会社は、労働組合に対し、経理上の援助をしてはならない。これは、労働組合に対する経費援助が労働組合の自主性・独立性を阻害し、会社が労働組合の運営に介入すること(いわゆる“御用組合”化)につながるのを防ぐための規定だ。
そして、この「経理上の援助」には、従業員が就業時間中に労働組合活動を行った場合に会社が賃金を支払うことも含まれる。
これを聞いて、労働組合に関して勉強された方は「えっ?」と意外に思われたかも知れない。と言うのも、労働組合法第2条(労働組合の定義)第2号でも第7条(不当労働行為)第3号でも、その但し書きに「労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを使用者が許すことを妨げるものではなく…」と書いているからだ。
しかし、注意深く読んでみると、ここで許されているのは「使用者との協議または交渉」の時間についてである。それ以外の、例えば「組合大会の開催」や「労働委員会への出頭」といった時間に対して賃金を支払うことは、「使用者との協議または交渉」ではないのだから、組合活動経費の援助に該当するとされる。(労働省労政局長通達;昭和24.8.8労発第317号)
したがって、従業員が組合活動に従事していた時間、すなわち“就労していなかった時間”については、賃金をカットするか、でなければ、この時間の賃金に相当する額を労働組合に請求しなければならない。
つまらない誤解から不当労働行為のそしりを受けることのないよう、正しく理解しておきたい。
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