近頃30年ぶりめいていますが、一昨日リイシューされたこの二枚が発表されたのも高校生の頃。
戦争と平和、黒人と白人、世界の矛盾と対立を象徴するような二枚。
Paul McCartney: From the Archive ? Ebony and Ivory
レヴィ=ストロースやサルトルではありませんが、
ピアノがなかなか上達しなくても、音楽について学ぶこと自体が意義深いことのように思えます。
(ピアノを弾く哲学者)
ポールとスティービーは、ピアノの黒鍵と白鍵に、人類の調和を喩えたが、
実はハーモニーを生み出そうとすると、黒鍵と白鍵の関係には強いストレス(圧力)がかかる。
1オクターブは12の半音から成るというのは、かなり昔から多くの民族が知っていたらしいが、
短調の元になる短音階というのは音階の「3番目の音」をフラット(低く)させたもの。
真ん中で一番明るくハモっている3番目の音(ドミソのミの音)にグッとストレス(圧力)をかけて低くするので、かなり暗い響きになる。
自然な響きの長音階の中の音を、圧力をかけて低くチューニングしただけだというのに
人はなぜか情緒的な反応をして、短音階に、哀しみや寂しさを感じてしまう。
ちなみに、図の一番右のコードは、
減5度(ディミニッシュ5度)なのだから、Cm♭5なんて難しく呼び方をするまでもなく、これはCdimではないのかと思ったが、違っていた。
ディミニッシュコードは、マイナーコードの5度の上に、さらに短3度を乗せたものらしい。
大切なのはドミソ(C)、とファラド(F)と、ソシレ(G)のスリーコード。
ドレミの音使いの全てを常に「ひとまとまり」として感じていたいというのが、人間の本能らしい。
(スリーコードで作った歌がキャッチ―なのは、「ドレミファソラシド」の全ての音階を聞くと人は満足するから。)
エロスにも似た欠けに対する情理、
一刻も早く、全ての音に満たされたいと願う心の不思議。
しかし、ドレミの外の世界に踏み出すことで新しい感覚が得られるということも。
コード音の重ね方をボイシングと呼ぶのだが、これは初学者の私には目からウロコだった。
以前、Gm ⇒ F と弾く時に
「 B♭・D・A 」を押さえてから、Gm (B♭・D・G)を弾き、
「G・C・G」を押さえてから、F (G・C・F)と弾くというアイデアがどこから出てくるのか不思議に思っていたが、
一つ上の音を弾いてから戻るというのは、ロックの常套手段だったのだ。
( シングル・ピジョン (♯コード弾き))
( ↓ ) sus4というコード。3度の音の代わりに4度を弾いてから3度に戻って解決する。
3度の音にストレスを与えてマイナーコードが出来るように、メインで響く3度の音に働きかけることは大きな変化を生むのだ。
スリーコードだけでは生まれない響き。
(ギターで弾くと、sus4は、手首をちょっとひねったり、小指を乗せたりするだけで簡単に作れるから、という側面もあるらしい。)
( ↓ ) どうやってコードの転回形を選択していくのか、どうやって弾く音をチョイスしていくのか、
分かりやすいルールを求めていたのですが、そんなものはないということを教えてくれました。
" 転回形のどれが一番いいかって?
それは君たちにしか決められないことですよ。
この件に関しては、ルールというものがまったくないのですから。
可能な限り、ボイシングを試してみて、一番耳に心地よいものを選んでください。
覚えておいてほしいのは、前後の音楽的文脈がかかわってくるということです。”
” コード進行を、律儀にひとつの弾き方に固執してプレイすると、
ぎこちなくて不器用なサウンドになってしまいがちです。
片手だけで弾く単純なメジャーコードだけでも、キーボーディストは、
ボイシングに関して非常に広い範囲のチョイスを持っているのです。
とにかく音楽の中でコードは最重要事項です。
このチョイスに関してよーく研究しておくことが、秀でた良いミュージシャンになるための近道なのです。”
9th(ナインス)についても、分かりやすく書かれていた。
9thとはいうと、ずいぶん離れていてややこしい感じがするが、
オクターブ上(8音目の同じ音)の隣の音だ。
(セブンスもオクターブ上の手前隣の音だと思えば距離感が薄くなる。)
きれいに響かせるためのオープン・ボイシングという弾き方では、3度の音を外すことがある。
ピアノ曲でないイエスタディをレパートリーに入れるという考えはあまりなかったのだが、いい雰囲気が出ているカバーを見つけた。
これまで、電子ピアノでピアノ以外の音色を使うことはなかったが、
このフェンダーローズのような響きがイエスタディには合っているような気がする。
音を伸ばして厚みがでるように、ようやくペダルも追加購入してきました。
Yesterday Beatles Piano Tutorial
ギターのイントロは、ビートルズGと呼ばれ、第3音(G)が希薄なサウンドになっているらしい。
そして、歌い出しはFコード(F,Am,C)で始まるのだが、メロディは倚音(いおん)のGで始まる。
コード外の音(=倚音)が緊張感を生み、続くメロディでコード内の音階に戻って緊張が緩和されることで、
音楽がダイナミックなものになるらしい。
コード・バッキングとメロディ、ベースが独立して、全体でコード感を生むというのは、
単音楽器が集まるクラシックのオーケストラにも似たビートルズ音楽の特徴らしいですが、
4音をぶつけたり、3音を♭させてブルーノートにしたりして、和音の第3音をぐらつかせる和音感覚も独特なのだそう。
長調というには感傷的だが、短調というほど悲哀に閉じているわけでもない、伸びやかなノスタルジー。
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