ご苦労さん労務やっぱり

労務管理に関する基礎知識や情報など。 3日・13日・23日に更新する予定です。(タイトルは事務所電話番号の語呂合わせ)

営業秘密は厳正に管理されていますか

2022-10-23 21:59:03 | 労務情報

 自社のものか他社のものかを問わず“営業秘密”を不正に取得したら、10年以下の懲役または1千万円以下の罰金に処せられることがある。(不正競争防止法第21条第1項)
 従来は「不正競争の目的を持って取得した場合」のみ刑事罰の対象だったが、平成21年の法改正により、目的がどうであれ、不正な方法(詐欺、施設への侵入、不正アクセス等)により取得したことをもって摘発の対象となった。 これは、外為法の改正とあいまって、わが国の技術情報が国外へ不正に流出するのを防ぐことに主眼を置いたものではあったが、国内の競合関係にも例外なく適用されている…‥

※この続きは、『実務に即した人事トラブル防止の秘訣集』でお読みください。

  

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変形労働時間制における休日振替

2022-10-13 08:59:12 | 労務情報

 従業員に休日出勤させた場合(無論、三六協定の範囲内で)、それが法定休日だったら35%増し、法定外の休日だったら週40時間を超える部分は25%増し(月60時間を超えるものは50%増し(令和5年3月まで中小企業を除く))の割増賃金を支払わなければならない。
 休日出勤に見合う代休を与えたとしても、割増し分については支払い義務が残るが、それが「休日振替(出勤日と休日とを入れ替える;当然、事前に通知することになる)」であったなら基本的に割増賃金は発生しない。

 この休日振替は、1か月単位の変形労働時間制(労働基準法第32条の2;以下「1か月変形」と略す)や1年単位の変形労働時間制(同法第32条の4;以下「1年変形」と略す)を採用している会社においても、就業規則に休日を振り替えることがある旨の規定を設けておけば一応可能とされるものの、安易に運用するのは危険だ。

 そもそも、変形労働時間制は、期間中の労働日を予め特定しておくものであるので、休日振替が日常的に行われるのであれば、その趣旨に反することになり、変形労働時間制を採用すること自体が認められない(昭63.1.1基発1号、平9.3.25基発195号、平11.3.31基発168号、平6.5.31基発330号、平9.3.28基発210号)。
 裁判例では、「就業規則に労働者が予測可能な程度に具体性のある変更事由を定めた変更条項が必要」(仙台高判平13.8.29等)としている。

 また、振り替えて出勤させた日の労働時間が8時間を超える場合または週(特約の無い限り日曜から土曜までとする)の労働時間が40時間を超える場合には、その超えた時間については時間外労働となる(昭63.3.14基発150号、平6.3.31基発181号、平6.5.31基発330号、平9.3.28基発210号、平11.3.31基発168号)。
 もっとも、変形期間中の労働時間がトータルで増えていなければ割増し分のみの支払いで足りると解される。

 さらに、1年変形における休日振替は、特定期間(労使協定で定める特に繁忙な期間)は週1回の休日を確保できる範囲内、特定期間以外は連続勤務6日以内に限られる(平6.5.31基発330号、平9.3.28基発210号、平11.3.31基発168号)ことにも気を付けたい。

 なお、休日に半日出勤させる代わりに労働日に半日で早退させるようなものは、“休日”を振り替えることにはならないが、労使協定を締結して変形労働時間制を採用したのであれば(1年変形はもとより1か月変形においても)、その協定を締結しなおして新たに労働日ごとの労働時間を設定するのは差し支えない。 ただし、変形期間中に労使の合意をもって随時に変更するのは許されない(昭63.3.14基発150号、平6.3.31基発181号)。

 休日振替は、使用者にとっては使い勝手の良いものだが、特に変形労働時間制を採用している会社では、その運用に慎重を期したい。


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シフト制パートタイマーの労働条件通知書

2022-10-03 08:59:11 | 労務情報
 会社は、従業員を雇い入れる際に、労働条件を書面で明示しなければならない(労働基準法第15条第1項、同法施行規則第5条第1項)。 それは、当該従業員がパートタイマーである場合でも同じだ。

 ところで、パートタイマーには、予め労働時間・労働日を特定せず、いわゆる“シフト制”で就労させることも少なくないだろう。
 そうしたケースでは、労働条件の明示(「労働条件通知書」や「雇用契約書」によることが多い)に際し、「始業及び終業の時刻」・「休憩時間」・「休日」の項はどのように記載するべきか。 単に「シフト制による」としておけば足りるのだろうか。
 現にシフトで労働時間や労働日を決めるのだろうし、こと賃金を時給制で計算されるパートタイマーにあっては、それで問題なさそうにも思えるが、実はそうではない。 なぜなら、次に挙げる各項目は(原則として)契約上の労働時間・労働日によって判断されるからだ。
  (1) 雇用保険への加入
  (2) 健康保険・厚生年金保険への加入
  (3) 年次有給休暇の付与日数
  (4) 年次有給休暇取得時に支給されるべき賃金
  (5) 使用者の責による休業の場合の休業手当

 そのため、シフト制であっても、「標準的な始業及び終業の時刻・休憩時間」・「標準的な休日」は、労働条件通知書等に明記しておくべきと言える。 裁判所も、労働日をできる限り具体的に特定させるか、でなければ労働者がある程度予測できるような規定を設けておくことを求めている(仙台高判H13.8.29)。
 そのうえで、この条件に拘束されずにシフトに入ってもらうために、「具体的な労働時間・労働日については、シフト制とし、各労働日の○日前までに指示する」といった一文を加えておく必要がある。

 もっとも、そうしたからと言って、まったく自由に労働時間・労働日を命じられるわけではなく、実際の労働時間が週40時間(変形労働時間制を採用している場合はその労働時間数)を超えたり、週1日(または4週に4日)以上の休日を与えなかったり(いずれも三六協定で定めた時間外労働・休日労働であるものを除く)するのは、もちろん許されない。

 さらには、実態が契約内容と乖離し、それが“慣習”となっている場合は、明文規定よりも慣習のほうが優先される(民法第92条)ことも覚えておきたい。

 シフト制であっても、あるいは時給制であっても、安直に雇い入れてはならないのだ。


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