「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「シロバナムシヨケギク」

2015-05-25 12:21:27 | 和歌

 何時もの散歩道の脇に、「シロバナムシヨケギク」がそよ風に揺れていた。
この花を観ると、幼児の頃が懐かしく想い出される。信州・諏訪で育った虚庵居士の実家には、広い敷地の端に湧水が流れる「清水川」があったが、その縁に沿って白いお花が植えられていた。



 泉には「長命水」との碑が置かれていたが、湧水を樋で大きな池に引き入れ、飲み水としても使っていた。時には茶人が、態々水汲みにやって来る名水だったようだ。
そんな麗水が流れる「清水川」と、白いお花が今でも瞼に浮かぶ虚庵居士だ。

 「シロバナムシヨケギク」は除虫菊とも呼ばれるが、この花が殺虫剤として使われ、或いは蚊取り線香としても利用されていることは、意外にも知られていないようだ。  

 
           そよ風に揺れるあまたの白花に

           ふる里遠くおもほゆるかな


           川べりにシロバナムシヨケ菊を植え

           シャベルを洗う母を偲びぬ


           湧き水の流れる川辺の白花を

           摘んだは遠き幼き頃かな


           湧水を口に含んだ夏の日も

           懐かしきかな故郷おもえば