ご苦労さん労務やっぱり

労務管理に関する基礎知識や情報など。 3日・13日・23日に更新する予定です。(タイトルは事務所電話番号の語呂合わせ)

インフルエンザ感染者への休業命令

2010-12-03 15:39:54 | 労務情報
 インフルエンザが流行しているようだが、例えば自分の会社の従業員がインフルエンザに感染したことが判明したら、会社としてはどう対応するべきか。本人が「休ませてください」と申し出てくれば話は簡単だが、無理して出勤してきたような場合はどう対処したものだろうか。

 こういう場合には、本人の健康と周囲への伝染防止という両面を慮れば、やはり休業を命じるのがベストであろう。
 しかし、それが法的に正しいかと問われると、実は微妙である。本人が出勤したがっているのに会社がそれを制止するのは、“労働する権利”を奪うことに他ならないからだ。
※労働安全衛生法第68条に「伝染性の疾病にかかった労働者についてはその就業を禁止しなければならない」という趣旨の定めが有るには有るが、そもそも感染症法で「一類感染症・二類感染症・三類感染症」は就労が禁じられているし、労働安全衛生規則第61条第1号に言う「病毒伝ぱのおそれのある伝染病」は「結核」を対象としていた(労働基準局長名通達平成12年3月30日基発第207号を参照)が、結核予防法の廃止(平成19年4月)に伴い結核は二類感染症とされたため、この条文は有名無実化している。

 そんなややこしい話にならないように、まず、就業規則には「伝染病に感染した者は就業させない」といった規定を置いておくべきだ。これによって、会社が休業を命じる権限を有することが明確になる。
 そして、できれば、その不就労時間分を賃金から控除しないこととするか、少なくとも休業手当(平均賃金の6割以上)を支給することとしておくのが望ましい。と言うのも、賃金が減額されるのであれば、無理してでも出勤しようとする従業員もいるだろうし、それに対して会社が休業を命じることに従業員の理解を得られにくいからである。

 体調が万全でない状態で効率の悪い仕事をしてもらうより、ゆっくり休んで体調を戻してもらった方が結果的に生産性は上がる。意外に本人の方がこのことに気づかない(あるいは気づいても言い出しにくい?)ようなので、会社の方で気遣ってあげる必要があるかも知れない。


※当ブログは「人気ブログランキング」に参加しています。
 ぜひ、投票をお願いいたします。
 (クリックしていただくと、当ブログにポイントが入り、ランキングページが開きます。)
 ↓

 

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする