「うつろ庵」の紅薔薇も咲きました。
新緑の珊瑚樹の足元には「大紫」のフラワーベルトが、そして珊瑚樹の生垣を越えて紅薔薇も咲きました。この写真を撮ってから三・四日を経て、薔薇の花数が更に増えたので、道行く人々が目を瞠る街のスポットになりました。
生垣の内側もご紹介すれば、こんな感じで~す。
紅薔薇の隣には葡萄棚があり、その下にごく質素な虚庵居士の「棺桶ベンチ」が設えてある。度々ご紹介したので読者の皆さまは夙にご案内であろうが、グラスを手に酩酊しつつまどろめば、天国の花園に遊び、うつらうつらと目覚めれば眼の前に紅薔薇と紫蘭が待ち受け、虚庵居士はあの世とこの世の区別がつかぬ朦朧の世界を彷徨いつつ、陶然となるのだ。
「棺桶ベンチ」などと「ふざけた名前」ではあるが、老いて間もなくお迎えを待つ身には、お誂え向きのベンチだとご満悦だ。「竟の棲家」との言葉があるが、このベンチが虚庵居士の「竟の座所」になるのではなかろうか。
お時間のあるもの好きなご仁には、「うつろ庵」の柴の戸を開け、虚庵居士と共に「棺桶ベンチ」に坐して、酩酊気分を味わって頂きたいものだ。
新緑の珊瑚樹挟み大紫と
紅薔薇が競う五月を迎えぬ
新緑の珊瑚樹をバックに花衣
大紫つつじは見得を切るかも
負けじとて珊瑚樹乗り越え薔薇も咲き
滾る真紅の思ひを伝えぬ
生垣の内を覗かむ数寄者の
棺桶ベンチに坐して花観む
このベンチが「竟の座所」かも 酩酊と
朦朧世界を往きつ戻りつ