ご苦労さん労務やっぱり

労務管理に関する基礎知識や情報など。 3日・13日・23日に更新する予定です。(タイトルは事務所電話番号の語呂合わせ)

労働保険の年度更新にあたって陥りやすいミス(特に建設業)

2012-05-29 10:51:12 | 労務情報

 労働保険事務組合に委託していない事業所向けの「労働保険(労災保険および雇用保険)の年度更新申告書」が、5月31日に発送される予定とのこと。7月10日(火)が申告期限なので、、今から準備を始めておきたい。

 ところで、この年度更新に際して、特に建設業においては、「労災保険」と「雇用保険」とを分離して申告書を提出することに加え、保険料の計算方法が複雑なこともあって、正しく申告されていない例が少なからず見受けられる。そこで、行政から指摘されがちなミスをいくつか挙げてみたい。
 まず、建設業の労災保険には「現場労災」と「事務所労災」とがあるが、そのうちの「事務所労災」がそっくり申告されていないケースが目立つようだ。現場に出向くことのない事務所勤務の労働者を雇っている場合はもとより、基本は現場に行く労働者でも社内で仕事をすることがある場合には、現場以外での事故は現場労災でカバーできないので「事務所労災」が必要となる。
 また、労災保険料算出の基礎となる「賃金」は、元請工事請負額から推計しても良いことになっているが、この請負額に「請負金額500万円(または1500万円)未満の工事」が合算されていないことがある。建設業法で建設業許可が不要とされる“軽微な工事”との混同が疑われるが、労災保険では「すべての元請工事」が対象となるので、誤解の無いようにしておきたいところだ。
 さらに、年度更新時の問題ではないが、「一括有期事業開始届」の提出モレも多く指摘されている。開始届が提出されていない現場で万一労災事故が発生した場合は、補償に要した費用(保険料ではない)を事業主に負担させることもありうるという。

 これら申告ミス(意図的なものかケアレスミスかを問わず)について始末が悪いのが、その殆どのケースが現実に労災事故が発生した時に発覚するという点だ。申告に誤りがあっても、労災保険の目的からして被災労働者の保護は優先的に行われるが、会社は修正申告しなければならないことになる。
 事故が起きて時間的にも精神的にも切羽詰っている時に余計な仕事を背負い込んでは堪らない。平時にこそしっかりチェックして、正しく申告しておくようにしたいものだ。


※この記事はお役に立ちましたでしょうか。
 よろしかったら「人気ブログランキング」への投票をお願いいたします。
 (クリックしていただくと、当ブログにポイントが入り、ランキングページが開きます。)
 ↓



「多様な形態による正社員」報告の背景には…

2012-05-23 10:39:20 | 労務情報

 ニュースとしては少々古い話題になってしまうが、今年3月28日、「多様な形態による正社員に関する研究会(座長:佐藤博樹 東京大学大学院情報学環教授)」は、「“多様な形態による正社員”を活用できる環境整備を進めていくことが求められる」とする報告書を取りまとめた。
 ここで言う「多様な形態による正社員」とは、いわゆる正社員と同様に“無期労働契約”でありながら、職種・勤務地・労働時間等が限定的な雇用形態のことであり、同研究会では、「これの導入によって、非正社員にとっては正社員転換の機会を拡大する可能性、正社員にとってはワークライフバランスの実現の一つの手段となりうる」としている。

 こんなことは、既に「ナショナル社員・エリア社員(あるいはストア社員)」といったコース別人事管理を採用している会社にとっては、さほど目新しい策ではなかろう。その「エリア社員(あるいはストア社員)」の裾野を少し広げて考えてみれば理解しやすい。
 しかし、「職種・勤務地・労働時間等を限定するなら、正社員にはなれない」との認識を持っている会社もいまだ多く、また、労働組合との話し合いや就業規則の変更といったハードルも高いため、すべての業種・業態で「多様な形態」が簡単に導入できるとは言いがたい。そういった会社においては、現時点では、“アイデアの一つ”として目を通しておけば良い程度のものだ。

 ただ、押さえておくべきは、今般の報告書はこれ単独ではなく、3月23日に閣議決定された「労働契約法改正案(有期雇用5年超で無期契約への転換)」、3月27日に「非正規雇用のビジョンに関する懇談会(座長:樋口美雄 慶應義塾大学商学部長)」が取りまとめた『望ましい働き方ビジョン』と、3点セットで出されたことだ。
 現在の不安定な国会情勢からすると今年来年でどうこうという話では無さそうだが、政府部局内に「非正規雇用から正規雇用へ」との大きな潮流が生まれつつあることは、承知しておかなければならないだろう。


※この記事はお役に立ちましたでしょうか。
 よろしかったら「人気ブログランキング」への投票をお願いいたします。
 (クリックしていただくと、当ブログにポイントが入り、ランキングページが開きます。)
 ↓



夜勤中の仮眠は「休憩」?「労働時間」?

2012-05-13 17:49:01 | 労務情報

 夜勤の途中で仮眠を取る勤務形態を採用している職場がある。
 この仮眠時間について、会社が「休憩」としてその時間分の賃金を支払わなかったのに対し、従業員が「労働時間である」と主張して賃金支払を求めることがある。そして、訴訟にまで発展した事案においては、裁判所は労働者側の主張を認めているケースが数多く見られるので、注意しておきたい。

 会社としては、仮眠時間には労務の提供を受けていないのだから、賃金を支払う必要は無いと考えるだろうが、「休憩時間」とするためには、完全に労働から解放されていなければならない。
 例えば、仮眠中に電話が掛かってくることが予想され、その対応が義務付けられているような場合は、「労働時間」として扱うものとされる。別の電話当番を置くなどして完全に労働から解放して、初めて「休憩時間」として扱えることになる。
 さらには、そうした措置を講じていたとしても、「荷物が届くまで仮眠」とか「追って指示するまで仮眠」というのは、「手待ち時間」であって、すなわち「労働時間」として扱わなければならないので、誤解の無いようにしておきたい。

 なお、夜勤の性格や目的によっては、「宿直」となりうる場合がある。宿直なら、賃金は1日分の3分の1を支払えば足り、法定労働時間の制限に関係なく(ただし原則として週1回まで)命じることが可能なので、会社としては検討する価値はあるだろう。ただし、これには労働基準監督署長の許可を受けておく必要があるので、要注意だ。


※この記事はお役に立ちましたでしょうか。
 よろしかったら「人気ブログランキング」への投票をお願いいたします。
 (クリックしていただくと、当ブログにポイントが入り、ランキングページが開きます。)
 ↓



経営者もぜひ一読を。「労働法ハンドブック」

2012-05-03 19:55:47 | 労務情報

 厚生労働省は、就職を控えた学生や若者が知っておくべき労働法を学ぶ上で役に立つハンドブックとして、「知って役立つ労働法~働くときに必要な基礎知識~」を作成し、ウェブサイト上に公開している。
  ↓
 【厚生労働省】「知って役立つ労働法~働くときに必要な基礎知識~」(PDF:742KB)
  http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000rnos-img/2r9852000000rnq9.pdf

 このハンドブックは、平成21年2月の「今後の労働関係法制度をめぐる教育の在り方に関する研究会」における「労働関係法制度に関する、分かりやすさを最優先にしたハンドブック等の作成・配布を。」との提言を受けて作成したもの。具体的な内容としては、労働法の概略から始まり、労働契約や労働条件の話、退職・解雇・倒産について等々、雇用されて働くにあたって必要な法知識が一通り、分かりやすく整理されている。

 「若者向け」という触れ込みではあるが、経営者や人事労務担当者が基礎知識の復習のために一読しておくのも良いだろう…‥

※この続きは、『実務に即した人事トラブル防止の秘訣集』でお読みください。