ニュースとしては少々古い話題になってしまうが、今年3月28日、「多様な形態による正社員に関する研究会(座長:佐藤博樹 東京大学大学院情報学環教授)」は、「“多様な形態による正社員”を活用できる環境整備を進めていくことが求められる」とする報告書を取りまとめた。
ここで言う「多様な形態による正社員」とは、いわゆる正社員と同様に“無期労働契約”でありながら、職種・勤務地・労働時間等が限定的な雇用形態のことであり、同研究会では、「これの導入によって、非正社員にとっては正社員転換の機会を拡大する可能性、正社員にとってはワークライフバランスの実現の一つの手段となりうる」としている。
こんなことは、既に「ナショナル社員・エリア社員(あるいはストア社員)」といったコース別人事管理を採用している会社にとっては、さほど目新しい策ではなかろう。その「エリア社員(あるいはストア社員)」の裾野を少し広げて考えてみれば理解しやすい。
しかし、「職種・勤務地・労働時間等を限定するなら、正社員にはなれない」との認識を持っている会社もいまだ多く、また、労働組合との話し合いや就業規則の変更といったハードルも高いため、すべての業種・業態で「多様な形態」が簡単に導入できるとは言いがたい。そういった会社においては、現時点では、“アイデアの一つ”として目を通しておけば良い程度のものだ。
ただ、押さえておくべきは、今般の報告書はこれ単独ではなく、3月23日に閣議決定された「労働契約法改正案(有期雇用5年超で無期契約への転換)」、3月27日に「非正規雇用のビジョンに関する懇談会(座長:樋口美雄 慶應義塾大学商学部長)」が取りまとめた『望ましい働き方ビジョン』と、3点セットで出されたことだ。
現在の不安定な国会情勢からすると今年来年でどうこうという話では無さそうだが、政府部局内に「非正規雇用から正規雇用へ」との大きな潮流が生まれつつあることは、承知しておかなければならないだろう。
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