もう何度も映画館へ足を運んだというファンの方々がおられると思うが、『鬼滅の刃 無限列車編』を観た感想少々をネタバレなしで書く。
【夢の人】筆者は原作漫画を読んでおらず、予備知識をネットにて仕入れた上で、映画公開前にTVで2回にわたって特別放映されたもの(「兄妹の絆」と「那多蜘蛛山編」)を観てから劇場版を鑑賞した。
筆者にとっては、上記の方法が成功した。 主な登場人物のプロフィールは分かった状態で、劇場版のストーリーに関わる情報を避けておいて観たわけだが、そうしたことで展開の緊迫感がおそろしく強烈なものとなった。
目が離せない。 完全にスクリーンに釘付けである。 ゆったりと始まった物語が急転直下、怒涛の展開をみせる。
大画面と音響の渦に包まれているうちに観客は列車の乗客となったり俯瞰視点の目撃者となったり、緩急をつけながら思わぬ方向へと運ばれてゆく。 やがて、様々な事柄の細やかな描写が織り込まれ、こちらの心の内側を “鬼”が容赦なく突いてくる。 巧い、巧すぎる。
終盤では薄暗い劇場内に、堪えきれず小さく洟をすする音があちこちから上がっていた。 珍しく筆者もハンカチを取り出すはめに陥った。
近年稀にみる、老若男女の鑑賞に応えるアニメ映画の誕生である。