先ごろ、公益財団法人日本生産性本部は、2011年版『産業人メンタルヘルス白書』を発表した。今年の報告内容の中で特筆すべきは、「絆」を強調した点だ。
対人関係の良し悪しを左右する個人の特性として「社交性」が挙げられるが、日本生産性本部メンタル・ヘルス研究所が実施したJMI健康調査においては、「誰とでもすぐにうちとけられる」、「社交的なほうだ」等の8つの質問に1つも「はい」と答えなかった人が29.6%、2つ以下が56.5%もいたことから、日本人の社交性は「低い」と断じられている。
他方、「良好な同僚関係」が職場の不安を軽減させる要因であることも報告されている。ここでいう「同僚」には、日常的に顔を合わせている人たちだけでなく、同じ企業・組織体の一員ではあるが面識のない「仲間」も含まれる。日本生産性本部はこれを「絆(きずな)」としてとらえ、“誰”と特定できる対象ではなく、「仲間」や「企業体」といった抽象度の高い集団と「絆」が結ばれていることが、メンタルヘルス向上に大きく寄与すると結論づけている。
この調査は実施時期が東日本大震災後であったため回答に多少バイアスが掛かっていることは否めないが、それでも、社交性が低い日本人にとって、「絆」の形成は、メンタルヘルス面での重要な要素となることを改めて認識させる結果であった。
勤労者の61.5%が自分の仕事や職業生活に関して「強い不安、悩み、ストレスがある」(厚労省調べ)と感じている昨今、従業員のメンタルヘルス対策は、業種・業歴を問わず、すべての企業にとって避けて通れない課題と言える中、この報告内容は非常に興味深いものがある。
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