脳と心の洗い方(「なりたい自分」になれるプライミングの技術) (Forest 2545 Shinsyo) 苫米地英人 フォレスト出版 このアイテムの詳細を見る |
一見、禁断の書、的な匂いがしますが、
無意識レベルを変えることで、なりたい自分になる方法を提唱する本。
値打ちのある本だと思います。
トマベチ氏の話は具体的かつ説得力のあるもので、
日本は、戦後のGHQ占領下以降、撤退後現在に至るまで 民主主義が進化せず、
当時のGHQの落し物のような洗脳社会のままではないか、と警鐘を鳴らします。
サンフランシスコ講和条約に関するくだりなど、
なるほど、多国間の契約(条約)にあっては、正文が英語・フランス語・スペイン語であって、
日本語版は参考程度だったり、とすることがあるのか、とびっくりしました。
そして、その日本語訳が正確でなかったとしたら。。
<誰も物理的現実世界にいない>
我々は、自分の脳・意識を通して、外部の世界を認識しているのであって、
それは、R(Real)に対してR´(アールダッシュ)ともいうべき内部世界。
内部世界は、外部世界と連結しています。
内部世界は、人の意識によって変えられるものなので、
R´(アールダッシュ)は変性意識下の物理的世界となります。
内科の薬の効果の多くは「プラシーボ効果」と呼ばれるもので、
統計的に内科を受信しても3割くらいしか、何の病気かは分からず、それでも大抵 薬で症状が治まるのです。
氏は、このプラシーボ効果は、病気状態を望ましい状態に書きかえるという内部表現の書き換えにあたる、としています。
<人間は仮想世界とフィードバック関係を持てるように脳が進化している>
現実世界では、暑いと認識すると人間は汗をかきます。
仮想世界(たとえば映画)でも、同じように、感動する場面を見ると涙が出ます。
仮想世界であっても、そこに臨場感があると、内部表現の書き換えが起こるわけです。
仮想世界(たとえば連ドラ)により臨場感を感じて、Realな出来事に気づかないくらい熱中するようなことは誰にでもあります。
我々の内部世界(R´)は、仮想世界であっても現実の外部世界より強く連結していることだってあるということです。
RをR´でなく、そのままのRとして認識できるのは悟りの世界。
我々は、仮想世界(P)とも物理的現実世界(R)とも連結できる、内部世界(R´)に生きているのです。
<生物の進化や種の保存に欠かせないもの~プライミング>
生物が、死滅せず 環境に適応して、より好ましい状態になろうと進化することをプライミングといいます。
人類の進化にともなって、生存競争の空間はどんどん仮想空間(P)に移動しています。
人間社会の中のたとえば組織だって、いわば物理的現実世界(R)というよりは、Pに近い。
<脳内物質ドーパミン(報酬系)>
これは、前にブログでも採り上げました。
(なぜブログにハマったのか http://blog.goo.ne.jp/lifelongpassion/e/0afbaff2cf5b5d373458129b5214908a)
人類は、報酬系が前頭前野までいっているために、抽象度の高い情報に対してもプライミングを働かせることができるのです。
自分で設定して、内部表現に書き込めます。
やはり、ここがキモのようです。
そのために著者は
・「自分を自分のやりたいことのストーカーにしてしまうこと」
・「大いなる勘違い」をすること
を薦めています。
さてさて、ここまで(RとR´、PとR´が連結していること)はいいとして、
書き換える対象である R´(自分の内部世界)には、意識的な部分と、無意識の部分があるはずで、
ここが具体的にどうすれば、連結するのかが知りたい、と思いませんか。。
「無意識がゴール到達のために勝手に働くようになる仕組み」とは何なんでしょう?
それは、どうやって無意識レベルにアクセスするかにかかっているようです。
<通勤中は無意識が働いている>
⇒ なるほど、ルーティンになってることって、いちいち意識しなくても勝手に体が動いてます。
そのために、まずは『Rを自分の中で吟味して揺るがせること』。
物理的現実世界(R)を取捨選択したうえで、うまく変性意識させたR´として定着させ、無意識に刷り込む。
これが「大きな勘違いをしろ」ということなのでしょう。
Rを自分が良い状態になるよう解釈して、
心の中でのリアリティ(R´)をしっかり維持させることで、
周りは自然に引き込まれていくという考え。
<逆腹式呼吸が有効>
⇒
「Rを揺るがせる」ためには、「呼吸を意識に上げる」ことが有効。
肺はもっともバイタル(vital、生命にかかわる)なホメオタシス(生体的フィードバック機能)を持った部分なので、
生命に直結した肺を活用することで、本能的な無意識レベルと繋がりやすくなるということ。
肺を意識するためには呼吸、
さらに、呼吸に意識を向けるためには、普段あまりやらない、息を吸うときに腹を凹ませる「逆腹式呼吸」がいいらしいです。
この逆腹式呼吸をやることで、呼吸という、人間の生命に直結した、無意識のレベルにアクセスする肺の機能を活用して、
無意識のレベル(潜在意識)を意識のレベルに上げること。
そこで、心を向けたもの(意識したもの)は、無意識レベルにも定着しやすい、ということなのでしょう。
また、逆腹式呼吸には、発声を良くする効果もあるらしいです。
(バディホリーのしゃくりあげ唄法なんかは、これに近いですね。。)
30秒ドローイン・ダイエットにも通じるので、一石三鳥、みたいな効果が期待できるかも。
(http://blog.goo.ne.jp/lifelongpassion/e/b728 2cf51d9db1194954d7938e1c0428)
<自分なりの工夫で違う感覚にマッピングする人工共感覚>
⇒
共感覚とは、例えばワインのテイスティングで、
単に味のことなのに、「ビロードのような」とか「ざらざら・つるつる」とか、
「寝ぼけている」といった他の感覚とつながること。
この共感覚を使えるようになると、五感を司る無意識のレベルへのアクセスが活性化されるようです。
たしかに、熱いものを触った時、瞬時に"熱い!"って反応するのは、意識レベルで意思決定しているのではなく、
もっとvitalな部分が働いていますよね。
* 実際に数万人に一人の割合で、音や字に色が見えたり、匂いを感じる感覚の持ち主がいるそうです。
(単に表現力を豊かにする技法としての感覚ではなく、五感が混じり合った感覚を持つのが「共感覚者」。
モーツァルトやダヴィンチ、もそうだったという説もあります。)
(↓)興味がある方はどうぞ。未知の感覚世界を体験できます。
女性を視覚ばかり優先してみるのはどうか、と
欧米的な五感を記号的に分節化した文化に一石を投じる一節もあります。
決してオカルト的な感じはなく、視覚野等の存在についての研究を認めながらも自身の先天的な共感覚について述べられた本。
音に色が見える世界 (PHP新書) 岩崎 純一 PHP研究所 このアイテムの詳細を見る |
あれれ、ずいぶん長くなってしまいました。。
この本、他にも「サブリミナル」、「洗脳」、天台宗でいう「止観」、
長い間禁断の書として封印されていたというイエスの「ユダの福音書」といったキーワードが出てきます。
なんだかカルト的な感じを抱く人もいるかと思いますが、
真実を知ってそれを良い方向に活かしていくんだ、という著者の思いみたいなものも伝わってきて良心的な内容だと思います。
キーとなる考え方は、
”まずはR´(自分が認識している世界)を揺るがせてから判断し考えよう”、
”なんでやねん?”を大切にということ。
思い込みや偏見、知らず知らずに刷り込まれてしまっている価値感、
それらを否定しなくてもよいけど、ちゃんと気づくことの大切さを教えてくれます。
(↓)好き嫌いはあるかもしれませんが、
”とりあえず一旦受けておきましょか”(桜井章一さん)の精神で観るのもいいかも。
異常な鼎談 苫米地英人 前編1/3
無意識のレベルを自分である程度コントロールすること、
そのうえで、意識レベルを上げ、より良い方向に仕向けること、
これは、人生の奥義にもつながるようなテーマです。
禅の世界、内観や只管打座といったことも、この辺りに繋がる思想なのではないでしょうか。
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