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法医学現場の真相 今だから語れる「事件・事故」の裏側

2010年05月11日 21時42分22秒 | 医療 (医療小説含)
 
押田 茂實氏の著書。
押田氏は、東北大学医学部ご卒業後医学博士となられ、様々な犯罪事件に関わる
法医解剖、DNA型鑑定、薬毒物分析、重大事故・災害における遺体検案、医療事故の
解析と予防対策と40年にわたり法医学現場の第一線でご活躍なさつてゐた方です。
 
押田医師は「法医学」を専門とされるので、患者の診察の代わりに「遺体検案」が
主なお仕事となります。
そして、裁判に提出する医師の意見書を作成されてきたのですが、押田医師が関はつた
事件が本書で取り上げられてをります。
 
事件の「真相」が裁判で実際に考察されてゐるのかな・・・・? 
これが、第一章、第二章の読後感でした。 
何故なら、裁判所は判決論旨の中で「押田鑑定書」に関する記述がないことが何度かあり、
鑑定書をだふ捉えたのか押田医師ご自身が不明だつたことが書いてあります。
 
・・・・・・ 
 
「証拠」を細分に鑑定した結果の「鑑定書」に重きをおかない(?)のはだういふわけなのか?
裁判員裁判では、鑑定書はきちんと検討されるのか?
裁判に提出された証拠のうち、きちんと素人である裁判員に説明・公開されて判決を下して
ゐるのか気になりました。
 
鑑定書をきちんと吟味してゐない結果、冤罪を生む事もありえます。
 
第三章では「大災害の現場から」として、日航機墜落事故、阪神大震災等に押田医師が
参加し身元確認作業を行なはれたことが書いてあります。
かういふ場面でも鑑定医が活躍されてゐるのは、気付きませんでした。
 
押田医師はマジックがプロ級の腕前ださうですが、そのマジックのご経験から法医学の
現場に生かさうといふ試みもあり、「人間色々な経験・知識があつたはうがいいな」と思ひました。
「芸は身を助ける」ではないけれど、何がどこで役に立つかわからないものですから、
色々な幅広い知識があるといいのだなと思ひます。
 
押田医師も「はじめに」で述べられてゐますが、医師不足により法医学の解剖医の後継者が
不足する事態になつてゐる。これは、別の医師も指摘してをられたのを本で読んだことがあります。
 
ここでまた、役所批判になつてしまひますが
「実情をきちんとみて」政策・教育方針・教育内容を検討する、といふことをしてほしいと思ひます。
 
最後に
法医学に限らづ、世間の様々な「決まりごと」「対処法」は、それまでに「犠牲」になつた人たちの上に成り立つてゐるのだなと実感ゐたしました。


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