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ご苦労さん労務やっぱり

労務管理に関する基礎知識や情報など。 3日・13日・23日に更新する予定です。(タイトルは事務所電話番号の語呂合わせ)

契約社員が契約期間満了前に退職したいと言い出したら

2025-05-23 10:01:15 | 労務情報

 いわゆる“正社員”のように期間を定めずに雇用している従業員が退職しようとする際には、民法第627条の規定が適用され、2週間前に申し出ることによって雇用関係を終了させることができる。
 その一方で、期間を定めて雇用している従業員(“契約社員”や“パートタイマー”等)については、本人からも会社からも、期間満了前に雇用関係を終了させることは、原則として、できない。 「雇用期間」についても両当事者が同意した契約条件の一項目なのだから、期間中に解約できないのも当然と言えば当然のことであろう。 (ただし、民法第628条は「“やむを得ない事情”があるときは、各当事者は、直ちに契約を解除することができる」としており、労働契約法第17条も「“やむを得ない事由”がある場合」の解雇を一応は認めている。)

 では、有期雇用従業員の側から本人の都合で退職したいと申し出が有った場合に、これを会社が認めないのは可能なのかというと、実質的には無理だ。 と言うのも、それは本人の意に反する労働を会社が強制することになってしまうからだ。 日本国憲法第18条は「苦役からの自由」を謳っており、また、「強制労働(労働基準法第5条違反)」には最長10年の懲役まで規定されているのだ…‥

※この続きは、『実務に即した人事トラブル防止の秘訣集』でお読みください。

  

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育児休業給付期間延長の手続きが変わりました

2025-05-13 08:36:17 | 労務情報

 育児休業により賃金が支払われないまたは休業前の80%未満に低下した場合は、雇用保険制度から育児休業給付金を受けられる。
 その支給期間は原則として「子が1歳(パパママ育休プラスに該当する場合は1歳2か月)に達するまで」であるが、保育所等の利用を申し込んだものの入れない場合には1歳6か月まで(特に必要と認められる場合は最長2歳まで)期間を延長することができることとされている。
 こうした制度設計のため、「保育所への入所が可能になったのに内定を辞退する」あるいは「入所意思が無いにもかかわらず期間延長のため保育所の利用を(形式的に)申し込む」といった“モラルハザード”を惹き起こしていると、地方分権改革有識者会議で指摘された。
 【参考】内閣府 >「第55回 地方分権改革有識者会議 議事概要」

 これを受けて厚生労働省は、雇用保険法施行規則第101条の25第1号に「速やかな職場復帰を図るために保育所等における保育の利用を希望しているものであると公共職業安定所長が認める場合に限る」というかっこ書きを加え、この改正省令を令和7年4月1日から施行することとした。

 具体的な手続きとしては、育児休業給付金の支給期間延長を申し込む際に保育所等の利用申込書の控(コピー)をハローワークに提出させることとし、次のような疑義が見られた場合は、それに合理的な理由があるかどうかを確認する。
  ・入所開始希望日が子が1歳(もしくは1歳2か月または1歳6か月)に達した後
  ・入所保留を積極的に希望する旨の意思表示をしている
  ・入所内定を辞退したことがある
  ・希望した保育所等までの通所時間が自宅または勤務地から30分以上である
 これらに該当しても合理的な理由があれば期間延長が認められる場合はあるが、ただ給付延長のためだけに(形式的に)保育所利用を申し込む行為は今後は減るものと期待される。

 これから保育所等の利用申し込みをする者はその申込書のコピー(電子申請で申し込んだ場合は画面を印刷したもの等)を取っておくべきだ。
 また、会社も、それを育児休業を取得しようとする従業員に案内しておかなければならない。

 もっとも、「速やかな職場復帰を図るために保育所等における保育の利用を希望している」ことは必ずしも保育所等の利用申込書でなくても確認できるのだから、もし控を取り忘れたといった場合は、臆せずハローワークに相談してみるとよいだろう。


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高齢者の安全と健康の確保が事業主の努力義務に?

2025-05-03 15:37:03 | 労務情報

 社会の高齢化と高齢者の雇用を確保する施策により、労働者全体に占める60歳以上の割合が18.7%(令和5年)となる中、労働災害の死傷者(死亡および4日以上の休業)に占める60歳以上の割合は29.3%(同年;前年比0.6ポイント増)に達している。
【参考】厚生労働省 > 令和5年労働災害発生状況の分析等

 こうした現状を踏まえ、厚生労働大臣の諮問機関である労働政策審議会(安全衛生分科会)は、先ごろ、『今後の労働安全衛生対策について』と題する報告書の中で、「高年齢労働者の労働災害を防止するため、高年齢労働者の特性に配慮した作業環境の改善、適切な作業の管理その他の必要な措置を講じることを事業者の努力義務とすることが適当」と建議した。

 これを受けて、厚生労働省では、現行の労働安全衛生法第62条が「事業者は、中高年齢者その他労働災害の防止上その就業に当たって特に配慮を必要とする者については、これらの者の心身の条件に応じて適正な配置を行なうように努めなければならない」と定めているのを拡充する方向で動いている。

 もっとも、厚生労働省は、既に『高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン』(通称『エイジフレンドリーガイドライン』;令和2年3月策定)を公表し、事業主に以下の対応を求めている。
  1.安全衛生管理体制の確立
   (1) 経営トップによる方針表明と体制整備
   (2) リスクアセスメント(危険源の特定等)の実施
  2.職場環境の改善
   (1) 身体機能の低下を補う設備・装置の導入(主としてハード面の対策)
   (2) 高年齢労働者の特性を考慮した作業管理(主としてソフト面の対策)
  3.健康・体力状況の把握
  4 高年齢労働者の健康や体力の状況に応じた対応
   (1) 個々の高年齢労働者の健康や体力の状況を踏まえた措置
   (2) 高年齢労働者の状況に応じた業務の提供
   (3) 心身両面にわたる健康保持増進措置
  5.安全衛生教育など

 検討されている労働安全衛生法改正案は、このガイドラインの内容もしくはそれに多少手を加えたものが上程されると見てよいだろう。
 そのつもりで、今のうちから対応を考えておきたい。

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