日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

大義名分の見えてこない内閣不信任決議案

2011-06-02 10:37:29 | Weblog
訳の分からぬままに昨日(1日)の夕刻、自民、公明、たちあがれ日本の3党が菅内閣に対する不信任決議案を衆議院に提出し、今日午後の本会議で採決されることになった。訳が分からないといったのは、その大義名分が見えて来ないからである。大義名分とはもともと《儒教に由来する考え方で、本来は臣下として守るべき道義や節度、出処進退などのあり方を指し、今日では転じて、「行動を起こすにあたってその正当性を主張するための道理・根拠」》を指す(ウィキペディア)。私のような戦前・戦中世代にとってはおなじみの言葉で、たとえば大東亜戦争(太平洋戦争)開戦にあたって渙発された宣戦詔書は、戦争の正当性という大義名分を内外に表明したものなのである。

戦争の正当性という大義名分は一方の主張であるから、必ずしも客観性があるとは限らない。野党側が提出した内閣不信任決議案もそれなりの理屈を並べ立てているが、要は「菅総理に指導者としての資質のないこと」を論っているに過ぎないのであって、「一億一心火の玉」となって国難に立ち向かわないといけないこの時期になぜ内閣打倒なのか、時期選択の正当性が私には見えてこない。野党側の議員はともかく、民主党にあって不信任決議案に同調しようとする議員の念頭には大義名分の意識すらないのであろう。これ一つで政治家失格である。

ちょうど1年前、菅内閣はなぜ衆議院解散・総選挙をしないのか  追記有りで次のように述べたことがある。

普天間基地問題にどのように取り組むのか具体的な施策を正面に掲げ、今こそ衆議院の解散、総選挙を早急に打ち出すことで菅内閣は心ある国民の力強い支持を得ること間違いなしである。ついでに300名を超える民主党所属衆議院議員から小沢一郎前幹事長の追随者を一掃できれば御の字であるし、その結果、政界再編成により小沢一郎党とそれへの反対党が生まれることになれば政治も活気を取り戻すことであろう。


東日本大震災も福島第一原発事故も起こっていなかったこの時期とは事情が大きく異なっているが、不信任決議案が提出されてしまった今となっては、これが可決されて菅総理が衆議院を解散に打って出ることを期待したい。ある種の政治空白が生まれることで、とくに福島第一原発事故による被災地の復旧・復興を現地の主導力で行う機運がますます高まることと、また「政治主導」で翻弄された日本の優秀な「官僚機構」が息を吹き返すきっかけともなればと期待するからである。さて午後の本会議、如何相成りまするか。