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ご苦労さん労務やっぱり

労務管理に関する基礎知識や情報など。 3日・13日・23日に更新する予定です。(タイトルは事務所電話番号の語呂合わせ)

gooブログ終了のお知らせ

2025-09-03 14:27:07 | 労務情報

当ブログ『ご苦労さん労務やっぱり』は、
2010年3月3日から15年半にわたり書いてきましたが、
このたび、gooブログがサービス終了するのに伴い、
本日をもって、更新しないこととします。

これまで書き溜めた記事(557本)は、
『「ご苦労さん労務やっぱり」アメブロ版』(https://ameblo.jp/kzknd010101/)に
引っ越しましたので、そちらをご覧ください。
ただし、これはgooブログに掲載した記事をそのままコピーしたものですので、
情報が古くなっている可能性があることにご注意願います。

今後は、
『「ご苦労さん労務やっぱり」livedoor版』(https://kzknd010101.livedoor.blog/
(こちらは今後も随時更新していく予定です)
をご高覧いただければ幸いです。

これまで永い間お世話になりました。
ありがとうございました。



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仕事上のミスを理由に懲戒解雇は可能か?

2025-08-23 13:40:20 | 労務情報

 人は誰しもミスをするものだ。
 しかし、そんなことは先刻承知でも、それが重大なミスだったりすると、経営者としてはその従業員に辞めてもらいたくもなる。
 その気持ちも分からないではないが、短気を起こしていきなり解雇してしまうと、トラブルとなり、結果的に会社が有形無形の損害を被ることにもなりかねない。そういう場面でこそ、経営者として、冷静かつ慎重な対応が求められるのだ。

 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められなければ、無効だ(労働契約法第16条)。これは、普通解雇に限らず、懲戒解雇であっても適用される。
 そのため、いくら重大なミスであっても、以下のようなケースでは、解雇するのは難しい…‥

※この続きは、『実務に即した人事トラブル防止の秘訣集』でお読みください。

  

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「暑気払い」の労働時間性について

2025-08-13 15:00:37 | 労務情報

 ここ数年はコロナ禍もあって、めっきり減った印象だが、それでも、慣例的に「暑気払い」あるいは「夏の納会」といった行事を催している会社もある。

 ところで、会社行事としての「暑気払い」は、労働時間として扱うべきなのだろうか。

 これは、会合に参加することが業務命令によるものであったかどうか、という基準で判断するのが妥当だ。
 例えば、それが取引先を接待する目的の会合であって、会社(上司)が出席を命じた(黙示の命令を含む)なら、これは業務であり、労働時間として扱うことになる。 労働時間である以上、それに応じた賃金を支払わなければならないし、万が一、出席した従業員が会合の場で負傷したなら、それは労災事故(業務災害)となり、会社の責任を問われる可能性もある。

 一方、その会合が職場内の親睦を深めることが目的で参加を強制されないものなら、ほとんどのケースで業務性は無いと言えそうだ。
 ただし、会合の目的や出席者の職位や参加した時間(飲酒の程度)によっては、業務として扱うべきケースもある。
 飲酒後の帰宅途上での事故(通勤災害事案)について、「職場の問題点等について懇談し業務の円滑な遂行を確保することを目的とした会合に“主催部局の統括者”として出席したことは“始まってから2時間程度”は業務と認めるのが相当」とされた事例(東京高判H20.06.25※)も参考にしたい。
 ※)ちなみに、この事件では、その業務性は午後7時頃には終わっていたところ事故発生は午後10時30分頃であったため通勤災害と認定することはできない、と判じられている。

 とは言うものの、取引先と飲むのであれ同僚と飲むのであれ、泥酔して周囲に迷惑を掛けたり、飲酒運転などの反社会的行為をしたりすることまで業務であるはずもなく、また、会社はそういったことを許してはならない。
 「節度ある飲酒」を啓発する機会として「暑気払い」を活用するのも悪くないだろう。


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労災保険料メリット制の問題点

2025-08-03 12:03:55 | 労務情報

 労働者災害補償保険(以下、「労災保険」と略す)の保険料算出方法には、業務災害発生の有無により保険率を原則±40%の範囲内で増減させる「メリット制」という仕組みがある。
 これは一定規模以上(継続事業の場合、「労働者100人以上」または「労働者20人以上かつ災害度係数0.4以上」)の事業場を対象とするもので、令和5年度は、約11万事業場(全事業場の4%)、3563万人(全労働者の59%)がこれの適用を受けている。 ちなみに、7万余りの事業場が保険率の下限(-40%)を適用されており、これは全適用事業場の48.1%を占める。

 メリット制は、適用事業場に労災事故抑止のインセンティブとして働くとされる一方、さまざまな弊害も散見されている。

 まず、「労災隠し」の問題が挙げられよう。
 そもそも労災事故が発生した際には、労働基準法第8章は使用者が補償するのが基本としており、労災保険を使うかどうかは任意だ。 しかし、労災保険を使うにしても使わないにしても管轄労働基準監督署へ『労働者死傷病報告』を出さなければならない(労働安全衛生規則第97条)ところ、労災保険を利用しない場合には、この義務を怠りがちになる。 これが「労災隠し」と呼ばれる“犯罪”であり、メリット制がそれを助長していると識者から指摘されている。

 また、高齢者や障がい者は労災事故を起こしやすいため、これらの層の雇い控えにつながっていることも否めない。
 同じことは外国人についても言えるが、高齢者・障がい者は、雇用の促進が国の政策として進められているだけに、悩ましい問題だ。

 さらには、昨今、脳・心臓疾患や精神障害についても労災が認められやすくなったことも、この議論に拍車をかけている。
 というのも、これらの疾病は、事故による負傷とは性格が異なり、会社がどのように防止すればよいのか具体的な方策が見えにくく、また、企業努力にも限界があるからだ。 なお、「労災給付に係る行政訴訟について雇い主の原告適格を認めない」とした判例(最一判R6.7.4)も参考にしたい。

 しかし、こうした問題点はあるものの、今すぐメリット制を廃止する論には直結しないだろう。
 メリット制が労災事故防止に一定の役割を果たしているのは事実であるし、労災保険率は業種ごとの労災補償の収支により算出されるところ、メリット制が無いと、同業種の中で労災防止に努めている会社が労災事故を起こした会社のために保険料額が増加してしまうという不公平を生じることにもなる。

 厚生労働省に設けられた「労災保険制度の在り方に関する研究会」は先ごろ『中間報告書』を取りまとめたが、その中で「メリット制」については「引き続き議論を行うことが必要」とするにとどまり、結論には至らなかった。 今後の議論の行方を注視していたい。


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給与振込に関する同意は取れていますか

2025-07-23 13:59:56 | 労務情報

 給与は、その全額を直接通貨で支払わなければならない。「通貨」すなわち「現金」で支払うことを労働基準法は求めているのだ。しかし現実には、銀行振込により給与を支払っている会社は多いが、労基法上それは例外扱いであって、労働者の同意(労働協約または個別同意)が有って初めて銀行振込が可能になると解される。

 さて、この「同意」は、労働協約なら必ず書面をもって締結されるが、個別同意なら口頭でも良いことになっている。しかし、トラブルになったときのことを考えれば、個別同意も書面に残しておくのが望ましいだろう。
 まれに「預金通帳のコピーの提出」をもって同意の意思表示とみなしている会社も見かけるが、コピーを提出しただけで「同意した」と読み取るには無理がある。せめて、その余白にでも「給与振込先はこちらです」ぐらいは本人に自筆させておきたい…‥

※この続きは、『実務に即した人事トラブル防止の秘訣集』でお読みください。

  


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今こそ人材育成は国を挙げての重要課題

2025-07-13 13:38:25 | 労務情報

 先ごろ厚生労働省が公表した『労働政策審議会労働政策基本部会 報告書 ~急速に変化する社会における、地方や中小企業での良質な雇用の在り方~』は、企業向けに次の5つを提言している。
 これらは、地方や中小企業のみならず大企業にも当てはまりそうだ。
  1.AIの積極的な導入やDX化による業務効率化の推進
  2.人材育成のために経営ビジョンを明確に
  3.労働者のニーズに合わせた柔軟な働き方の導入
  4.専門人材獲得のために副業・兼業を選択肢として検討
  5.「自社を幅広く知ってもらう」ことを考える
 中でも「2」の「人材育成」に(その背景として「1」も)関しては、同報告書が労働者に向けても「スキルの見える化」・「リスキリング」・「キャリア形成」を推奨しており、また、地方公共団体に向けてもこれを後押しするよう注文を付けており、国を挙げて取り組むべき重要課題であることを示している。

 ところで、この4月から、自己都合離職者が離職前1年以内または離職後に「リスキリングのための教育訓練」を受けた場合には、給付制限なく失業給付(基本手当)を受けられるようになった。
 これも、国によるリスキリング推進政策の一環と言える。

 また、今年10月からは、「教育訓練休暇給付金」が創設される。 これは、会社の制度として設けられた(就業規則に規定された)教育訓練休暇を取得した労働者に対して、失業給付の基本手当と同じように計算され支給されるものだ。
 ただ、この給付金を受けると、それ以前の雇用保険被保険者期間は原則としてリセットされる(失業給付を受けるのと同じ取り扱い)ことには注意を要する。 もっとも、この点については、労働政策審議会においても問題視する意見が出されているので施行前に省令が改正される可能性はある。

 一方、会社としても、従業員の能力開発(従来型のアップスキリングに加え、DX化を念頭に置いたリスキリング、あるいはアンラーニング・リラーニング等)を図るための対応を進めていきたいところだ。
 上述の教育訓練休暇制度の導入も選択肢の一つであるが、人材開発支援助成金(①教育訓練休暇等付与コース、②人材育成支援コース、③人への投資促進コース、④事業展開等リスキリング支援コース)の活用を考えてもよいだろう。


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雇用仲介事業者への規制が強化されました

2025-07-03 08:00:04 | 労務情報

 職業紹介事業者(職業安定法第4条第1項)と募集情報等提供事業者(同第6項)(これらは「雇用仲介事業者」と総称される)に対する規制が、この4月から強化された。

 その規制について説明する前に、両者の違いを簡単にまとめておく。
 「職業紹介事業者」は、求人者に対して求職者を“紹介”するもので、有料であれ無料であれ許可制(ただし学校や商工会議所等は届出制、地方公共団体は通知制)となっている。
 もう1つの「募集情報等提供事業者」は、求人者から委託を受けて求職者(または別の仲介業者)へ求人情報を(多くはインターネットを介して)提供するもので、届出制となっている。

 さて、昨今、これらの利用者(求人者・求職者とも)が法外な違約金等を請求されるトラブルが相次いていることから、厚生労働省は、雇用仲介事業者に対して、違約金規約を設けている場合は、「違約金の額」・「違約金が発生する条件および解除方法」を含む契約の内容について明示するべきこととした(令和6年厚生労働省告示第318号)。
 ここで言う「明示」とは、「ホームページの該当箇所を示す」・「ホームページ上で規約をスクロールで読ませて同意ボタンを押させる」といったことでは足りず、書面を郵送・電子メールでの送付などにより利用者(求人者や求職者)が“再読できる状態”にしなければならない。

 併せて、募集情報等提供事業者に対しては、労働者(求職者)に「お祝い金」などの金銭やギフト券等(社会通念上相当と認められる程度を超えるもの)を提供することを禁止した(上述と同じ厚生労働省告示)。 この規制は、職業紹介事業者に対しては既に令和3年4月から施行されているものであり、それを今般、募集情報等提供事業者にも拡大した形だ。
 こうした措置が講じられた背景には、業者Aと業者Bとが同一の求人情報を提供したケースにおいて、業者Aを利用した求職者が「お祝い金」目当てに業者Bへ就職報告し、そのために業者Aから違約金を請求されるといった事件が頻発していることがある。

 さらに、職業紹介事業者に対しては、紹介手数料の実績(上位5職種について就職1件あたりの平均手数料率)を公開するべきことが義務づけられた(職業安定法施行規則第24条の8第3項第4号)。
 具体的には、「前年度中に徴収した紹介手数料の総額を求職者の予定年収の総額で除した率」を、厚生労働省の運営する「人材サービス総合サイト」に掲載しなければならない。

 これらの規制は、雇用仲介事業者のみならず、求人者や求職者もこれを踏まえた対応を求められることになるので、求人市場に関わるすべての者に影響すると認識しておきたい。


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セクハラ事案をトラブルに発展させない

2025-06-23 08:59:55 | 労務情報

 セクシャルハラスメントの相談を受けた時に、対応を誤ったばかりに却ってトラブルを大きくしてしまう事例が後を絶たない。

 最もまずいのが「無かったことにする」という対処だ。 特に相談者に対して「我慢しなさい」と要求したり、まして「あなたの方が悪い」と責めたりするのは、会社に対する不信感を募らせるばかりで何ら得るものが無い。
 その一方で、「過剰に反応する」のも考え物である。 その時の状況を根掘り葉掘り尋ねられたり、人事に相談した事が直属の上司に知れてしまったりすることで、相談者がより深く傷つく可能性があることを理解しなければならない(こういった二次被害を「セカンドハラスメント」とも呼ぶ)…‥

※この続きは、『実務に即した人事トラブル防止の秘訣集』でお読みください。

  

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時間単位年休に関する誤解

2025-06-13 08:49:20 | 労務情報

 労働基準法第39条に定める年次有給休暇(以下、「年休」と略す)は、1日単位で取るのが原則だが、労使協定を締結することにより、時間単位で取れるようになる。 この制度(以下、「時間単位年休」と称する)を導入すれば、年休が取得しやすくなって、従業員のロイヤリティが高まり、会社のイメージアップも期待できる。
 時間単位年休を導入している企業は、令和4年時点で25.9%に上っているそうだ。
 【参考】厚生労働省 > 第2回労働基準関係法制研究会資料より

 しかし、これに関しては、いろいろ注意を要する点もある。
 まず、時間単位年休の対象となる日数は、「年5日“以内”」とされている。 「5日」でなければならないものでなく、例えば「1日」だけを対象とするのでもよい。
 また、必ずしも「1時間」を単位とすることまでは求められていない。 「2時間単位」や「3時間単位」とすることも考えられる。 ただし、「分単位」とすることは認められない。
 加えて、年の途中で1日あたりの所定労働時間数が増減した場合、それに連動して時間単位年休を取得できる時間数が増減することも要注意ポイントだ。
 上記の調査結果を読む際にも、これらを念頭に置いておかなければならない。

 それから、「時間単位年休を請求されたら会社は時季変更権を行使できない」と思い込んでいる向きが(労使どちらにも)見受けられる。 しかし、それはまったくの誤解だ。
 会社は事業の正常な運営を妨げる場合は請求された年休の時季を変更することができる(同法同条第5項ただし書き)が、これは時間単位年休の請求に対しても有効だ。
 ただ、1日休まれるより事業への支障は出にくいだろうし、そもそも時季変更権を行使できるのがごく限られたケースなので、時間単位年休に対して時季変更権を行使するのが難しいのは確かだ。

 ところで、従来から「半休」を認めてきた会社も多いだろう。 これは、法令上の規定は無いものの年休取得促進の観点から、本人が希望し会社が同意した場合には、年休を半日単位で取得しても問題ないものとして取り扱われてきたものだ(H30.9.7基発0907第1号)。 この「半休」の制度が就業規則等に定められていたり労使慣行として定着していたりしたら、時間単位年休を採用したからといって、当然に無効となるわけではない。
 関連して言えば、会社は年10日以上の年休を有する者には5日以上を取得させなければならない(同法同条第7項;平成30年の法改正で新設)ところ、半休は「0.5日」としてカウントできるが、時間単位年休はこの日数に含まれない(H30.12.28基発1228第15号)。 これも覚えておきたい。


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募集要項と異なる労働条件で雇い入れることは許されるか

2025-06-03 09:00:13 | 労務情報

 6月1日から2026年大卒採用選考が解禁されたとか。
 もっとも、既に半数を超える学生が内定を得ているとの調査もある。

 ところで、従業員の採用(新卒採用だけでなく中途採用を含む)にあたって、学校の就職課やハローワークや求人サイト等に掲出した募集要項とは異なる労働条件で雇い入れたいこともあるかも知れない。
 会社の業績が急に悪化してしまった、応募者の能力や経験が会社の期待するほどではなかったなどの理由で、労働条件を変更(例:賃金額を下げる、短時間労働とする、契約期間を短くする等)したいといったケースだ。

 これについては、「求人は労働契約申込みの誘引(ママ)であり、求人票はそのための文書であるから‥本来そのまま最終の契約条項になることを予定するものでない」(東京高判S58.12.19)という裁判例の一部を引いて、「募集要項と異なる労働条件で雇い入れても問題ない」と考える向きもある。
 しかし、正しくは「事情によっては条件を変更することが許される」と解釈するべきで、やはり「募集要項と同じ労働条件で雇い入れる」のが原則と言える。

 さて、募集要項に記載した労働条件を変更する場合は、その旨を応募者に明示しなければならない(職業安定法第5条の3第3項)。
 そして、その明示は、変更が確定したら可能な限り速やかに行いたい。
 これに関しては、既に前職を退職した採用内定者が署名押印した労働条件通知書の効力を否認する裁判例(京都地判H29.3.30)が参考になるだろう。 この判決では、「求人票記載の労働条件は、当事者間においてこれと異なる別段の合意をするなどの特段の事情の無い限り、雇用契約の内容となる」「当該行為がされるに至った経緯及びその態様、当該行為に先立つ労働者への情報提供又は説明の内容に照らして、当該行為が労働者の自由意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点からも、判断されるべき」としたうえで「本件労働条件通知書に、Xが署名押印した行為は、その自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するとは認められない」としている。

 また、正しい手続きを踏んだとしても、安易には条件変更するべきではない。
 先に挙げた東京高裁の判決も、「いわゆる石油ショックによる経済上の変動により、求人票に記載した条件で雇用できなくなった」という背景を汲んだものであり、「求人者はみだりに求人票記載の見込額を著しく下回る額で賃金を確定すべきでないことは、信義則からみて明らかである」とも明言している。 条件を変更するには、それなりの合理的な理由が必要ということだ。

 この話は、よく「小売店のチラシと実売額の相違」に例えられる。
 たしかに売買契約はチラシ掲載の価格でなく実際に売り場で提示された価格で成立する。 と言って、チラシと異なるのが当然と考えてはならないし、そういうことが頻繁にあれば、店の信用失墜にもつながりかねない。

 なお、そもそも募集要項に虚偽の内容を掲載したら六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処せられる可能性がある(職業安定法第65条第8号・第9号)ことも覚えておきたい。


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