ご苦労さん労務やっぱり

労務管理に関する基礎知識や情報など。 3日・13日・23日に更新する予定です。(タイトルは事務所電話番号の語呂合わせ)

複線型の働き方への対応は?

2019-03-23 11:29:29 | 労務情報


 新年度が間近に迫り、新入社員の迎え入れ準備に忙しい会社も多いと思う。

 ところで、「学校を卒業して、就職して、定年まで勤め上げる」という“単線型”の人生を送るのは、今や、必ずしも“普通”とは言えなくなってきている。
 具体的には、転職・中途採用は言うに及ばず、副業に就いたり、自営型テレワークをしたり、早期リタイヤしたり、そういう“複線型”の働き方が珍しくなくなり、国もこれを支援する動きを見せている。
 厚生労働省が昨年12月に初会合を開いた「働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会」もその一例だ。この懇談会では「短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大を検討」という喫緊(今年9月までに検討)の課題のほか、「複線型の働き方など働き方の多様化を踏まえた社会保険制度の検討」という大きなテーマも示されている。というより、懇談会の名称からしても、むしろ後者の方が議論の“本丸”と見るべきだろう。

 企業経営者としては、こうした状況をむしろチャンスととらえ、役立てていきたい。
 手っ取り早いところでは、時短やワークシェアリングにより過重労働の防止と時間外割増賃金の削減を計ったり、副業(複業)やボランティア活動を奨励することによりその経験を業務に活かしてもらったり(ダイバーシティの理念)、といった策が考えられるが、これら以外にも代替案は無限にありそうだ。
 経営や雇用に関するパラダイムシフトが求められる時代の到来と言ってよいだろう。


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「雇用関係が継続されるものと期待」とは?

2019-03-13 13:59:13 | 労務情報

 労働契約法第18条は「5年超の有期労働契約は本人の希望で無期契約に転換できる」と定めている。これは平成24年の法改正で新たに制定されたルールで、当時マスコミ報道等で大きく取り上げられたのは記憶に新しいところだろう。
 しかし、雇用契約の締結にあたっては、それとともに、同法第19条に定める、いわゆる「雇い止め法理」も忘れてはならない。
 これは「有期契約が反復更新により無期契約と実質的に異ならない状態になっている場合、または労働者が期間満了後も雇用関係が継続されるものと期待することに合理性が認められる場合、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当でない雇い止めは認めない」とするものだ。
 既に確立していた最高裁判例(最一判S49.7.22、最一判S61.12.4)をそのまま制定法化したもので、現に訴訟の場ではこの法理が用いられてきた経緯があったため、特段のニュース性は無く、法改正当時、さして話題にもなっていなかったような気がする。

 さて、この条文の解釈にあたってキモとなるのは、「雇用関係が継続されるものと期待」の部分だ。つまり、有期契約の更新を繰り返していた場合に、労働者が次の契約更新を“期待”したなら(期待することに合理性があったなら)、合理性・相当性の無い雇い止めは認められなくなり、5年を経過しなくても実質的に無期契約化することになる。
 では、具体的に、何回更新したらその“期待”に合理性があると言えるのだろうか。
 これに関して裁判所の判断は、事案によってまちまちだが、一般的には「2回更新したら3回目以降の更新を期待する」と考えるのが自然だろう。しかし、極端な例を挙げれば、雇い入れの際に人事担当者が「ずっと働いてもらいたいが形式上1年契約にしておく」などと言ったとしたら、その時点で(一度も更新していなくても)「期待させた」ことになってしまうこともある。

 こういったことを考えれば、もしかしたら、「5年超で無期契約に転換」よりも「雇い止め法理」のほうが、会社としては注意を払うべきとすら言えるのかも知れない。


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運用しやすくなったフレックスタイム制、そのメリットとデメリット

2019-03-03 09:59:04 | 労務情報

 現行の労働基準法第32条の3では、フレックスタイム制の清算期間は1か月以内と定められているため、フレックスタイム制を採用している企業の多くは、勤怠集計の締め日に合わせた「1か月」を清算期間としている。
 しかし、これだと、月ごとの曜日の並びによっては法定労働時間(週平均40時間以内)を超えてしまうことがある(それを条件付きで容認する旨の行政通達(平成9年3月31日基発228号)が出されてはいる)、勤怠集計期間内で業務の繁閑を調整しきれない場合がある、等の不都合点が指摘されてきたところだ。
 これを受けて、今年4月1日から改正施行される労働基準法では、フレックスタイム制の清算期間を3か月以内とすることが可能となった。ただし、①労使協定を労働基準監督署に届け出ること(清算期間を1か月以内とする場合は届け出不要)、②1か月ごとに集計した労働時間が週あたり50時間以内とすること(これを超える場合は三六協定の締結と割増賃金の支払いが必要)の2つが要件となる。

 今般の法改正について、経営者側は概ねこれを歓迎しており、早速フレックスタイム制の導入(または制度改正)を考えている企業も多いと聞く。
 フレックスタイム制の最大のメリットは、業務の繁閑を個々に調整できるため、総じて労働時間の短縮が期待できることだ。
 さらには、「働きやすい職場」との印象から企業イメージ向上にも寄与できる。
 一方、労働者にとっては、家族との団らんの時間が増える、地域活動に参加できる、通勤ラッシュを避けられる等々、「ライフ・ワーク・バランス」に配慮した働き方ができるようになる、といったメリットも挙げられる。

 とは言え、フレックスタイム制には、次のようなデメリットもあることを承知しておかなければならない。
 その最たるものは、労働時間管理が煩雑になることだ。フレックスタイム制では労働者ごとに異なる始業時刻・終業時刻・休憩時間をすべて記録し、管理する必要がある。管理ツールを導入(または改良)するにしても、費用の掛かる話であるし、本人や上司や労務担当者の負担は間違いなく増すことになる。
 また、従業員それぞれのパーソナリティーによるところではあるが、生活がルーズになりがちであり(清算期間が長くなるとこの傾向がさらに高まる)、それに対応するべく、会社の管理体制を整える必要も生じてくる。
 社内コミュニケーションの点からは、職場の一体感が薄れてくる(特にコアタイムを設けない場合にこれが顕著になる)、他部門との連携が取りにくくなり会社全体として知識・情報・ノウハウの蓄積が図りにくくなる、といったことも、大きなデメリットと言える。

 今般の法改正を機にフレックスタイム制の導入を考えるのも悪くないが、これらメリット・デメリットを踏まえて検討されたい。


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