ご苦労さん労務やっぱり

労務管理に関する基礎知識や情報など。 3日・13日・23日に更新する予定です。(タイトルは事務所電話番号の語呂合わせ)

アルバイトでも産休や育休が取れるんです

2024-03-23 09:34:12 | 労務情報

 産前産後休業や育児休業は、法が定めた労働者の権利だ。すなわち、「労働者」であれば、誰でも取得することができる。
 逆に言えば、会社は、産休や育休を求めてきた従業員がいたら、それが「契約社員」であろうと、「パートタイマー」であろうと、「短期のアルバイト」であろうと、さらには「男性」であろうと(育休の場合)、与えなければならない…‥
…‥

※この続きは、『実務に即した人事トラブル防止の秘訣集』でお読みください。

  

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フリーランス取引適正化法における業務委託者の義務

2024-03-13 08:00:24 | 労務情報

 フリーランス等の個人事業主と彼らに業務委託する者との間にトラブルが相次いでいることを背景に、令和5年4月28日、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」が可決・成立し、5月12日に公布された。 施行期日は「公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日」となっており、今年の秋までには施行される予定だ。

 この法律では、特定受託事業者(個人または一人法人の代表で従業員を使用しないもの)に係る取引の適正化と彼らの就業環境整備のため、特定業務委託事業者(業務を委託する事業者であって従業員または複数役員のいるもの)に対して次のような義務等を課している。
  1.取引条件の明示
  2.原則60日以内の報酬支払い
  3.特定受託事業者の責めに帰すべき事由のない受領拒否・報酬減額・返品の禁止
  4.著しく低い報酬の額を不当に定めることの禁止
  5.正当な事由なく指定物の購入等を強制することの禁止
  6.経済上の利益を提供させて特定受託事業者の利益を不当に害することの禁止
  7.特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく内容変更ややり直しをさせて特定受託事業者の利益を不当に害することの禁止
  8.募集広告等への虚偽の表示や誤解を生じさせる表示の禁止
  9.セクハラ・マタハラ・パワハラの防止や相談のための体制整備等の必要措置

 加えて、継続的業務委託(一定期間以上のもの)の相手方である特定受託事業者に関しては、「育児介護等への必要な配慮」、「契約解除にあたって30日前までに予告」も義務づけられている。
 その「一定期間」をどの程度の長さとするべきかについては、現在、厚生労働省に設置された「特定受託事業者の就業環境の整備に関する検討会」で検討されている。
 議論の中では、有期雇用労働者の雇い止め(契約を3回以上更新または1年を超えて継続勤務している場合は30日前までに予告;平成15年厚生労働省告示第357号)や内職の打ち切り(6月を超えて継続的に委託している場合は遅滞なく予告するよう努める;家内労働法第5条)を参考に、「1年」または「6か月」で意見が集約されつつある。

 いずれにしても、この法律は、まもなく施行期日を迎える。
 その時になって慌てないように、自社で使っているフリーランス等の個人事業主への業務委託を再チェックし、必要に応じて今のうちから対策を考えておきたい。


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雇用保険の適用拡大は課題が山積

2024-03-03 07:59:41 | 労務情報

 厚生労働省の労働政策審議会職業安定分科会(雇用保険部会)では、令和5年6月に閣議決定された『骨太方針』を受けて、雇用保険の適用拡大について議論が重ねられている。
【参考】内閣府 >経済財政運営と改革の基本方針2023

 具体的には、現行制度では所定労働時間が週20時間以上の労働者を雇用保険の被保険者としているところ、それを週20時間未満に拡大する方向で検討されているものだ。
 ところが、所定労働時間が週20時間未満で雇用保険の被保険者となるのであれば、当然、複数の事業に雇用されるケースを想定しなければならない。
 そうなると、「失業」の概念から定義しなおさなければならなくなり、それは、雇用保険制度を根幹から変えることにもつながりかねず、単なる「適用拡大」の議論を超えてしまう様相すら見せている。

 現行法においても、満65歳以上の労働者を対象とする「マルチ高年齢被保険者」という制度が、令和4年1月から試行的に実施されている。
 これは、雇用される2事業所(どちらも所定労働時間が週5時間以上のものに限る)の所定労働時間が合計して週20時間以上となる場合に、本人からの申告に基づいて被保険者となることができるというものだ。
 一部委員からはマルチ高年齢被保険者制度の試行状況を検証すべしとの意見も出ているが、満65歳以上の離職者に対する求職者給付は「高年齢求職者給付金」という一時金であって、失業期間中の生活を保障する「基本手当」(満65歳未満の離職者に対する求職者給付)とは性格を異にする。 加えて、これは強制適用でないこともあって、制度発足時から令和5年9月までの間にマルチ高年齢被保険者となった者は全国でわずか219人(下記資料参照)しかいないので、議論の参考になるデータとしては不充分と言わざるを得まい。
【参考】 厚生労働省「雇用保険の適用拡大関係資料」P.14「マルチ高年齢被保険者の状況」

 さらに、雇用保険の適用拡大は、求職者給付だけではなく、育児休業給付や教育訓練給付にも影響する。 それは、保険料負担の増大や運用次第ではモラルハザードすら招きかねないことでもある。

 働く人のセーフティーネットが拡大すること自体は望ましいには違いないが、制度上あるいは実務上、解決が難しい課題も多く、議論の集約にはまだまだ時間が掛かりそうだ。
 とは言え、方向性としては雇用保険の適用拡大は既定路線であるので、そのつもりでこの議論を注視していく必要があるだろう。


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