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夢を売る男

2014年12月07日 16時02分12秒 | 小説

百田 尚樹氏の作品。

主人公、牛河原はある出版社に勤める編集部長。 

物語は編集部長の牛河原を訪ねてくる数々の人々、そして牛河原の会社、ライバル社が登場する。

「出版社の編集部長」を主人公にしてゐるので、出版界の話なのだが。

結構太田出版の人、決断したよね・・・といふ印象を持つた。 他の出版社で出せたのかな? 太田出版は百田氏の「永遠の0」
もあちこちで断られた作品ださうだが、出版してゐる。 

話は戻るが。

牛河原の出版社は少しあこぎな出版社である。 実際このやうな出版社があるのか知らないが、小説が受賞となる大賞の選考の仕方などは
なんとなく納得した。これが全部事実かだうかは知らないが、大方そんなウラがあるんだらうなぁと思ふことが多々あつた。
この作品を読む前から、数々の受賞作を読んできて 「本来の賞の名前となつた作家の作品の流れとは大幅にズレてるよなあ」と思ひ
始めてから、ほとんど受賞作に興味が持てなくなつてゐたのでここに出てくる物語は別に驚かない。

ただ、一冊の本分の何かを書き、次々に考へが浮かび違ふ作品を書いていく人のエネルギイといふか、能力はほんたうにすごいと思ふ。
それをこの小説の中で、牛河原は「頭がおかしいからだ」と切り捨ててゐるが、百田氏の職業も鑑みて読んでいくとところどころに風刺が
あつて、それも面白い。

もふ一点面白い風刺は、読んだ本の感想を載せてゐるブログの主に電話をしてブログを本にしないかともちかける場面である。
これは、百田氏が実際に手紙等受取り体験してることなのかなあ、と思ひつつ年に300冊読んでゐるといふこのブログの主が
一冊も購入せず図書館でリクエストして予約は一番で読みます、と返答してゐるのはかなりの風刺で面白い。

かくいふあたくしも、図書館で読んでゐるので「出版界に貢献してない一員なんだよな~、すみません」と苦笑ひで読んだ。

詳細を書くとこれから読む人への妨げになるので、小説の詳細は書かないが

あこぎな事をしてゐる牛河原の最後のシインは、百田尚樹らしい最後で吹き出しつつ感動した。



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