「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「苺の白花」

2014-12-15 13:37:39 | 和歌

  鉢植えの「いちご」に、白い花が可憐に咲いていた。



 花が散った後には、早くも苺が姿を整えて律儀に控えていた。
よく見ると、苺の花は蕊にイチゴの赤ちゃんを抱いて、白い花を咲かせているのだ。

 花に見惚れていて気付かなかったが、鉢の反対側には赤く熟した苺が一つ、
ぶら下がっていた。

 様々な花に交じって、鉢植えの苺の花を愉しみ、その末に赤く熟した苺を摘まんで口に入れる楽しみは、また格別だろう。花壇の主の綻ぶ顔が見えるようだ。

 苺の栽培は、昨今はビニールハウスの中で、かなり大規模の栽培が多い様だが、この様な自然環境でただ一つの鉢植えを愉しむのも、一案だ。
普通の花は、花を咲かせるまでが何よりの楽しみだが、花が咲いた後にも別な楽しみが続くのは素晴らしい。

 たかが一鉢の苺であるが、花の愉しみ方には更にその先があることを訓えて頂いた。ものごとを一面だけで判断せずに、更に次に来るものをも見よとの訓えだ。

 人生を二倍に、三倍に愉しめと、苺は無言で訓えているのだ。 


           一鉢の苺に咲くかな白妙の

           五弁のまろき花は可憐に


           白花の蕊かと見ゆる膨らみは

           紛うことなきイチゴの赤ちゃん


           白妙の花に見惚れて葉隠れの

           赤く熟した苺に気付かず


           ふくよかに熟した苺を摘まみ取り

           口に含むはさぞや佳からむ


           楽しみは花のみにあらずその後も

           別な愉しみ在るを悟りぬ


           一鉢の苺の訓えは人生を

           二倍 三倍 愉しみなされと