ご苦労さん労務やっぱり

労務管理に関する基礎知識や情報など。 3日・13日・23日に更新する予定です。(タイトルは事務所電話番号の語呂合わせ)

育児短時間勤務中にも「育児時間」は取得可能

2012-06-23 18:00:38 | 労務情報

 前回の記事(こちら)に書いたとおり、この7月から「育児短時間勤務制度」がすべての事業所に義務づけられる。

 さて、この育児短時間勤務をする(させる)際に見落とされがちなのが、労働基準法の定める「育児時間」だ。育児時間の制度は、育児短時間勤務制度の適用者であっても対象外ではない。「育児時間」と「育児短時間勤務」とはその目的が異なるからだ。
 「育児時間」について、労働基準法第67条第1項は「生後満1年に達しない生児を育てる女性は、第34条の休憩時間のほか、1日2回各々少なくとも30分、その生児を育てるための時間を請求することができる。」と定めており、事業主はこれを拒むことはできないことになっている。無論、本人が請求しなければ与えなくて良いし、育児時間を取った分については賃金を支払う必要も無い。

 「育児時間」の元々の趣旨は、授乳等に要する時間を通常の休憩時間と別に確保するために設けられたものであるが、必ずしも労働時間の途中で取らなければならないものではなく、また、2回に分けずに「60分を1回」として取得することも可能とされている。
 と言うことは、短時間勤務をしながら、さらに朝遅く出社(あるいは夕方早く退社)することも許されるわけだ。

 育児介護休業法が求める「勤務時間短縮等の措置」は「原則として6時間」(育児介護休業法施行規則第34条)とされていて融通が利かないが、この育児時間を上手に使えば、導入しやすくなるとも言える。
 ただし、育児時間は、子が満1歳になるまでしか使えないことと、当然のことながら男性は使えないことには要注意だ。


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育介法全面施行まで、あと2週間を切りました!

2012-06-19 17:08:17 | 労務情報

 育児介護休業法は平成22年6月に改正され、「パパママ育休プラス」等の制度が新設されたが、一部の制度については、“従業員100人以下”の会社には導入が義務づけられなかった。しかし、その猶予期間は2年間で終了し、平成24年7月1日からは、従業員を雇用するすべての会社が改正育児介護休業法の適用を受けることになっている。

 今般、全面施行の対象となるのは、次の3制度だ。
(1) 短時間勤務制度
 3歳未満の子を養育する従業員が希望した場合、会社は所定労働時間の短縮措置を講じなければならない。
(2) 所定外労働の制限
 3歳未満の子を養育する従業員が申し出た場合、会社は所定労働時間を超えて労働させてはならない。
(3) 介護休暇
 要介護状態にある対象家族の介護等を行う従業員が申し出た場合、会社は年に5日まで(対象家族が2人以上の場合は年に10日まで)、介護休暇を取得させなければならない。

 これらはいずれも、“運用”だけでなく、就業規則等で“制度化”することが求められている。全面施行まで2週間を切っているので、未着手の会社は至急対応されたい。

 ところで、これらの制度を利用することにより就労しなかった時間に対しては、賃金を支払う義務は発生しないとされる。しかし、それを上回る賃金カットその他制度の利用を抑止するような行為は、法の趣旨に反するものとして、労働局の指導の対象となり、また、訴訟の場でも不利になるので、注意しておきたい。


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学生アルバイトは明日にも辞めるかも知れないのに?

2012-06-13 23:59:53 | 労務情報

 前回の記事(こちら)で、「学生アルバイトも“4分の3”以上を労働していれば社会保険に加入しなければならない」というようなことを書いた。
 これに関し、よく経営者の方から「特に学生アルバイトはいつ辞めるかも知れないのに、それでも入れなければいけないのか」と質問(詰問?)されることがある。

 そういう疑問を持つのは経営者としては当然であろうが、それでも資格取得しなければならないのだ。法律上そういう制度になっているのだから。
 もし、法律がおかしいという話なら、政治家に働きかけて改正させるしかない。しかし、これも前回書いたように、時代の流れはむしろ「社会保険全入」を目指す方向に動いているので、その希望に沿うようには変わらないと思われる。

 では現実的に、こういう学生アルバイトを社会保険に加入させない方法は、と言うと、ざっと考えて、方法は2つある。

 一つは、所定労働時間を“4分の3”未満にすれば良い。例えば労働契約上の所定労働時間を「1日5時間×週5日」とすれば社会保険には加入しないことになる。
 この場合、たまたま残業する日が有って特定の週だけ30時間以上働いてしまったとしても、それが「たまたま」であるなら問題ない。ただし、恒常的に残業や休日出勤させているのに所定労働時間を少なくしておくのは“脱法行為”に他ならないので、その点、誤解しないでいただきたい。

 もう一つの方法は、短期労働者として雇用することだ。期間が「2か月以内」であれば社会保険に加入しないし、「30日以内」であれば雇用保険にも加入しない。
 そして、その期間を超過して雇い続けることを決めた時点で契約を締結しなおして、社会保険も雇用保険も雇用開始日にさかのぼって資格取得すれば問題ない。これで、「明日にも辞めるかも知れないのに…」という疑問については、解決できるのではないだろうか。

 もっとも、こういった条件で、有能な学生がアルバイト募集に応じてくれるかは別問題として考えなければならない。
 そこまで「虫の良い話」は無いのだ。


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「外国人労働者問題啓発月間」始まる

2012-06-03 17:27:20 | 労務情報

 6月は厚生労働省が主唱する「外国人労働者問題啓発月間」となっている。外国人を雇用している会社には、入国管理局だけでなく労働局からも調査が入る可能性があるので、承知しておかれたい。

 今年は(「今年も」と言うべきか)、重点施策の一つに、「外国人雇用状況届出の厳格な履行」が挙げられている。「外国人雇用状況届出制度」とは、雇用する外国人の氏名・生年月日・国籍・在留資格等を管轄ハローワークに届け出るものとして、平成19年10月から外国人を雇用するすべての事業主に義務付けられた制度だ。
 外国人を雇用した事業主は、雇用保険の被保険者については『資格取得届』に設けられた記入欄により、雇用保険の被保険者でない外国人については『外国人雇用状況届出書(様式第3号)』により、届け出なければならない。特に雇用保険の被保険者でない者については届け出を失念しがちであり、そもそも届け出が必要であることを知らない事業主も多いので、注意しておきたい。

 また、「外国人労働者の適正な雇用管理と労働条件および安全衛生の確保」も、重点施策の一つとされている。特に、解雇や賃金支払に関して労働関係諸法令を遵守することや、社会保険制度が日本人と同様に適用される(一部例外あり)ことについて、啓発指導するものと思われる。

 不法就労している外国人は論外としても、雇う側もルールを知っておかなければならないということだ。


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