ご苦労さん労務やっぱり

労務管理に関する基礎知識や情報など。 3日・13日・23日に更新する予定です。(タイトルは事務所電話番号の語呂合わせ)

会社が認めた通勤経路上でなくても通勤災害となりうる

2014-09-23 12:19:36 | 労務情報

 消費税率が上がってからまもなく6か月、運賃改定前に駆け込みで通勤定期券を購入した人も、新運賃での定期券に切り替える時期となった。これに伴い、通勤手当を見直した会社も多いことだろう。ちなみに、通勤手当の支給額は、従業員が会社に届け出た通勤経路で計算するのが一般的だが、より安価な手段・経路がある場合に、会社がそれを指定することは差し支えないものとされる。

 ところで、労災保険法においては、「通勤」は「就業に関し、住居と就業の場所との間の移動を、合理的な経路及び方法により行うこと」(同法第7条第2項より)とされている。これに則れば、会社が(通勤手当計算のために)認めた通勤経路とは異なる経路上の事故であっても「通勤災害」として補償されることがあることは、承知しておきたい。
 中でも注意を要するのは、育児や介護に関するものだ。

 まず、育児に関するものでは、「他に子供を監護する者がいない共稼労働者が託児所、親せき宅等に子どもをあずけるためにとる経路などは、そのような立場にある労働者であれば、当然、就業のためにとらざるを得ない経路であるので、合理的な経路となる」という行政通達(S48.11.22基発644号、H3.2.1基発75号、H18.3.31基発0331042号)が出されている。つまり、例えば、従業員が保育所へ立ち寄ってから出勤する道中で事故に遭ったとしたら、仮にそれが会社と反対方向に向かっていたとしても、通勤災害となるということだ。

 介護に関しては少々複雑になる。
 要介護者の居宅に寝泊まりしているケースでは、その居宅と勤務地との往復は「通勤」としてその道中の事故は通勤災害とされる。その一方で、寝泊まりするわけでないが介護のために通勤経路を逸脱するのは、「日常生活上必要な行為」(同法施行規則第8条第5号)とされ、本来の通勤経路に戻った所からが、通勤災害の対象となる。

 なお、これらの用務のために会社へ届け出たものと異なる通勤手段(例えば自動車や自転車など)を用いていた場合も、合理的と言える範囲内での利用方法であれば、通勤災害として認められる。無論、酒酔い運転のような行為は、“合理的な通勤方法”になりえないが。


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外国人材マニュアルは日本人雇用の参考にも

2014-09-13 17:48:03 | 労務情報

 厚生労働省では、『高度外国人材活用のための実践マニュアル~活用・定着で悩んでいる方へ~』を公開している。これは、企業における高度外国人材活用促進のための参考資料として、その活用の現状と課題や本人のニーズ等をまとめたものだ。
 なお、ここで言う「高度外国人材」とは、「日本企業に雇用される外国人であって、大学・大学院(国内外を問わない)以上の最終学歴を有する者」を言い、職種でみると、研究者やエンジニア等の専門職、海外進出等を担当する営業職、法務・会計等の専門職、経営に関わる役員や管理職等が該当する。

 『マニュアル』は、
1 高度外国人材活用のメリット
2 高度外国人材のタイプとその特徴
3 活用・定着に向けてのポイント
4 Q&Aによるチェックリスト
5 参考情報
の5部構成になっている。
 中でも第3部では、高度外国人材の採用や配置の際に配慮すべき事項、日々の業務における対応、自社の将来の中核人材として育成するためのポイント等を、具体的な事例を盛り込んで、詳しく解説している。
 また、第4部のチェックリストは、「活用・定着の基本チェックリスト」と「生活面に対するチェックリスト」からなり、自社の雇用施策を再確認するツールとして使いやすく作られている。

 もっとも、このマニュアルで示唆されている事項、例えば「予め求める人材像(新卒人材か即戦力か、どの程度の日本語能力が必要か等)を設定しておく」、「自社の経営方針に対する理解、採用後の処遇について充分に説明する」、「その人の持つ専門性や技術、能力を最大限発揮させるために、戦略的な人事配置を行う」といったことは、外国人に限らず、日本人の雇用管理におきかえても通用する重要ポイントと言えそうだ。
 マニュアルは全編でも44ページほどの手頃な分量なので、現時点では外国人を雇用する予定の無い会社の人事担当者も、参考のために読んでおくと良いだろう。

【参考】厚生労働省サイト > 高度外国人材活用のための実践マニュアル(PDF:2.86KB)
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11655000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu-Gaikokujinkoyoutaisakuka/0000046327.pdf


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「早上がりするために昼休みを取らない」というのは許されるか

2014-09-03 16:38:15 | 労務情報

 例えば「始業時刻:午前9時、終業時刻:午後6時、休憩:正午~午後1時(60分)」という会社において、従業員から「昼休みも休憩を取らずに仕事をするので午後5時に退社したい」という申し出があったら、会社(上司)はそれを認めなければならないのだろうか。

 このケースでは1日の労働時間は同じ8時間なので、その申し出を認めるべき、と考える向きもあろうが、これは、認めるべきでない。「認めなくて良い」ではなくて、「認めてはいけない」のだ。
 と言うのも、労働基準法第34条は「休憩時間を労働時間の“途中”に与えなければならない」と定めているからだ。同じ労働基準法でも、第67条に定める「育児時間」は必ずしも労働時間の途中に与えなくても良いこととされているが、それとは趣旨が異なるので、混同しないように注意したい。

 では、もしこれが、「昼休みを15分短縮するのでその代わり午後5時45分に退社したい」という申し出であったら、どうだろうか。

 この場合は、労働基準法の定めは「6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を“超える”場合においては少なくとも1時間の休憩時間」となっているので、45分の休憩が確保できている限り、その申し出を認めることは差し支えない。無論、認めなければならないわけでもないので、会社の方針や業務の状況等を考慮して判断すれば良い。ただ、認める・認めないのいずれにしても、それが“前例”になってしまうことは承知しておくべきではある。

 ちなみに、法文上、休憩時間は分割して与えても良いものと解釈されている。しかし、あまりに細切れになってしまうのは、「心身の疲労を回復させる」という休憩の趣旨に反し、また、食事もとれないほどの時間では従業員が納得するとは思えない。せっかくなら、効果的に休憩を取らせるのが、会社にとっても得策と言えるだろう。


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