ご苦労さん労務やっぱり

労務管理に関する基礎知識や情報など。 3日・13日・23日に更新する予定です。(タイトルは事務所電話番号の語呂合わせ)

入社前研修は原則として労災の適用対象外だが…

2021-02-23 13:59:26 | 労務情報

 この時期、今春入社予定の採用内定者を集合させて研修を行う企業もあると思うが、彼らは一般の従業員とは異なり、原則として労災保険の適用を受けない。
 もしも彼らが入社前研修中に負傷した場合は、労災保険からの給付が受けられない一方で、事故原因に企業の過失が含まれていたなら、民事上の損害賠償責任は発生する…‥

※この続きは、『実務に即した人事トラブル防止の秘訣集』でお読みください。

  

退職金の分割払いは許されるか

2021-02-13 11:59:16 | 労務情報

 この状況下、従業員の退職(解雇を含む)にあたって「退職金が支払えない」という経営者の声を聞くことが多くなってきた。

 しかし、就業規則等に退職金を支払う旨の規定が明文化されている場合は言うに及ばず、明文規定が無い場合であっても慣行的に退職金を支払ってきたなら(民法第92条にいう「慣習」があったなら)、「支払わない」という選択肢はありえない。
 懲戒解雇のケースですら、「労働者の永年の勤続の功を抹消してしまうほどの重大な背信行為がない限り退職金の不支給は許されない」とする裁判例(名古屋地判S47.4.28、東京高判H15.12.11等)があるくらいだ。

 また、「減額して支払う」のも、「退職金支払い債務の不完全履行」になってしまう。
 就業規則を変更して退職金の計算式を変えるという(小手先の)方策も考えられないではないが、まず労働契約法第10条に列挙された要件を満たすのはハードルが高いうえ、そもそも、法的に義務づけられていない退職金制度を導入した当初の趣旨が薄まりかねないので、ここで戦術の一つとして性急に用いるべきではない。

 では、「分割払い」は許されるかというと、これも、就業規則等に定められた支払い期日までに全額を支払わなければ「履行遅滞」ということになる。
 ちなみに、就業規則等に支払い期日の定めが無い場合は(支払期日を定めていないこと自体が労働基準法第89条違反であるが)、労働基準法第23条が適用され、請求された日から7日以内に支払わなければならない(大阪地判S60.12.23)。

 しかし、そうは言っても、会社の資金繰り事情から一時金で支払うのが難しいのであれば、それを退職者に真摯に説明し、分割払いを了解してもらうしかあるまい。
 「分割払い」でなく「支払いの延期」でも、両当事者が同意していれば可能なのは同じだが、退職者にしてみれば本当に支払ってもらえるかの不安がぬぐえない「支払いの延期」よりも、支払いの意思が見える「分割払い」の方が、同意しやすいだろう。
 なお、説得にあたっては、そこに詐欺や強迫があってはならず、あくまで“お願い”の姿勢を貫かなければならない。

 そして、了解を得られたなら、必ず「同意書」を交わしておくべきだろう。
 これは、退職者が分割払いに同意したことの証拠であるが、それ以上に、退職者を安心させる材料でもあって、後のトラブルに発展させにくくすることが期待できるからだ。


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内部告発者を懲戒するのは?

2021-02-03 10:59:08 | 労務情報

 会社の不祥事が、内部告発により明るみに出ることがある。
 告発された会社としては非常に困るかも知れないが、それが正当な“公益通報”であった場合には、情報を外部に提供した従業員を「会社の機密を漏洩した」(多くの会社が就業規則で制裁事由の一つに入れている)として解雇等の制裁を課すことは許されないので、注意しておきたい。

 公益通報者保護法では、以下のケースにあてはまる場合には、通報したことを理由とする解雇を無効とし、降格や減給等の不利益取扱いも禁じている。
  1.通報対象事実が、“公益”に関るものであること
   (私利・私益・私怨に因るものは対象外)
  2.通報先が、監督官庁等(公益を守り被害の拡大を防止できる機関)であること
   (競合他社への情報漏洩やネット掲示板への投稿等は対象外)
  3.不正の目的(不正の利益を得る、他人に損害を加える等)でないこと

 なお、例えば「機密書類を会社に無断で複写して持ち出す」といった行為を…‥

※この続きは、『実務に即した人事トラブル防止の秘訣集』でお読みください。

  

しなかった残業分の残業代は支払わなくてよいのか

2021-01-23 13:50:16 | 労務情報
 今(令和3年1月23日現在)は11都府県に緊急事態宣言が出されていることもあって、また、緊急事態宣言発出と関係なく急激な経済活動の縮小に伴って、多くの会社で労働時間(特に残業時間)が短縮されている。

 ところで、会社が一方的に残業を減らすのは、法的に問題ないのだろうか。
 なぜ突然こんな問いを呈したかというと、労働時間が短くなるのは労使双方にとって望ましいことと思いきや、一部の労働者からは「残業が減る」=「収入が減る」という不満の声も上がっているからだ。

 結論を先に言うと、会社が一方的に残業を減らすこと自体は、法的に問題ない。
 そもそも残業は、会社が命じるものであって、残業させるもさせないも会社が決めることだからだ。

 しかし、意外に思われるかも知れないが、やらなかった残業について残業代を支払わないことが問題となる場合もあるので、注意を要する。
 典型的なのは「月〇時間の残業があるものとして月額〇万円を支払う」といった「固定残業代」(「定額残業代」「みなし残業代」とも呼ばれる)を組んでいるケースだ。 この契約では「残業時間の多寡にかかわらず一定額の残業代を支払う」と約束しているのだから、残業を減らしても固定残業代を減額することはできない。
 また、労使ともに「残業するのが当然」という意識を持つ職場では、労働契約(雇用契約書や就業規則等)に明文規定が無くても、そのような労使慣行があったとみなされる可能性がある(民法第92条)。 そうなると、会社(債権者)は残業を減らすこと(債務の免除)はできても賃金支払い(反対給付の履行)を拒むことはできない(民法第536条第2項)。

 これらのケースにおいて、働かなかった分の残業代を支払わないこととするには、現状に即した内容での労働契約を締結し直すしか無い。
 基本的には、新たな労働条件での雇用契約書を、該当者全員と個別に交わすことを考えたい。 それが、最も確実で、後々のトラブルにもなりにくいからだ。
 労働契約法第10条は就業規則の変更により会社が一方的に労働条件を変更することを認めてはいるが、これを適用するにはハードルが高い。
 また、どうであれ従業員に対して丁寧に説明しなければならないのは同じなので、会社の規模にもよるところではあるが、やはり個別同意を得るのを第一に考え、就業規則の変更は「個別同意した労働条件の再確認」または「一部の者が同意しない場合の最後の手段」くらいに認識しておくべきだろう。


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パートにも年次有給休暇を与えていますか

2021-01-13 11:07:45 | 労務情報

 労働組合が、正社員ばかりでなく、パートタイマーや派遣労働者など非正規労働者の待遇改善を柱の一つに据えることとして、久しい。中でも、「非正規労働者に関するコンプライアンスの徹底」は大きな要求事項の一つだ。
 確かに、非正規労働者に関する事業主のコンプライアンス(遵法意識)が、正規労働者に関するそれと比較して総じて低いのは、残念ながら事実と言えよう。

 具体的には、パートタイマーへの年次有給休暇(所定労働日数に応じた比例付与)が分かりやすい例だろう。「パートには有休は無い」との誤解がまかり通っているし、パートにも有休が付与されることを知識としては知っていても「パートには有休は取らせない」と公言して憚らない経営者も…‥

※この続きは、『実務に即した人事トラブル防止の秘訣集』でお読みください。

  

企業が講じるべき新型コロナウイルス対策

2021-01-03 17:59:09 | 労務情報

明けましておめでとうございます。
本日掲載するのは、昨年2月に執筆したものの、事情が急変し、当ブログに掲載しそこねてしまった記事です。
現状の新型コロナ対策としてはふさわしくありませんが、
その時点では適切なアドバイスであったと今も確信しておりますし、
将来、同様の事態が起きた時の参考としても、ウェブ上に残しておきたいと思いました。
この点をご理解のうえでお読みいただければ幸いです。
本年もよろしくお願いいたします。


 新型コロナウイルス感染症が、指定感染症として定められた。厚生労働省の発表(令和2年2月7日)によれば、国内では25人の感染が確認されている。
 これを受けて、民間企業(医療機関等を除く)は、どのような対策を講じるべきだろうか。

 まず、従業員全員に向けては、一般的な感染症対策と同様、「手洗い・うがい・咳エチケットの徹底」を呼び掛けておきたい。
 この呼び掛けは、もちろんこれらの実施により職場で感染症が蔓延しないようにすることが目的なのだが、会社が従業員の健康を気遣っているとアピールすることにも大きな意味がある。

 これに加えて今般の問題に特有の対策として、潜伏期間と言われる14日以内に湖北省に滞在していた従業員や湖北省滞在者と濃厚接触した従業員については、保健所に連絡したうえで対応できる医療機関で受診させるべきだ。
 その結果、感染していることが確認されたら、感染症法により都道府県知事から就業制限を受けることになる。この場合、就労しなかった日については、「ノーワーク・ノーペイの原則」により、特約の無い限り、無給で差し支えない。

 対応が難しいのは、「感染の疑いがある」という者(例えば、家族が湖北省滞在者と濃厚接触していた従業員など)だ。
 こういう者に関しては、本人が「休みたい」と言っているなら欠勤としてもよいし、本人の希望または労使協定に基づく計画付与によって有給休暇を取らせることとしてもよい。
 その一方、本人が就労を希望しているのに会社がそれを拒否するなら、「使用者の責めに帰すべき事由による休業」ということになり、原則として通常の賃金を、特約(就業規則を含む労働契約における定め)があっても6割以上の休業手当を、支払わなければならない。とは言っても、他の従業員に感染させてしまうリスクを考えれば、このような従業員は出勤させないのが得策だろう。
 また、実際に感染・発症した者が無理してでも出勤しようとするのを防ぐためにも、こうした場合の賃金や休業手当の支払いを惜しむべきではない。

 なお、在宅勤務が可能な業態であれば、そうするのが、本人と会社の双方が納得できる結果となろう。
 あるいは、在宅勤務の導入を検討中の企業では、テスト実施してみる良いきっかけとなりうるかも知れない。

 現時点(令和2年2月7日)では政府は「流行が認められている状況ではない」としているが、油断は禁物だ。
 必要以上に騒ぎ立ててもいけないが、打てる策は打っておくべきだろう。

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年金制度の改正(短時間労働者の社会保険適用拡大)について

2020-12-23 10:10:14 | 労務情報

 新型コロナ禍の渦中にあってあまり話題に上っていなかったが、第201回通常国会において「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が可決・成立し、令和2年6月5日に公布されている。
 今般の年金制度改正は、次の4点を大きな柱としている。
  1.被用者保険の適用範囲を拡大する (詳細は後述)
  2.在職老齢年金の支給停止額を47万円に統一し、支給額を毎年改定する
  3.老齢年金受給開始時期を75歳まで繰り下げ可能とする(現行は70歳まで)
  4.確定拠出年金の加入可能要件の見直し等

 さて、1点目の「被用者保険の適用範囲拡大」の諸施策中には、「個人事業」や「国・地方公共団体等」に関するものも含まれているが、民間企業に最も影響を与えそうなのは、何と言っても「短時間労働者への適用拡大」だろう。
 短時間労働者(労働時間が一般就労者の4分の3未満の者)は、現行制度では、以下の5要件を満たした場合に、健康保険および厚生年金保険の被保険者となることになっている。
  (1) 常時500人を超える被保険者を雇用する企業(または労使間で社会保険加入の同意が得られている500人以下の企業もしくは国・地方公共団体)に勤務している
  (2) 1年以上の雇用が見込まれる
  (3) 賃金の月額が8万8千円以上
  (4) 所定労働時間が週20時間以上
  (5) 学生でない
 これらのうち(1)の「500人を超える」について、今般の法改正で、令和4年10月からは「100人を超える」に、令和6年10月からは「50人を超える」に、対象を拡大することとされた。
 また、(2)の要件は撤廃され、一般就労者と同様(原則として2か月を超える雇用)となる。なお、(3)・(4)・(5)は、今回は「現状維持」とされた。
【参照】 厚生労働省>「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律案の概要」
  → https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/000636611.pdf

 各企業では、「同一労働同一賃金」(大企業は令和2年4月より施行済;中小企業は令和3年4月より施行)に加えてこの改正があり、パートタイマーの雇い方や業務配分について組み立て直さなければならなくなったと言える。
 必ずしも月給制にする必要はないし、短時間労働であるがゆえに負うべき責任の重さが正規職員と異なることには問題がないが、少なくとも、「安価な労働力」としてパートタイマーを雇うことはできなくなったと考えるべきだろう。


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退職理由に戸惑わない

2020-12-13 23:52:15 | 労務情報

 年末が近づき、新天地を求めるべく退職しようとする人がいるかも知れない。

 さて、従業員から退職の申し出が有ったら、(慰留するつもりが無ければ)必ず「退職願」を提出させてほしい。書面によって退職の意思を本人も会社も再確認するとともに、会社にとっては、後日「不当に解雇された」と訴えられた場合に「従業員側に退職の意思が有った」と抗弁できる材料ともなるからだ。
 所定様式での「退職届」を提出することになっている会社もあるだろうが、それが「退職手続きに必要な事務書類」との意味合いのものであったなら、「従業員が本心から退職を希望していた」と主張するには弱い…‥

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新型コロナにまつわる職場内ハラスメントについて

2020-12-03 13:59:21 | 労務情報
 今は、どの会社も例外なく新型コロナウイルス感染症対策に取り組んでいるだろうが、ウイルスよりも、むしろ人間のほうが人間に危害を加えているように思えなくもない場面もあるようだ。
 例えば、
  a. 妻が病院に勤務しているという理由で休業を命じられた
  b. 心臓の手術から退院して出社したら職場で仲間外れにされた
  c. (特に小売店従業員や配達員等が)顧客から暴言を浴びることが(時として暴行を受けることも)ある
といった事案(いずれも筆者の身近で起きた実例)を見聞きする。
 ちなみに、これらを「コロナ・ハラスメント」とか略して「コロハラ」などと呼ぶメディアもあるが、いずれもまだ定着していない“新語”の部類に入るだろう。

 さて、用語の問題はともかく、こうしたことが職場で起きていたら、それは「ハラスメント」には違いないので、会社はこういった状況を放置してはならない。

 実は、上に挙げた3例は、それぞれ意味合いとその対処法が異なる。

 まず、「a」は、会社(経営者や上司)がハラスメントの直接の加害者になってしまうタイプだ。
 これが、例えば「妻が新型コロナウイルスに感染した」という理由で休業させたのなら合理性のある適切な業務命令とも言えそうだが、憶測や思い込みで判断するのは不適切だ。
 また、会社が加害者になってしまうケースとしては、リモートワークに関して「上司が部下の私生活に必要以上に干渉する」という例も挙げられる。
 会社としてこうしたことが起きないよう、日ごろからハラスメントに関する管理職研修や職場内啓発活動を徹底しておきたい。

 次に「b」は、職場内で「あの人は感染者だ」というような噂が流れている可能性がある。
 会社の関知しない部分もあろうが、少なくとも本人から申し立てがあったら、会社は状況を正しく把握し、もし誤解に基づくものであれば、それを解くように動くべきだ。以前から仲の良かった同僚を介してインフォーマルなコミュニケーションを用いるのも、一策だろう。

 そして「c」は、いわゆる「カスタマー・ハラスメント」であり、これも会社は放置しておいてはならない。
 もっとも顧客からの暴言自体は(暴行すら軽いものは)大事にはできないが、上司から労いの声掛けをするとか、負担の程度に応じて手当を支給するとか、あまりにひどい場合は配置転換も視野に入れた対処を考えるべきだろう。

 新型コロナの問題にかまけてあまり意識されていない(知っていながらとぼけている?)節もあるが、この6月1日から(中小企業は令和4年4月1日から)、労働施策総合推進法により、会社には、職場におけるパワーハラスメント防止のための措置が義務づけられた。
 会社が加害者になるのは論外としても、職場内のハラスメントをなくし、働きやすい環境を整えることが求められている。


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支給日前に退職した者にも賞与を支給する?

2020-11-23 19:51:42 | 労務情報

 多くの会社では、この時期、冬の賞与について(支給するにしてもしないにしても)頭を悩ませていることと思う。

 ところで、賞与は、支給日前に退職した者に対しても支給することにしているだろうか。
 支給日時点で在職していない者には賞与を支給しないのが当然だと思い込んでいる会社(人事担当者)も多そうだが、実は、それが必ずしも正しいわけではない。

 賞与は、その意義として…‥

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