[7月9日07:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
しかしながら、ここ7ヶ月ほどの記憶が無い。
目覚まし時計が鳴って、私は起床した。
……うん、ちゃんと昨日の記憶はある。
昨日は飲んだくれているところを、私の弟子を自負する高橋君に保護されたんだったけな。
私は起き上がって、寝室から出た。
因みに、住んでいる所まで変わってしまった。
それもそのはず。
私は爆弾テロされた旧・事務所の一角を、そのまま居住区にしていたのだから。
高橋:「おはようございます、先生」
愛原:「あ、ああ。おはよう」
高橋は私の家に住み込みで働いている。
何でも、私を一流の探偵ということで、その一挙手一投足から勉強したいのだそうだ。
その代わり、私の身の周りのことは何でもしてくれるとのこと。
高橋:「もうすぐ朝飯できますんで、もう少しお待ちください」
愛原:「分かった。ちょっと、顔洗って来る」
高橋:「はい!」
10代の頃は暴走族だか半グレ集団だか知らないが、そういう荒れた生活していた割には、やたら生活能力は強い。
本人曰く、『少年院や少年刑務所で習いました』とのことだが、本当だろうか。
今だって、手際良く朝食を作ってくれている。
〔「……次のニュースです。今年元日に太平洋沖に沈んだ豪華客船“顕正号”沈没事故ですが、その後の調査で特異ウィルスによるバイオハザードが船内で発生していたと国連組織BSAAが明らかにしました。BSAA極東支部の会見では……」〕
高橋:「チッ!」
高橋は舌打ちをすると、テレビのチャンネルを替えた。
愛原:「どうした?」
高橋:「あ、いえ。何でもありません」
私は顔を洗って来ると、ダイニングに戻った。
それにしても、このマンションも広いな。
これも探偵協会が用意してくれたということだが、何だか出来過ぎている。
どういうつもりなのか、協会に行って聞いて来る必要があるかもしれないな。
だがその前に事務所に寄って……あ、病院に行かなきゃいけないんだっけ。
昨夜、高野君に強く言われたしなぁ……。
[同日08:00.天候:晴 同地区 愛原の事務所]
私達の住むマンションと事務所は、徒歩数分の御近所さんだ。
高橋:「先生、病院に行かれるんじゃないんですか?」
愛原:「ああ。だけどその前に、少しでもこの半年間のブランクを埋めておきたい。まずはメールからだ」
私は事務所に入った。
まだ、高野君は来ていなかった。
高野君は事務員であり、基本的に私や高橋君と行動することはない。
愛原:「ん!?」
その時、事務所の電話が鳴った。
高橋:「はい、愛原学探偵事務所です。……ボス!」
ん?ボスだと?
高橋:「……あ、はい。何の御用でしょうか?……分かりました。少々お待ちください」
高橋は電話の受話器を私に渡した。
愛原:「もしもし。お電話代わりました。愛原です」
ボス:「私だ。高野君から聞いたよ。ようやく、事務所に戻ってきてくれたみたいだね?」
愛原:「あ、こりゃどうも……。何ともはや……」
ボスの正体については、未だに分からない。
私が事務所を開設した時に『探偵協会の者だ』と名乗り、ボスの指示に従って動けば、事務所経営を安泰にしてくれるという。
実際にクライアントを紹介してくれたりして、確かにその通りであったのだが……。
探偵の仕事ってこんなんだったっけ?と、未だに疑問符を取り払えないのだ。
ボス:「まあいい。記憶障害は残っているようだが、それ以外は特に問題は無さそうだね」
愛原:「は、はい。今のところは……」
ボス:「ところで、今日のニュースを見たかね?」
愛原:「いえ、それはまだ……」
ボス:「探偵たるもの、常に周囲の情報には敏感でなければならんぞ。今朝の朝刊でも買って読みたまえ。それと病院の方には協会の方からも話しておくから、ちゃんと行くのだぞ?」
愛原:「り、了解しました!」
私は電話を切った。
愛原:「高橋君。俺は病院に行ってくる」
高橋:「お供します!」
言うと思った。
愛原:「……俺の病院どこだっけ?」
高橋:「俺がチームの者に言って、車回させますよ」
愛原:「いや、いいよ!キミの仲間をタクシー代わりに使うな!」
高橋:「大丈夫です。皆、先生に心酔してますんで」
愛原:「俺、何かした?」
高橋:「バイオハザードを2回も生き抜いたってことで、先生はちょっとした有名人ですよ」
愛原:「1回目……霧生市のバイオハザードはもちろん記憶にあるが、2回目の沈没船については全く記憶が無いんだって」
高橋は私が止める間も無く、チームメイト(?)にLINEを送っていた。
そして……。
手下A:「高橋さん、おはざーっス!」
手下B:「お迎えに参上っス!」
高橋:「遅ェぞ!5分以内に来いっつったろ!45秒遅刻だ……!」
ギロリと高橋は年下の2人を睨みつけた。
愛原:「高橋君、いいから!やめなさい!」
高橋:「先生がそう仰るのでしたら……」
私は再び走り屋仕様のチェイサーに乗ることとなった。
[同日08:20.天候:晴 都内の道路]
渋滞する都内の道路をすり抜けたり、時には空いている逆方向の道を走ったりしている。
車内にはヘビメタのロックが掛かっている。
手下B:「高橋さん、やりましたよ。山口のヤツ、ついに見つけたらしいっス!」
高橋:「マジか!?」
愛原:「何が?」
高橋:「あ……えーと……!先生の前だ。黙ってろ」
手下B:「さ、サーセン」
手下A:「でも高橋さん、どうせ先生にも後で話すんでしょう?ざっくりとだけでも言ってみたらどうっスか?」
愛原:「まあ、確かに気になるね」
高橋:「アレですよ。昨夜話した、白い仮面のクソガキのことです」
愛原:「あれでしょ?リサ・トレヴァーのことでしょ?」
もちろん、昔アメリカに現れたというアレとはまた違う。
ただ、日本でも似たような実験は行われていて、その実験体たる彼女のことだ。
霧生市のバイオハザードの後、政府に保護されたということだが……。
高橋:「ええ。霧生市のアイツです」
愛原:「それがどうして、俺達の敵なんだ?」
高橋:「話せば長くなります。後でお話します」
愛原:「……分かった」
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
しかしながら、ここ7ヶ月ほどの記憶が無い。
目覚まし時計が鳴って、私は起床した。
……うん、ちゃんと昨日の記憶はある。
昨日は飲んだくれているところを、私の弟子を自負する高橋君に保護されたんだったけな。
私は起き上がって、寝室から出た。
因みに、住んでいる所まで変わってしまった。
それもそのはず。
私は爆弾テロされた旧・事務所の一角を、そのまま居住区にしていたのだから。
高橋:「おはようございます、先生」
愛原:「あ、ああ。おはよう」
高橋は私の家に住み込みで働いている。
何でも、私を一流の探偵ということで、その一挙手一投足から勉強したいのだそうだ。
その代わり、私の身の周りのことは何でもしてくれるとのこと。
高橋:「もうすぐ朝飯できますんで、もう少しお待ちください」
愛原:「分かった。ちょっと、顔洗って来る」
高橋:「はい!」
10代の頃は暴走族だか半グレ集団だか知らないが、そういう荒れた生活していた割には、やたら生活能力は強い。
本人曰く、『少年院や少年刑務所で習いました』とのことだが、本当だろうか。
今だって、手際良く朝食を作ってくれている。
〔「……次のニュースです。今年元日に太平洋沖に沈んだ豪華客船“顕正号”沈没事故ですが、その後の調査で特異ウィルスによるバイオハザードが船内で発生していたと国連組織BSAAが明らかにしました。BSAA極東支部の会見では……」〕
高橋:「チッ!」
高橋は舌打ちをすると、テレビのチャンネルを替えた。
愛原:「どうした?」
高橋:「あ、いえ。何でもありません」
私は顔を洗って来ると、ダイニングに戻った。
それにしても、このマンションも広いな。
これも探偵協会が用意してくれたということだが、何だか出来過ぎている。
どういうつもりなのか、協会に行って聞いて来る必要があるかもしれないな。
だがその前に事務所に寄って……あ、病院に行かなきゃいけないんだっけ。
昨夜、高野君に強く言われたしなぁ……。
[同日08:00.天候:晴 同地区 愛原の事務所]
私達の住むマンションと事務所は、徒歩数分の御近所さんだ。
高橋:「先生、病院に行かれるんじゃないんですか?」
愛原:「ああ。だけどその前に、少しでもこの半年間のブランクを埋めておきたい。まずはメールからだ」
私は事務所に入った。
まだ、高野君は来ていなかった。
高野君は事務員であり、基本的に私や高橋君と行動することはない。
愛原:「ん!?」
その時、事務所の電話が鳴った。
高橋:「はい、愛原学探偵事務所です。……ボス!」
ん?ボスだと?
高橋:「……あ、はい。何の御用でしょうか?……分かりました。少々お待ちください」
高橋は電話の受話器を私に渡した。
愛原:「もしもし。お電話代わりました。愛原です」
ボス:「私だ。高野君から聞いたよ。ようやく、事務所に戻ってきてくれたみたいだね?」
愛原:「あ、こりゃどうも……。何ともはや……」
ボスの正体については、未だに分からない。
私が事務所を開設した時に『探偵協会の者だ』と名乗り、ボスの指示に従って動けば、事務所経営を安泰にしてくれるという。
実際にクライアントを紹介してくれたりして、確かにその通りであったのだが……。
探偵の仕事ってこんなんだったっけ?と、未だに疑問符を取り払えないのだ。
ボス:「まあいい。記憶障害は残っているようだが、それ以外は特に問題は無さそうだね」
愛原:「は、はい。今のところは……」
ボス:「ところで、今日のニュースを見たかね?」
愛原:「いえ、それはまだ……」
ボス:「探偵たるもの、常に周囲の情報には敏感でなければならんぞ。今朝の朝刊でも買って読みたまえ。それと病院の方には協会の方からも話しておくから、ちゃんと行くのだぞ?」
愛原:「り、了解しました!」
私は電話を切った。
愛原:「高橋君。俺は病院に行ってくる」
高橋:「お供します!」
言うと思った。
愛原:「……俺の病院どこだっけ?」
高橋:「俺がチームの者に言って、車回させますよ」
愛原:「いや、いいよ!キミの仲間をタクシー代わりに使うな!」
高橋:「大丈夫です。皆、先生に心酔してますんで」
愛原:「俺、何かした?」
高橋:「バイオハザードを2回も生き抜いたってことで、先生はちょっとした有名人ですよ」
愛原:「1回目……霧生市のバイオハザードはもちろん記憶にあるが、2回目の沈没船については全く記憶が無いんだって」
高橋は私が止める間も無く、チームメイト(?)にLINEを送っていた。
そして……。
手下A:「高橋さん、おはざーっス!」
手下B:「お迎えに参上っス!」
高橋:「遅ェぞ!5分以内に来いっつったろ!45秒遅刻だ……!」
ギロリと高橋は年下の2人を睨みつけた。
愛原:「高橋君、いいから!やめなさい!」
高橋:「先生がそう仰るのでしたら……」
私は再び走り屋仕様のチェイサーに乗ることとなった。
[同日08:20.天候:晴 都内の道路]
渋滞する都内の道路をすり抜けたり、時には空いている逆方向の道を走ったりしている。
車内にはヘビメタのロックが掛かっている。
手下B:「高橋さん、やりましたよ。山口のヤツ、ついに見つけたらしいっス!」
高橋:「マジか!?」
愛原:「何が?」
高橋:「あ……えーと……!先生の前だ。黙ってろ」
手下B:「さ、サーセン」
手下A:「でも高橋さん、どうせ先生にも後で話すんでしょう?ざっくりとだけでも言ってみたらどうっスか?」
愛原:「まあ、確かに気になるね」
高橋:「アレですよ。昨夜話した、白い仮面のクソガキのことです」
愛原:「あれでしょ?リサ・トレヴァーのことでしょ?」
もちろん、昔アメリカに現れたというアレとはまた違う。
ただ、日本でも似たような実験は行われていて、その実験体たる彼女のことだ。
霧生市のバイオハザードの後、政府に保護されたということだが……。
高橋:「ええ。霧生市のアイツです」
愛原:「それがどうして、俺達の敵なんだ?」
高橋:「話せば長くなります。後でお話します」
愛原:「……分かった」
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます