[12月28日09:00.天候:晴 長野県北部某所 マリアの屋敷]
イリーナ:「出発前に、部屋をきれいにしてからにしましょうね」
稲生:「分かりました」
マリア:「人形達がやってくれますよ?」
イリーナ:「たまには自分でやりなさい」
マリア:「ちっ……」
稲生:「ははは……」
稲生は自分の部屋に戻った。
稲生:「ダニエラさん、掃除機貸して」
ダニエラ:「ダイソンの吸引力の変わらない掃除機と、ダイマオンの吸ったゴミを魔界のどこかへ送る魔法の掃除機とどちらになさいますか?」
稲生:「何ですか、ダイマオンって!?大魔王のもじりですか!?普通のでいいですから!」
ダニエラ:「かしこまりました……」
それでも稲生の場合、そんなに部屋に物は置いていない。
掃除機で埃を吸い取ったり、バスルームを掃除するだけで終わった。
稲生:「うーん……こんなものかな?ダニエラさんがいつも掃除してくれてるから楽ですよ」
稲生は机の上を拭いた。
その後で水晶球を見る。
稲生:「マリアさん達はまだやってるのか……。そうだ。僕は他の部屋を掃除してこよう」
稲生は部屋の外に出た。
稲生:「僕の部屋だけ鍵が別だけど、他の鍵はそのエリアの担当メイドが持ってるんだよね?」
ダニエラ:「さようでございます……」
稲生:「このエリアの鍵は剣の鍵か」
要はタグに剣の絵が描いてある鍵のことである。
稲生:「ダニエラさんが持っていたりしない?」
ダニエラ:「…………」(←ニヤリと笑って、エプロンのポケットから剣の鍵を取り出す)
稲生:「ありがとう」
稲生が住んでいる部屋はゲストルームのうちの1つである。
要は剣の鍵というのは、このゲストルームの鍵のことなのである。
稲生の部屋だけ鍵を変えてもらい、それは矢の鍵となった。
弓の鍵はマリアの部屋の鍵である。
因みに、VIPルームだけは鍵で開かず、魔法でないと開けられない。
先日はダンテが宿泊したが、それ以外の日はイリーナが使っている。
そのイリーナもこの屋敷に常駐しているわけではないので、空室であることが多い。
[同日11:00.天候:晴 マリアの屋敷2F東側]
稲生:「いやあ、全部の部屋を掃除すると、さすがにいい運動になるねぇ……。ダニエラさん、次は西側に行こう。向こうの鍵は誰が持ってるの?」
ダニエラ:「稲生様……恐れ入りますが、稲生様はもうこの辺でよろしいかと……」
稲生:「え?どうして?」
ダニエラ:「イリーナ様は『自分の部屋を掃除せよ』と仰せでした。稲生様は既にそれを達成しておられ、且つ周辺の部屋も掃除しておられます。もう十分なのではないかと……」
稲生:「いや、そんなことは無いよ」
ダニエラ:「それに……本日の食事当番は私ですので、そろそろ昼食の準備をしなくてはなりません」
稲生:「そうか。分かったよ。それじゃ、僕は鍵の開いている部屋を掃除することにしよう」
稲生は西側の2Fエリアに向かった。
夜になれば……昼であっても不慣れだと不気味なホラー屋敷。
さすがは魔女が居住しているだけのことはある。
稲生:「えーと、ここは渉外室だな。普段使ってないだけに、埃っぽいや」
何故か壁に、暴対法の条文が書かれた紙が貼られている。
企業ゴロが現れた時に通す、特別な応接室のようだ。
稲生:「えーと、この部屋の注意点は……。奥の控室の壁に掛かっているショットガンを取らないように、か……」
稲生は手帳を見ながら、部屋のトラップに引っ掛からないようにした。
この屋敷自体がダンジョンである為、謎解きの書かれたメモを手帳に書きつけていた。
稲生:「ショットガンを取ると、天井が実は吊り天井になっていて、ドアがロックされ、落ちてくる天井に押し潰されてバッドエンド直行か……。凄い仕掛けだな」
あまり余計な物が置かれていない為、稲生は掃除機を掛けて埃を吸い出したり、テーブルの上を拭くだけで良かった。
渉外室の掃除はすぐに終わる。
今度は別の部屋に向かった。
モンスターA:「我を見た者……殺す……!」
稲生:「僕だよ!部屋の掃除に来ただけだ!」
屋敷内を警備しているのはメイド人形だけではない。
イリーナが魔界から連れて来た番犬もいたりする。
もちろん、丸腰では即死エンドとなる。
モンスター:「ちっ……」
稲生:「ちって何だよ、ちって!」
また、ある部屋では……。
モンスターB:「ガウウウッ!!」
稲生:「ちょっと待った!部屋の掃除に来ただけだから!」
大きな口を開けて稲生に飛び掛かって来る猛獣モンスターがいたが、稲生は木の棒で口の中につっかえ棒をした。
モンスターB:「あがががががが!?」(←口を開けた状態でつっかえ棒がされて、口を閉じれない)
稲生:「多分この屋敷……ステージ1辺りに持って来られそうな雰囲気なんだけど、いきなりハードモードな造りとトラップだもんなぁ……」
更に別の部屋では……。
稲生:「えーと、なに?ドアを開けるのに数字を『58』にしないといけない?キハ58系かよ」
ダイヤルを左に回したり、右に回したり……。
稲生:「ゲームと同じで、何とかなる精神でやってますw」
ピーン♪ガチャ……。
稲生:「よし、開いた」
[同日12:00.天候:晴 マリアの屋敷1F西側 大食堂]
イリーナ:「そろそろお昼にしましょう。お?今日のお昼はパスタね。おーい、ユウタ君!あなたのはミートソースだお!」
イリーナはボンゴレ、マリアはペペロンチーノという細かさ。
イリーナ:「あれ?ユウタ君、部屋にいないの?」
マリア:「他の部屋を掃除しているらしいです。……まさか、トラップに引っ掛かって!?」
イリーナ:「うそ……!?大至急、各部屋を捜索して!」
イリーナがメイド人形達に命令を出した直後だった。
大食堂の床は、白とグレーのチェック柄タイルが敷かれている。
マリアの座っている椅子のすぐ前のタイルが持ち上げられて……。
稲生:「やっと出られた!さすが地下室は難易度が高……あれ!?」
稲生がタイルの中から出てきた時、目の前にはマリアの下半身があった。
マリア:「!!!」
マリア、慌ててパッとスカートを押さえた。
稲生:「うあっ!?」
テーブルの中から這い出てくる稲生。
イリーナ:「お帰り。ご苦労さんだったね」
稲生:「まだ2階の一部と地下室の一部しか掃除できてません。盾の鍵が見つからなくて……」
イリーナ:「ゴメーン。アタシが持ってた。てへてへw」
稲生:「なーんだ、勘弁してくださいよ、先生」
イリーナ:「ま、御褒美はさっき見たマリアのパンツでいいでしょ。早いとこ食べよう」
マリア:「……!!」
稲生:「いや、マリアさん、僕見てませんから!」
マリア:「大掃除はもう終了でいいですよね、師匠?」
こめかみに怒筋を浮かべるマリアだった。
イリーナ:「そ、そうね。後は人形達に任せましょう」
昼食が喉を通りにくい3人だった。
住人の稲生ですら脱出困難な屋敷ということが露呈されてしまった。
もしこれが侵入者だったとしたら、盾の鍵を手に入れるのにイリーナを倒さなければならないという、ベリーハードという言葉ですら手ぬるい難易度だったわけである。
イリーナ:「出発前に、部屋をきれいにしてからにしましょうね」
稲生:「分かりました」
マリア:「人形達がやってくれますよ?」
イリーナ:「たまには自分でやりなさい」
マリア:「ちっ……」
稲生:「ははは……」
稲生は自分の部屋に戻った。
稲生:「ダニエラさん、掃除機貸して」
ダニエラ:「ダイソンの吸引力の変わらない掃除機と、ダイマオンの吸ったゴミを魔界のどこかへ送る魔法の掃除機とどちらになさいますか?」
稲生:「何ですか、ダイマオンって!?大魔王のもじりですか!?普通のでいいですから!」
ダニエラ:「かしこまりました……」
それでも稲生の場合、そんなに部屋に物は置いていない。
掃除機で埃を吸い取ったり、バスルームを掃除するだけで終わった。
稲生:「うーん……こんなものかな?ダニエラさんがいつも掃除してくれてるから楽ですよ」
稲生は机の上を拭いた。
その後で水晶球を見る。
稲生:「マリアさん達はまだやってるのか……。そうだ。僕は他の部屋を掃除してこよう」
稲生は部屋の外に出た。
稲生:「僕の部屋だけ鍵が別だけど、他の鍵はそのエリアの担当メイドが持ってるんだよね?」
ダニエラ:「さようでございます……」
稲生:「このエリアの鍵は剣の鍵か」
要はタグに剣の絵が描いてある鍵のことである。
稲生:「ダニエラさんが持っていたりしない?」
ダニエラ:「…………」(←ニヤリと笑って、エプロンのポケットから剣の鍵を取り出す)
稲生:「ありがとう」
稲生が住んでいる部屋はゲストルームのうちの1つである。
要は剣の鍵というのは、このゲストルームの鍵のことなのである。
稲生の部屋だけ鍵を変えてもらい、それは矢の鍵となった。
弓の鍵はマリアの部屋の鍵である。
因みに、VIPルームだけは鍵で開かず、魔法でないと開けられない。
先日はダンテが宿泊したが、それ以外の日はイリーナが使っている。
そのイリーナもこの屋敷に常駐しているわけではないので、空室であることが多い。
[同日11:00.天候:晴 マリアの屋敷2F東側]
稲生:「いやあ、全部の部屋を掃除すると、さすがにいい運動になるねぇ……。ダニエラさん、次は西側に行こう。向こうの鍵は誰が持ってるの?」
ダニエラ:「稲生様……恐れ入りますが、稲生様はもうこの辺でよろしいかと……」
稲生:「え?どうして?」
ダニエラ:「イリーナ様は『自分の部屋を掃除せよ』と仰せでした。稲生様は既にそれを達成しておられ、且つ周辺の部屋も掃除しておられます。もう十分なのではないかと……」
稲生:「いや、そんなことは無いよ」
ダニエラ:「それに……本日の食事当番は私ですので、そろそろ昼食の準備をしなくてはなりません」
稲生:「そうか。分かったよ。それじゃ、僕は鍵の開いている部屋を掃除することにしよう」
稲生は西側の2Fエリアに向かった。
夜になれば……昼であっても不慣れだと不気味なホラー屋敷。
さすがは魔女が居住しているだけのことはある。
稲生:「えーと、ここは渉外室だな。普段使ってないだけに、埃っぽいや」
何故か壁に、暴対法の条文が書かれた紙が貼られている。
企業ゴロが現れた時に通す、特別な応接室のようだ。
稲生:「えーと、この部屋の注意点は……。奥の控室の壁に掛かっているショットガンを取らないように、か……」
稲生は手帳を見ながら、部屋のトラップに引っ掛からないようにした。
この屋敷自体がダンジョンである為、謎解きの書かれたメモを手帳に書きつけていた。
稲生:「ショットガンを取ると、天井が実は吊り天井になっていて、ドアがロックされ、落ちてくる天井に押し潰されてバッドエンド直行か……。凄い仕掛けだな」
あまり余計な物が置かれていない為、稲生は掃除機を掛けて埃を吸い出したり、テーブルの上を拭くだけで良かった。
渉外室の掃除はすぐに終わる。
今度は別の部屋に向かった。
モンスターA:「我を見た者……殺す……!」
稲生:「僕だよ!部屋の掃除に来ただけだ!」
屋敷内を警備しているのはメイド人形だけではない。
イリーナが魔界から連れて来た番犬もいたりする。
もちろん、丸腰では即死エンドとなる。
モンスター:「ちっ……」
稲生:「ちって何だよ、ちって!」
また、ある部屋では……。
モンスターB:「ガウウウッ!!」
稲生:「ちょっと待った!部屋の掃除に来ただけだから!」
大きな口を開けて稲生に飛び掛かって来る猛獣モンスターがいたが、稲生は木の棒で口の中につっかえ棒をした。
モンスターB:「あがががががが!?」(←口を開けた状態でつっかえ棒がされて、口を閉じれない)
稲生:「多分この屋敷……ステージ1辺りに持って来られそうな雰囲気なんだけど、いきなりハードモードな造りとトラップだもんなぁ……」
更に別の部屋では……。
稲生:「えーと、なに?ドアを開けるのに数字を『58』にしないといけない?キハ58系かよ」
ダイヤルを左に回したり、右に回したり……。
稲生:「ゲームと同じで、何とかなる精神でやってますw」
ピーン♪ガチャ……。
稲生:「よし、開いた」
[同日12:00.天候:晴 マリアの屋敷1F西側 大食堂]
イリーナ:「そろそろお昼にしましょう。お?今日のお昼はパスタね。おーい、ユウタ君!あなたのはミートソースだお!」
イリーナはボンゴレ、マリアはペペロンチーノという細かさ。
イリーナ:「あれ?ユウタ君、部屋にいないの?」
マリア:「他の部屋を掃除しているらしいです。……まさか、トラップに引っ掛かって!?」
イリーナ:「うそ……!?大至急、各部屋を捜索して!」
イリーナがメイド人形達に命令を出した直後だった。
大食堂の床は、白とグレーのチェック柄タイルが敷かれている。
マリアの座っている椅子のすぐ前のタイルが持ち上げられて……。
稲生:「やっと出られた!さすが地下室は難易度が高……あれ!?」
稲生がタイルの中から出てきた時、目の前にはマリアの下半身があった。
マリア:「!!!」
マリア、慌ててパッとスカートを押さえた。
稲生:「うあっ!?」
テーブルの中から這い出てくる稲生。
イリーナ:「お帰り。ご苦労さんだったね」
稲生:「まだ2階の一部と地下室の一部しか掃除できてません。盾の鍵が見つからなくて……」
イリーナ:「ゴメーン。アタシが持ってた。てへてへw」
稲生:「なーんだ、勘弁してくださいよ、先生」
イリーナ:「ま、御褒美はさっき見たマリアのパンツでいいでしょ。早いとこ食べよう」
マリア:「……!!」
稲生:「いや、マリアさん、僕見てませんから!」
マリア:「大掃除はもう終了でいいですよね、師匠?」
こめかみに怒筋を浮かべるマリアだった。
イリーナ:「そ、そうね。後は人形達に任せましょう」
昼食が喉を通りにくい3人だった。
住人の稲生ですら脱出困難な屋敷ということが露呈されてしまった。
もしこれが侵入者だったとしたら、盾の鍵を手に入れるのにイリーナを倒さなければならないという、ベリーハードという言葉ですら手ぬるい難易度だったわけである。
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