夢の人

心はいつまでも子供のまま。生活感無き こだわり人は、今日も夢を追いかけて多忙です。

京都 直指庵の「想い出」

2009-11-30 23:59:11 | Weblog
 本日夕方の某局ニュース番組内で、京都北嵯峨の寺、直指庵(じきしあん)から中継が行なわれていた。 普段の拝観時間を過ぎてから境内を煌々とライトアップしての放送だった。
 ここは隠れた紅葉の名所で、今年も来週いっぱいは楽しめるとのこと。 スタジオに居るアナウンサーが語っていたとおり、座敷から見る紅葉の庭は「一幅の絵」のようであった。

 浄土宗祥鳳山(しょうおうざん)直指庵を私が訪れたのは子供の頃、写真撮影が趣味の父親に連れられてである。 レンタサイクルを利用したのだが、田園風景を走り抜けて曲がりくねった道を進んでゆくと、寺は竹林の中に静かな佇まいをみせていた。
 夏の盛りに行った為、濡らしたハンカチで首の辺りを拭いながら、缶ジュースを飲みつつ汗まみれで到着する有り様だった。 真夏の陽射しに境内の緑が濃く照り映えていたのが、今でも強く印象に残っている。
 旅の楽しさと軽いサイクリングによるハイテンションで御陽気に歩み入った本堂は、温かいが厳かな空気を漂わせていた。 堂内では若い女性が数人、ぽつんぽつんと離れて座り、手にした帳面に一心に何かを書き込んでいる。
 子供の私は場違いなものを感じとり、粛々と雰囲気を味わっておいて――飛んで出た。
 後日知ったのは、女性達が書いていたのは恋や仕事、人間関係といった人生の様々な胸の内を吐露するノートだったということである。
 『想い出草』と名づけられたそのノートは五千冊を越えるという。


コメント (4)
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