「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「煌めくチガヤ」

2015-05-27 11:46:07 | 和歌

 陽が西に傾いた夕暮れ近くに、海岸プロムナードに沿う道路の中央分離帯に、茅(チガヤ)の穂波が煌めいていた。ここのプロムナードにはカナリー椰子の並木が連なり、湾の向こうの夕陽に霞む高層マンションの影を背に、散歩やジョギングの常連が後を絶たないが、道路のチガヤを愛でる数寄者は虚庵夫妻だけかもしれない。



 チガヤの草丈はおよそ60~70センチ程であろうか。つい最近までは花穂が引き締まっていたが、気温の変化を敏感に感じ取って、一気に花穂が開いた。
朝日や夕陽に煌めくチガヤの穂波には、云い知れぬ風情があって、虚庵居士の好みの一つだ。尤も、夜更かし族の虚庵じじは朝寝坊ゆえ、朝日に煌めくチガヤの穂波は想像するばかりだが、夕陽に比べてさぞや爽やかな穂波であろう。  

 4車線の道路の中央分離帯には、刈り込んだシャリンバイ等が植えられているが、チガヤの穂波を透かして見る対向車のヘッドライトは、幻想的な世界を創りだすに違いあるまい。


           山の端に沈まんとする陽をうけて

           穂波の煌めくチガヤに見惚れぬ


           海沿いのプロムナードの椰子並木や

           霞む島影 夢を湛えて


           おぼろげに浮かぶ彼方のマンションも

           このプロムナードは夢想の世界か


           四車線の道路の中央分離帯

           チガヤの穂波と語らう爺かな


           対向車のヘッドランプを透かし観れば

           夢幻にくるむやチガヤの穂波は