。
高橋:「仮にいたとしても、あのカプセルの中にいたと思います。もうここにはいないですよ」
愛原:「そうか。そいつは残念だ」
高橋:「それより早く脱出を……」
愛原:「待て。もう少し探してみよう」
高橋:「ええっ?」
愛原:「探偵というのはな、証拠集めに貪欲でないとダメなんだ。どこかに忘れられた物的証拠があるかもしれない」
高橋:「! メモっておきます!……でも、タイラントが……」
愛原:「分かった。じゃあ、お前は廊下で見張ってろ。どうせトロッコの乗り場は、あの先だ。タイラントがやってきたら、全力ダッシュで逃げるぞ」
高橋:「分かりました」
見取り図だけで分からない、『これ何の部屋?』的なところがあるんだよなぁ。
衣装部屋だって、ただの『倉庫』ってしか書いてなかったし。
クロゼットを開けると……うん、やっぱりここにリサの仲間がいたんだろうなぁというものがある。
それは10代前半の少女が着るであろう下着。
リサもこういうショーツをはいてるなぁというのが結構入っている。
最初はこんな所にあるわけないと思い、すぐにクロゼットを閉めたのだが、どうも怪しい。
いや、変な意味じゃないよ。
やはり、ここの研究所の関係者は慌てて出て行ったのだろうと思うところがある。
で、タイラントの服が衣装部屋にあるということは、それ用の下着も無いとおかしいんだ。
しかし、それは無く、恐らくリサの仲間の少女が着ていたと思われる下着だけが雑多にしまってある。
そう、雑多に。
他の服はちゃんとハンガーに掛けてあるのに、下着だけが雑多にしまわれていたのだ。
高橋:「先生!何か、向こうのドアがブチ破られる音がしました!」
愛原:「マジか!」
高橋:「……って、何やってるんスか、先生!」
愛原:「証拠探しに決まってんだろ!」
高橋:「見た目だけなら下着ドロですよ?」
愛原:「悪かったな!」
そして、私は見つけた。
白いショーツが何枚も重ねてしまわれている段の1番下に……。
愛原:「おい、これ!」
高橋:「あっ!」
それはUSBメモリー。
下着の中にわざわざ隠すようなことをしているくらいだから……。
愛原:「これ、いい証拠じゃないか!?」
高橋:「……かもしれませんね!」
中身を確認したいところだが、衣装部屋の外に出るとタイラントが向こう側から歩いて来るのが分かった。
愛原:「取りあえずこれだけ持って帰るぞ!」
高橋:「先生、パンツは置いてって下さいよ!?」
愛原:「おおっと!?」
私達がトロッコの乗り場に向かうドアに走った時だった。
愛原:「あれ!?……おい、開かないぞ!?」
高橋:「ええっ!?電子ロックは解除したはずじゃ!?」
愛原:「だよな!どうなってんだ、おい!?」
高橋:「ロックが途中で引っ掛かってますね、これ!」
愛原:「何だって!?」
高橋:「このボロドアが!ちょっと待ってください!今、バールで……!」
愛原:「そんなことしてる場合じゃない!一旦逃げるぞ!」
高橋:「クソがっ!!」
ムカついた高橋、ドアを思いっきり蹴っ飛ばす。
私達は一旦、タイラントから逃げる為にドアから離れた。
タイラントはあちこち破壊しながら私達を追い回す。
愛原:「メチャクチャだな、おい!」
〔緊急連絡!所内の自爆プログラムが作動しました。当研究所は、あと10分で爆発します。所内の関係者は、直ちに避難してください〕
今頃、自爆装置作動かよ!?
と、その時だった。
愛原:「!?」
私のスマホに着信が入った。
え?なに?ここ電波入るの?
画面を見ると、リサからだった。
そういえば中学校の入学祝に、スマホを持たせてあげたんだっけ。
もっとも、私達が使うものと違って随分とシンプルなヤツだが。
中学1年生に持たせるヤツだからな。
愛原:「も、もしもし!?」
リサ:「愛原さん、今どこにいるの?一緒に観光してくれないとつまんないよ〜」
ブーたれているリサが電話の向こうにいた。
で、私は閃いた。
愛原:「リサ!ちょうどいい!お願いがある!」
リサ:「お願い?」
愛原:「俺達、タイラントに追われてるんだ!俺達の追撃をやめるよう言い付けてくれたら助かる!」
リサ:「タイラント君が!?」
私はスマホをスピーカーモードにした。
〔「タイラント君!そこの2人を追うのをやめなさい!!」〕
タイラント:「!」
タイラントはピタッと足を止めた。
〔「元の場所に戻りなさい!」〕
タイラント:「御嬢……様……」
タイラントは目を丸くすると、クルッと踵を返した。
愛原:「おおっ、さすがだ!」
高橋:「とんでもないですね……」
〔爆発まで、あと6分……〕
愛原:「感心してる場合じゃない!早く行くぞ!」
高橋:「はい!」
愛原:「リサ、ありがとう!もうちょっとで仕事終わるから!!」
リサ:「……一体、どこでお仕事してるの?」
次の問題はトロッコ乗り場に行くドアが開かないことだ。
だが……。
高橋:「あれ?開いてる?」
愛原:「マジか!やったやった。……あれか?さっきお前、思いっ切りガンッて蹴っ飛ばしただろ?」
高橋:「は、はい」
愛原:「そのショックで開いたんじゃないか?」
高橋:「おおっ!」
〔爆発まで、あと5分〕
愛原:「急ぐぞ!」
高橋:「はい!」
私達はトロッコの乗り場へ急いだ。
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