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風化水脈 新宿鮫VIII

2011年01月18日 11時24分03秒 | 小説

大沢 在昌氏の「新宿鮫」シリイズ八作目。

一作目から順を追つて読んできたが、「道を外れたキャリア警官」鮫島と鮫島を理解する上司桃井、鑑識の藪の登場人物の活躍がこの作品でも健在。

八作目まで、それぞれの作品に前作や前々作での出来事が散りばめられてをり、読むなら壱から順に読んだはうがわかりやすい。勿論、その作品だけを読んでも十分楽しめる。

警察に関しては、故黒木昭雄氏の体験本を読み驚くことが多かつた。それと同時に刑事ドラマや小説など、随分と現実と相違があることがわかつたが、大沢氏の作品の「警察事情」といふのは一番「現実」に近いのかなと思ひながら読む。現実に近い、と言ふよりは「鮫島」と言ふ主人公を通して現実社会を警察といふ面から描いてゐる部分もこの小説にはある。新宿鮫が「刑事もの」に終はらない理由ではないかと思ふ。

七作目で鮫島は「警察批判」「日本批判」をされる犯人と対峙する。その犯人の考へを変へるべく活動していく姿が描かれたが、それは一作目から本作まで共通したものであり、それだからこそ新宿鮫が長く支持されてゐる理由なのだらう。



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