ご苦労さん労務やっぱり

労務管理に関する基礎知識や情報など。 3日・13日・23日に更新する予定です。(タイトルは事務所電話番号の語呂合わせ)

ストレスチェックの具体的な調査項目は?

2014-06-23 10:59:19 | 労務情報

 このほど、労働安全衛生法改正案が国会で可決成立した。
 今般の改正法の中で特筆すべきは、事業者に「労働者の心理的な負担の程度を把握するための医師・保健師等による検査(ストレスチェック)の実施」を義務付ける(ただし従業員50人未満の事業場については当分の間努力義務とする)ことだろう。

 一部の新聞は「“メンタルヘルス検査”を義務付け」と報じてしまったが、これは勇み足。今般の法改正で義務づけられるのは「高ストレス状態に該当するかの検査」であって、「メンタルヘルス検査」ではないのだ。
 これに関しては、労政審が建議(平成25年12月24日付)において、「検査の目的がストレスの状況を把握するものであり、精神疾患の発見を一義的な目的としたものではないことに留意すべきである」と、わざわざ注意喚起しているほどだ。

 ところで、厚労省は、「労働者のストレスに関する症状・不調を適切かつ簡便に確認するための標準的な項目」として、平成22年10月に独立行政法人労働安全衛生総合研究所がまとめた「ストレス簡易調査票」に示す9項目を挙げている。
 それは、
  (1)「ひどく疲れた」
  (2)「へとへとだ」
  (3)「だるい」
  (4)「気がはりつめている」
  (5)「不安だ」
  (6)「落ち着かない」
  (7)「ゆううつだ」
  (8)「何をするにも面倒だ」
  (9)「気分が晴れない」
の9問について、それぞれ4段階の程度で回答させ、ストレスの度合いを測るというものだ。
 無論、これは“例示”であって、これによる検査を実施しなければならないわけではないが、ストレスチェックを具体的にイメージするには分かりやすい材料だ。また、「ストレス」が必ずしも「メンタルヘルス不調」に直結するものではないことも、これで理解できるだろう。

 改正法は、公布後1年6か月以内に施行されることとなっている。
 趣旨を正しく理解し、誤解と偏見の無いようにしておきたい。


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「転勤要件は間接差別」改正均等則、まもなく施行

2014-06-13 08:32:40 | 労務情報

 従業員の採用や昇進にあたり、「転居を伴う転勤に応じられること」を条件にしていないだろうか。
 この「転勤要件」を設けるのは、7月からは、合理的な理由が無い限り、職種に関わりなく間接差別に該当することとなるので、注意されたい。(改正雇用機会均等法施行規則:平成25年12月24日公布;平成26年7月1日施行)

 雇用機会均等法第7条は、直接的には性別を理由としていなくても実質的に男女差別につながるおそれのある措置については、業務遂行上または雇用管理上必要である場合その他の合理的な理由がある場合でなければ講じてはならないと定めている。そして、具体的な「おそれのある措置」としては、同法施行規則第2条に、次の3つが列挙されており、その一部が今般改正されたものだ。
 1 労働者の募集・採用に当たって、労働者の身長、体重または体力を要件とするもの
 2 労働者の募集・採用、昇進または職種変更に当たって、転居を伴う転勤に応じることができることを要件とするもの
  ※「2」に関し、従来は「コース別雇用管理における『総合職』の『募集・採用』のみ」に限る措置であったが、今般の省令改正で対象が拡大された。
 3 労働者の昇進に当たって、転勤の経験があることを要件とするもの

 では、何をもって「合理的な理由」とするかは悩ましいところだが、「3」に関しては、従来から、「生産現場の業務を経験すること、地域の特殊性を経験すること等が幹部としての能力の育成・確保に特に必要である場合」または「組織運営上、転居を伴う転勤を含む人事ローテーションが特に必要である場合」には転勤経験を要件とすることが是認されてきたので、「2」に関しても、これが準用されるものと思われる。

 なお、ここで指摘されているのは、「採用や昇進等の要件として転勤を求めること」であって、会社が転勤命令を出せなくなるという話ではない。業務上必要であるなら、それこそ性別に関係なく、転勤を命じるべきだ。


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一読の価値あり『ポジティブアクションメッセージ集』

2014-06-03 21:06:46 | 労務情報

 6月は、厚生労働省が主唱する男女雇用機会均等月間となっている。第29回目を迎える今年は、「踏みだそう ポジティブ・アクション! ~男女ともに力を発揮する企業が未来を担う~」をテーマに、主に「ポジティブアクションの促進」に重点を置いて展開することとしている。
 「ポジティブアクション」とは、固定的な男女の役割分担意識や過去の経緯から男女間に生じている事実上の格差の解消を目指して、採用・職域拡大・管理職登用等において、女性のみを対象とする、または女性を有利に取り扱う取組みをいう。

 ポジティブアクションに関しては、厚労省の『ポジティブアクションメッセージ集』が秀逸なので、ここで紹介しておきたい。
 これは、平成24年3月に、ポジティブアクションに取り組んでいる企業の実例を、『I. 企業向けメッセージ集』と『II. 女性社員向けヒント集』との2分冊の形でまとめ、ウェブサイト上に公開したもの。

 『I. 企業向けメッセージ集』は、女性を活用している企業14社の経営者へのインタビューを中心に、「ポジティブアクション・チェックシート」等が盛り込まれている。
 『II. 女性社員向けヒント集』は、管理職や専門職として活躍している女性たちからのメッセージを掲載し、「仕事に対する姿勢チェックシート」で自己分析をさせて、将来のキャリアビジョンが描けず不安を抱える女性などに向けてステップアップへのヒントを与えるという構成になっている。

 どちらも、現場の“生の声”を取り上げているので、具体的なイメージが湧き、参考になりそうだ。経営者・労働者いずれの立場でも、一読しておく価値があるだろう。

【参考】 厚生労働省サイト > ポジティブアクションメッセージ集


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