日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

ヴェニス・サンマルコ広場で出会った慶応大学文学部の女子学生

2011-06-12 16:32:24 | 昔話
産経新聞読書欄の「手帖」に、文学部の魅力をアピールする書籍が相次いで刊行されたと、慶応大学文学部が高校生ら一般読者を対象に作った叢書「文学部は考える」シリーズがまず紹介されていた。この慶応大学文学部という文字に刺激されてある記憶が蘇ったのである

かれこれ四半世紀以上前のこと、ヴェニスのサンマルコ広場でのことである。夕方、といっても既に日は落ちて暗くなっていたが、広場に設けられた仮設舞台を取り囲んでか、それとも大道芸人を取り巻いてか、大勢の観客がそれを見物していた。その中に目立った風体の女性がいた。バックパッカー姿で、ヴェニスのカーニバル用の仮面がリュックにぶら下がっていたのである。なんとなく日本人のような気がしたので近づいて声をかけてみると、やはりそうであった。お互いどういう旅を続けているのかなど、旅行者同士のたわいない話を交わして別れた。

数日後、私はフィレンツェの街を歩いていた。とあるジェラート屋の前を通りかかり何気なく店内に目を向けたところ、どう見てもあのサンマルコ広場の彼女が列に並んでいるのである。そして、まさに彼女であった。ジェラートはフィレンツェが発祥の地というから私も一つ買い求め、美味しく味わいながらこの奇遇をやや興奮気味に話していたら、「観光客の行くところはだいたい決まっているから、こんなこと珍しくありませんよ」といとも沈着は返事が戻ってきたので、私の浮かれぶりが気恥しくなってしまったものである。彼女は慶応大学文学部の学生で、卒業研究の課題に仮面を選んだのでカーニバルの仮装行列、そして仮面で有名なヴェニスを訪れたと言うのである。しっかりしているはずである。お互いに夜は時間が空いていることが分かったので、ここは年長者の私がディナーへの招待を申し出ていったん別れた。

フィレンツェには日本でもよく知られたSabatiniというトスカナ料理のレストラン(そういえば新神戸駅近くのビルに同名のレストランがあって、そこのディナーショーに出演!したことがる)がある。以前、そこに入ろうとしたらたまたま着飾った日本人の団体客にぶつかったので敬遠して数軒離れたレストランに入ったところ、そこのアット・ホームな雰囲気に料理がとてもよかった覚えがあるので、そこに予約をいれた。どこでどのように待ち合わせをしたのかは覚えにないが無事再会をはたし、思いがけなく心豊かにディナーを楽しむことが出来た。頼んだ前菜がふたりとも生ハム・メロンであったことが不思議と記憶に残っている。食後、お互いの前途の無事を祈念して別れた。名前は名乗りあったと思うが今や忘却の彼方である。

話はこれだけである。ただ強いていえば伏線があったように思う。三田の慶応学舎である会合があったときに、話の種に一度覗いてみましょうという誰かに誘われて文学部の食堂に行ったことある。確かに魅力的な女子学生が多くて、固い一方の国立大学の学食とは別世界のような華やな雰囲気を漂わせていた。その意識が頭のどこかにあって彼女を招待に駆り立てたのだろう。このような昔話を持ち出したのも、もしかしてこの一文が周り回って彼女の目に触れて、もしコンタクトを頂けるとまさに奇跡だと思ったからである。そんな事があれば数日前に記した私の「宿痾」が一気に吹き飛ばされるかもしれない。

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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
いいですね。 (田中三郎(仮名))
2011-06-14 14:12:45
連絡あるといいですね。
このブログでは読まないようなお話を楽しみました。
四半世紀以上前、お一人でご旅行でしたか?
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