ご苦労さん労務やっぱり

労務管理に関する基礎知識や情報など。 3日・13日・23日に更新する予定です。(タイトルは事務所電話番号の語呂合わせ)

特定曜日の勤務が常に8時間を超えるなら

2015-01-23 17:48:39 | 労務情報

 特定の曜日に業務が集中し、その日は決まって残業になってしまうという業種・業態もあるだろう。
 そういう場合、法定労働時間(原則的には1日8時間)を超えた時間すべてに対して割増賃金を支払っている会社も少なくないが、こういう業種・業態でも、所定労働時間を見直すことで割増賃金を支払わなくて済むようになることが、往々にしてある。

 まず最初に考えたいのは、「時差勤務」だ。
 特定曜日に業務が集中するとは言っても、例えば午前中は業務に余裕があるのであれば、始業時刻と終業時刻の両方を後ろにずらせば良い。そうすれば、1日の労働時間は8時間以内のままなので、割増賃金の支払いは不要となる。

 時差勤務の導入が難しいなら、次に検討したいのは、「1か月単位の変形労働時間制」(労働基準法第34条の2)だろう。
 すなわち、業務の集中する特定曜日の所定労働時間を長くする代わりに他の日の所定労働時間を短くして、週あたりの労働時間を40時間以内に収めるように、「労使協定」または「就業規則」で定めるものだ。あるいは、他の日の所定労働時間を短くするのでなく、「隔週に1日の休日を追加する」といった方法も考えられる。
 なお、当該条文の見出しは「1か月単位」だが、条文中には「一箇月以内の一定の期間を平均し」と書かれている。すなわち、必ずしも「1か月単位」でなくて「1週間単位」や「2週間単位」であっても適用可能なので、その点、誤解の無いようにしておきたい。
 ちなみに、同法第32条の5(1週間単位の非定型的変形労働時間制)は、予め各日の労働時間を特定することが困難な業種に限っての規定なので、ここでは適用できない。

 さて、これらの措置を講じることによる直接的なメリットは、もちろん「残業代の削減」が第一であるが、間接的には、総労働時間を短く抑えることで良質な労働力の維持にも寄与できる。 また、「ワーク・ライフ・バランスの推奨」といった無形の効果も得られることから、CSRの面からも検討してみる価値はあるのではなかろうか。


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派遣労働者にも使えるキャリアアップ助成金

2015-01-13 16:19:52 | 労務情報


 「キャリアアップ助成金」は、いわゆる非正規労働者に対してOff-JT(職場外での研修)やOff-JTを併用するOJT(職場内での研修)によりキャリアアップを図った事業主に支給されるもので、(1)「正規雇用等転換コース」、(2)「人材育成コース」、(3)「処遇改善コース」、(4)「健康管理コース」、(5)「短時間正社員コース」、(6)「短時間労働者の週所定労働時間延長コース」の6コースがある。
 具体的な助成内容は、これらのうち最も使われている「人材育成コース」を例に挙げれば、「Off-JTへの経費助成(最大30万円)」と「研修期間中の賃金助成(研修内容や企業規模ごとに時間あたり800円、700円、500円)」とで構成されている。

 ところで、この助成金は、直接雇用されているパートタイマー等ばかりでなく、派遣労働者も対象とすることができるのだが、派遣労働者に対して研修を実施した場合、「人材育成コース」の助成金は、派遣元と派遣先のどちらが支給申請できるか、ご存じだろうか。
 これについては、原則論として、「Off-JTの経費を負担した側に支給される」と認識しておけば良い。派遣元と派遣先とが時期をずらしてOff-JTを実施したなら、双方が、それぞれの実施時期ごとに助成金を申請できる。1件の研修を派遣元と派遣先とが共同実施したようなケースでは、両者が任意に取り決めた時間で分割してそれぞれが支給申請することも可能だ。

 加えて、派遣労働者を直接雇用した場合には、「正規雇用等転換コース」の助成金として、1人あたり60万円(中小企業が有期契約の派遣労働者を正規雇用労働者として直接雇用した場合)が支給される。これは当然、直接雇用した「派遣先」のみが支給申請できる。
 特に「紹介予定派遣」の場合は、そもそも一定期間経過後に直接雇用するつもりで派遣労働者を受け入れるのだから、この助成金になじみやすい。ぜひ上手に活用したいものだ。


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読んでますか?「厚労省人事労務マガジン」

2015-01-03 16:45:23 | 労務情報

 厚生労働省から、『厚労省人事労務マガジン』というメルマガが配信されているのはご存じだろうか。
 配信は原則として月1回、第一水曜日。法改正・助成金の案内・雇用情勢など、労務管理に必要な情報が中心の構成となっている。
 また、必要に応じて、企業での人事・労務管理上で知っておきたいトピックスをまとめたものを「別刊」として“随時配信”するものとしている。(が、別刊の方が発行頻度が高いという不思議さ)

 メルマガの内容は、厚生労働省がマスコミ発表した項目を整理した程度のものであり、厚労省サイトにはもっと詳しい解説が掲載されているので、人事の専門家にとっては、期待するほどのものではないかも知れない。
 とは言え、目的も無く厚労省サイトを定期的に巡回するのも時間の無駄であろうから、このメルマガをそのきっかけ作りとするのも賢い使い方と言える。

 ただ、このメルマガには、種々雑多な情報が含まれていることは否めず、それぞれの立場に必要なものを取捨して読み込まなければならない点には要注意だ。

 そういったことを踏まえたうえで、経営者や人事労務担当者は、情報源の一つとしてこれを活用してみても良いのではないだろうか。
 ちなみに、下記サイトからバックナンバーを読むことも可能だが、上に書いたような「きっかけ作り」としては、アドレス登録しておくことをお勧めしたい。

【参考】「人事労務マガジン」(厚労省サイト):http://merumaga.mhlw.go.jp/index.html


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