ご苦労さん労務やっぱり

労務管理に関する基礎知識や情報など。 3日・13日・23日に更新する予定です。(タイトルは事務所電話番号の語呂合わせ)

都内の事業所様へ『社会保険新報』のメール配信サービスのお勧め

2018-03-23 18:06:09 | 労務情報

 各都道府県社会保険協会が発行する広報誌(東京の『社会保険新報』、大阪の『大阪社会保険時報』、神奈川の『社会保険かながわ』等)が、社会保険料の納入通知書(日本年金機構が発送)に同封されなくなって久しい。
 「東京社会保険協会」では、郵送スタイルを全面廃止しウェブでのみ配信する方針をいち早く打ち出し、各事業所にメールアドレスの登録を呼びかけてきたが、7年半を経過しようというのに、反響は芳しくないようだ。

 もちろんこれは任意ではあるが、社会保険事務担当者や小規模企業の経営者は、メール配信サービスに申し込んでおいた方が良いだろう。
 これを申し込んでおくと、何のことはない。毎月中旬頃に「『WEB版社会保険新報』が発行されました」と知らせてくれるだけなのだが、このメールが届くことの意味は大きい。
 紙の媒体で手元に届けば、第1面くらいは嫌でも目に入るので大きなニュースだけでも知ることができるが、ウェブ配信の場合、こちらから能動的に動かなければ情報の一部にすら接することができない。
 そんな状況において、「新報が発行されたので読んでください」のメールは、情報から置いていかれないための良いきっかけとなるに違いない。

 公的機関(東京社会保険協会だけでなく厚生労働省や日本年金機構や健康保険協会等も含む)のサイトを巡回する習慣の付いている方々には無用の話だろうが、そうでない人(小生を含め)は、ぜひメール配信サービスを活用されることをお勧めする。

【参考】東京社会保険協会 > 広報誌 > 社会保険新報 > メール配信サービス
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  http://www.tosyakyo.or.jp/public/shinpou/


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退職勧奨の意外なデメリット

2018-03-13 12:59:09 | 労務情報

 会社を経営していくうえでは、従業員に辞めてもらいたい場面も生じるかも知れない。
 労働契約の終了を会社側から一方的に申し出るのは「解雇」であるが、解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は無効となる(労働契約法第16条)。そのため、解雇には、その効力を争われるリスクを包含していると認識しておかなければならない。
 これは、「普通解雇」のみならず、会社側に責任のある「整理解雇」であっても、従業員に責任のある「懲戒解雇」であっても、同じだ。

 したがって、合理性や相当性に疑いの余地が残るのであれば、「解雇」ではなく、「退職勧奨」を考えるべきだ。適正な退職勧奨による合意退職であれば、後日争いになるリスクはほぼゼロに近いからだ。
 また、会社にとっては解雇予告(または解雇予告手当)が不要であることや、本人にとっては「解雇された」と言うよりも「退職勧奨に応じた」と言うほうが“腑に落ちやすい”ことも、メリットとして挙げられるだろう。

 このように、「解雇」に比べてメリットが多いように思える「退職勧奨」だが、デメリットもあるので注意しておきたい。

 その最大のものは、「従業員には退職勧奨に応じる義務は無い」ということだ。
 退職勧奨は文字通りあくまで“勧奨”であるので、本人に断られてしまう可能性もある。複数回の退職勧奨を行ってはいけないわけではないが、あまりに執拗であると「退職勧奨の域を超える退職強要」と断じられる(最一判S55.7.10等)こともあるので、注意したい。

 そしてもう一つ、退職勧奨には大きなデメリットがある。
 それは、懲戒解雇すべき事案であった場合に退職勧奨で退職させてしまうと、「懲戒」の意味合いが薄れてしまうということだ。「問題社員を社外に放逐する」という結果は同じであったとしても、不祥事の原因や経緯が明確にならず、そのため、同様の事案が再発する危険性が消し切れないことは承知しておかなければならない。

 「解雇の前に退職勧奨を考えるべき」ではあるものの、「退職勧奨は良い事ずくめ」ではないことも、理解しておきたい。


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募集要項に掲載した内容と異なる条件での雇い入れ

2018-03-03 18:29:02 | 労務情報

 労働契約を締結する際には、労働条件を書面で通知しなければならない(労働基準法施行規則第5条第3項)。この書面の様式は自由(H11.1.29基発45号)なので、必要事項の記載された雇用契約書をもって、労働条件の通知を兼ねさせている会社も多い。

 ところで、そこで会社が提示する労働条件は、募集に用いた求人票や求人広告や募集要項(以下、「求人票等」と呼ぶ)と異なってはいけないのだろうか。

 この問いへの答えとしては、求人票等と異なる労働条件で雇用契約を締結すること自体は違法でないとされている。
 なぜなら、労働契約の内容は、雇用契約書や就業規則等に明記された労働条件および確立した労使慣行によって定まるものであって、求人票等の記載内容は従業員募集の“誘因”に過ぎないからだ。
 よく「チラシ掲載価格と店頭表示価格」という例えが用いられるとおり、「店側は、チラシに掲載した価格で商品を販売する法律上の義務を負うものでなく、新たな価格を設定することができ、これに客が同意すれば売買契約が成立する」というのと同じ構図だ。
 古い事例ではあるが、「求人は労働契約申込みの誘引(ママ)であり、求人票はそのための文書であるから(中略)本来そのまま最終の契約条項になることを予定するものでない」(東京高判S58.12.19)と、裁判所もこの立場に立っている。

 しかし、「違法ではない」ということは、必ずしも「問題ない」ということを意味しない。
 上に挙げた裁判例の判決文でも、裁判所は「求人者はみだりに求人票記載の見込額を著しく下回る額で賃金を確定すべきでないことは、信義則からみて明らかである」とも明言しており、また、この事案(八洲測量事件)では「いわゆる石油ショックによる経済上の変動により求人票に記載した条件で雇用できなくなった」という特殊事情も斟酌されたことを読み取る必要があるだろう。

 また、「チラシ掲載価格と店頭表示価格」の例えでイメージできるように、特段の事情なくこれらに差を設けるのは、客(従業員)との信頼関係を損ないかねない。目先のわずかな利益に惑わされて大きなマイナスを被る要因を作ってしまうのは、得策とは言えまい。

 結論として、やはり、求人票等と同じ条件で雇い入れるのを原則と考えるべきだろう。そして、やむを得ず条件を変更しなければならない事態となったら、雇い入れ前に、本人にその旨を説明し、納得のうえで入社してもらえるよう、努めたい。


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