百田 尚樹氏の作品。
短編小説が5作、収録されてゐる。
舞台はいつもクリスマスもしくはクリスマス・イブ。
その日を舞台に、様々な「おとぎ話」のやうないい話が繰り広げられる。
一番印象に残つたのは 「猫」 だらうか。
派遣社員で働く主人公が派遣会社の仕事で残業をしながら迎えるクリスマス。
一緒に残業してゐるのは派遣先の社長。 若くて、モテる、憧れの社長。
その社長に主人公は自分が飼つてゐるネコの話をする。
猫は、その昔拾つたのだが
死にさうな、片目のない、毛の抜けた猫であつた・・・・ 主人公はそのネコを拾ひ、獣医さんに連れて行き
面倒を見る
死ぬかと思はれた猫は、死なずに元気になつた そのネコが招いた幸運の話なのだが。
拙宅にも猫がゐる
シエルタアで貰つてきたぬこである・・・ シエルタアで2か月ほど過ごしてゐたところに貰つたので、
見た目は綺麗になつてゐるし、獣医さんが寄生虫やらを追ひ払ふ薬を打つてくれ、去勢もして
ゐたので
この小説の猫のやうに 汚れてもゐないし、寄生虫がゐるわけでもないし、やせ細つてもゐなかつた
今一緒にゐて7年が経つが、もし拙宅のぬこが捕まつた当時の様相だつたら果たして飼ふとか
今のやうな「可愛い」気持ちとかあつたのかなと自分の気持ちを考へてしまふ。
病気のネコは嫌だとか、手がかからないネコがいいとか、自分中心の気持ちでゐたと思ふ
結局、拙宅のぬこは目に病気があつて、少ししたら雄猫特有の尿結石の病気が出て食餌療法の日々に
なつてゐるのだが
飼ひはじめて、自分に懐いてくれてゐると全くそんな事は気にならない。かえつて、目がをかしかつたりすると
心配だし、尿結石予防の餌が高くてもそれを買ふし、元気でゐてくれればいいと思ふ今だが。
懐く前にこんな気持ちにはならなかつたし、それを考へるとこの小説の主人公はとても優しい人だと
思ふ・・・・
かういふ優しい人に、この小説のやうな結末が待つてゐるんだな・・・・